1-4 城塞都市
この都市は城塞都市だ。そして迷宮が三つある。
一つ目が、植物系の魔物が出現する迷宮で、街で使う木材を産出しており。この城塞都市の薪や木材は全て、この迷宮から取ってきている。
二つ目が、動物系の魔物が出現する迷宮だ。食用にできる魔物が出現する迷宮だと聞いている。この城塞都市の胃袋とも言える迷宮だと聞かされた。
三つ目が、鉱物系の魔物が出現する迷宮で、迷宮内で色々な鉱石も掘れると聞かされてたが、迷宮深部に潜ると金ゴーレムや銀ゴーレムが出現すると聞かされた時は驚いてしまい、説明してくれたデルパーの親方に何ともし難い表情をしていたみたいだ。
この三つの迷宮が、この都市を支えている。
それぞれの迷宮は地下一階から始まり、深層は地下二十階までとなっており。降りられる階層がデルパーの階級で決まっていた。地下一階から地下十階までが鉄3級から銀2級までだが、腕に覚えがある人物は深く潜るとも聞いた。
地下十階から深部までが、銀一級から白金一級だそうだ。何処にでも馬鹿者は居るみたいで、強くもないのに欲を出して自滅する者が後を絶たないと親方は呟いていた。
この迷宮探索は、常時受ける事が出来る為に都市で職に就けない者は皆無だそうだ。何かしろの仕事があるからスラムがこの都市には存在しない。親を亡くした子でもデルパーに登録してから、後払いで料金を払える制度だからみたいだ。
ここの国は、意外としっかり足場を固めて国の運営をしてるみたいで、人頭税も一年分で一人当たり銀貨一枚で無理なく払える金額になっている。だからか、街の賑わいも自分の居た祖国より活気がある気がする。
通路を行きかう人々の顔も露天商の商人の顔も穏やかで、イキイキとしており街全体が賑わっている。クレマチス国では信じられない光景だとリノは宿の窓から街を眺めながら物思いに耽ていた。
そして、その隣には足元でブーツをガブガブと噛んでいるルナールの頭を撫でてやると、今度は手を甘噛みしはじめてしまいリノは、ルナールをどうした物かと考えてしまう。このまま、ヤンチャなままではルナールは遠くない内に命を落とすだろう。そうすると使い魔に投資した元手が全て水の泡になってしまう。
そう考えたリノは、魔獣商店に向かう。
リノは店に入るとカウンターに座っていた人物に声を掛けてから、使い魔の躾けはどうしたら良いのかを聞いてみた。
「あっ、使い魔の躾け方ですか!売った時に説明しませんでしたかね?」
リノは聞いていないと伝えるや、店員は奥で作業していた職人を呼び話を聞くや、リノに謝罪を述べてから、使い魔の躾け方を説明し始める。
「こちらの不手際で申し訳ない。それでは本題にはいりましょうか。使い魔と主人の間には魔力のバイパスが出来てるんですよ。その魔力に念を込めて命令するんです。例えばですね、座って待機しろ・魔物が近づいたら教えろ。みたいな命令なら使い魔は理解できます。命令しなければ、野生のままの状態で本能に従って行動するのが使い魔です」
リノはブーツを噛みついているルナールに、魔力を込めた念話で座れと命令するとルナールは、その場に座り待機を始めてしまう。
「それとですね。お客さんに良い事教えてあげますよ。使い魔は戦いの中で進化していきます。多く戦わせれば、いくら狐賓だとしても脅威度がドンドン上がってしまう。進化した使い魔が主人の命令を聴かなくなる事もありえるんです。」
リノは、どのくらい使い魔が進化したら命令を拒否するのかを問いただした。
「こればっかりは、お客さんの強さとしか言えませんね。お客さんが弱ければ使い魔を戦わせなければ良いだけですね。でもお客さんが強くて使い魔にも強さを求めるなら、ドンドン使い魔を戦わせるのが良いでしょう」
リノは使い魔を進化させるのに最適な場所は何処かと尋ねた。
「そりゃ~迷宮ですけど、その中でも植物系の迷宮が良いでしょうね。上層に出現する魔物で藁かかしやパステックなどが狐賓でも戦って勝てる魔物ですかね。それと歩く茸て一纏めにされてますが、マイコニド・マタンゴ・ファンガーって歩く茸ファミリーが居ます。それとも組みしやすいでしょう」
リノは店員にお礼を述べてから、もう一つ尋ねた。
「いやぁ~ここでは売ってませんね。 馬具屋なら近くにありますから、そこで聞いてみてください。馬具屋の近くには鍛冶屋もありますんで特注でなら作って貰えるかもしれないですよ」
ーーーーーーーーーー
~~~馬具屋にて~~~
「馬用の馬具は取り扱っているがよ、使い魔に荷車を轢かせる用のは取り扱ってねよ。隣の鍛冶屋と皮革工房に相談してみねと何とも言えないな……前にも作った事はあるが……金額が高いけど良いのかい?」
店主は店を徒弟に任せてから外に出て隣に歩きだしていた。
「おい、馬鹿共ちょっと話がある」
「「馬鹿って誰の事を言ってるんだ?あぁ~ん?」」
鍛冶屋と皮革工房から親方と思う中年男性二人が店前に、手に商売道具を手にして出てきていた。
