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どうめい  作者: ゴルゴンゾーラ三国


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 本当は、あの夜、追いかけられたことだけじゃない。初めての小テストのときとか、家に出た謎の手のこととか。わたしの周りに起きたことは、全てマネキンの呪いと思い起こさせるようなものだったけれど……でも、せっかく久慈くんがこの場を収めてくれたのだから、それをひっくり返すようなことは言えない。

 フォローしたのに嫌な奴、と、思われたくない。


 あれも全部、マネキンの呪いとは関係ないことだったんだよ、と、自分に言い聞かせながら、わたしは卵焼きを口に入れた。余計なことを、言ってしまわないように。


「……確かに、私たちの学校って、マネキンの呪いの噂が強すぎて、他のはないんだけど、普通、学校の怖い話って言ったら、七不思議よね」


 椿ちゃんも、納得したような表情で、そんなことを言いながら、弁当を広げている。

 話がひと段落したことで、ようやく食べる気になったのだろう。先に食べ始めていたわたしたちはもうほとんど食べ終わっているけれど、椿ちゃんと鴻巣本くんはこれから、と言った感じだ。


「言われてみればそうだな。中学んときはなかったけど、小学校のときは一時期女子で流行ってたわ。全部は知らねーけど、あー……確か、体育館の天井に挟まってるバレーボールが、四時四十四分になると人間の頭に変わって、そいつと目が合うと死ぬ、とかあったわ」


「小学校なのにバレーボール天井に挟まる? 普通高校とかじゃない?」


「うちの小学校、夜に一般のバレーボールサークルに貸し出ししてたから、たまに挟まってんだよな」


 鴻巣本くんと椿ちゃんは、雑談をしながらも食べるペースが早い。昼休みはまだ時間があるけど、わたしたちがほとんど食べ終わっているから、自然と食べる速度が速まるのかも。


「稲取は覚えてるか? 小学校の頃、女子の間で流行ってたじゃん。オレ、小学校のときは秘密基地とか外で遊ぶのに夢中で、そういう噂話とかには疎かったんだよな」


 鴻巣本くんが、琴葉ちゃんに話しかける。小学校が一緒だったのかな。まあ、この辺りって、学校自体が少ないし、おかしな話でもないか。二人はこの町出身なのかも。


 琴葉ちゃんは、食べ終えたパンの袋を小さく折りたたんで縛りながら、「まあ、覚えてるけど……」と小さく言った。わたしたちが何か化け物らしきものに追いかけられた、なんて話の後だから、あんまり言いたくないのかも。

 それでも琴葉ちゃんは、指を折って数えながら教えてくれる。


「そのバレーボールのやつと、理科の観察用池に歴代校長のへそくりが隠されているってやつ、宿題プリントに『死んでもいい奴の名前を書け』って問題が紛れててそれに答えるとその名前が書かれた人が本当に死ぬって話、夜にプール付近を通るときは身代わり人形を持って行かないと引きずり込まれて溺れ死ぬってのと……」


 ……随分と殺意が高い七不思議だな……。理科の観察池のへそくりだけが、妙に浮いて可愛らしいものとなっている。

 それにしても、小学校にも身代わり人形の噂話が織り込まれているなんて、本当にこの土地には、昔から身代わり人形というものが根付いているんだ。


「後は、子供を殺した親が学校に凶器を隠していて、家庭科室の包丁のどれかがその凶器、ってやつと……」


 五個目まで語った琴葉ちゃんだったが、急に声が小さくなっていった。

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