馬具屋の親方は、二人の親方に事情を話し出し、リノの方ではなく狐賓を指さして何やら話し込んでいた。話が纏まったのか三人はルナールの寸法を測りだしていた。
「特注での仕事って訳でもないが、滅多に入らない仕事ではある。馬具屋が取り纏めするから代金は馬具屋に払ってくれよ」
そう言ったのは、手にペンを持って図った寸法を書いていた皮革工房の親方であった。
「そうだな~馬の馬具一式で銀貨八枚だ。でも使い魔用の一式だと金貨一枚って所だな。この金額でも良いのなら制作に取り掛かるが良いかい?」
リノは頷く、親方は他の二人に声を掛けて作業に入る様に促した。
「それと前金で銀貨四枚と銅貨五枚を払ってくれよな。後の代金は引き渡す時に貰うからよ五日後に、また店に顔を出してくれよ」
リノは代金を店の中で支払い済ませてから店を後にした。
「おっと、言い忘れていたが荷車は、どんなのを使っているんだ。それも後でも良いから持ってきてくれよ。もしも改良が必要なら隣の大工に頼まなきゃならねんだわ」
リノは今から持って来ると言い残して店を後にすると、馬具屋から何件か離れた路地に入って行き、人の居ない事を確認してからショルダーサックから荷車を取り出す。そして、来た道を引き返して馬具屋の店の前まで戻ってきた。
店に入ろうとした所に馬具屋の親方が出てきた。
「やっぱりさっきの人か、えらい早かったな!近くにでも置いてたのかよ?」
親方はリノの横を通り過ぎて荷車を見分し始めていた。そして、ルナールを梶棒の場所に立たせると、馬具屋の親方は隣の大工の親方を呼びに行ってしまう。
「人用の梶棒だから、使い魔に荷車を轢かせるには不向きだよな?」
「そうだな。梶棒を延長するなら鍛冶屋に繋ぎ目を作って貰って延長しないといけないな。出ないと荷台部分が重すぎて引けないと思うぞ」
二人の話し合った結果が梶棒を延長し、非力なルナールでも引ける様にすると言う案だった。
「なんだなんだ。俺抜きで話が進んでるとか気に食わねな」
鍛冶屋の親方が出てきたので、馬具屋の親方は呼びに行く手間が省けたと喜ぶが、鍛冶屋は不機嫌な面をしたままだった。
「延長の繋ぎ目なら直ぐに作れる。もしも車軸の補強をするなら安くしてやるぞ」
「車軸も車輪も別に痛んではないけどな」
大工の親方の見立てでは異常はないとのお墨付きを貰ってしまう。
「てめぇ~俺の商売の邪魔してんじゃねぇよ」
「阿漕な商売してんじゃねーよ。真っ当な商売してこその商売人だろうが!」
鍛冶屋と大工が揉めだしたので、リノは二人の争いには関わらない様にし馬具屋に話しかけた。
「追加料金は無で、値段は据え置きにしておいてやるよ」
馬具屋の親方は、商売気をださずにいてくれたのでリノは一安心する。お金も無限にあるわけではない、これからの生活や元の世界に戻る方法なども探さないと思うと節約は大事ではあるが、投資する場面ではケチったらいけない事くらいは弁えていた。
冒険者とは地道に装備を揃え、必要な時には出費をする者だからだ。 それを出来ない者から姿を消す商売でもある。デルパーも冒険者も一概に言ってしまえば同じだ。
その国で名乗るのが冒険者かデルパーかの違いだけであり、リノは死ぬ気は無く生きて祖国に帰るのを目標にしている。
リノと一匹は、デルパー事務所で植物迷宮の常時依頼を受けてから、迷宮に潜っていた。狐賓は爪の引っ掻きがメインで一撃離脱を繰り返して、とどめを刺す時に敵の急所を狙って噛みつくを繰り返している。最初の進化は迷宮に入って何日目だったか、突如としてルナールから強い光と煙が噴き出し始めた。
ルナールは進化した。外見は今までとは違いはなかったが、甘噛みされると少し痛く感じてしまうくらいの進化だった。進化するまでに倒した魔物のドロップ品は、藁・枝・木材・食用茸・西瓜・岩塩・魔石であった。
倒した魔物は以下の通りになる。
藁かかしは、藁で出来た魔物で飛び跳ねて動き回り、足部分の杭で攻撃してくる魔物だった。ドロップ品は藁や枝・魔石。
歩く茸ファミリーは、胞子を巻き散らす攻撃や食いつき攻撃をしてきて厄介ではあったが、胞子を巻き散らかす前に倒せるなら倒すことが出来れば難なく倒せる。ドロップ品は食用茸・魔石。
パステックは、スイカの魔物で転がってくる突進攻撃が主だが、盾でも受け止める事が出来るくらいの突進だった。ドロップ品はスイカ・魔石。
木材かかしは、藁かかしと同じで少しだけ固いだけの案山子である。ドロップ品は木材と枝・魔石。
塩食い植物は、根から地中にある塩分を吸い取り、塩分で鎧を作って守る習性だったが、塩は塩である防御力など無いようなものだった。ドロップ品は岩塩・魔石。
以上の魔物をルナールが何体も倒して、やっと進化できた。迷宮に入って何日過ぎたかが分からなくなってしまったので、一旦地上に戻ることにした。
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