↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうめい  作者: ゴルゴンゾーラ三国


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
35/46

35

 朝のショートホームルームが終わると、わたしと久慈くん、鴻巣本くんは、椿ちゃんと琴葉ちゃんに呼び出される。彼女たちについて行った先は、廊下の突き当り、ちょっと奥まったところ。すぐそばに階段があるから、人通りが全くないわけではないけれど、でも、少なくとも教室の中や、教室を出てすぐの廊下よりは人がいない。


「……昨日、問題集取りに行ったのよね?」


 廊下の隅に着くと、すぐに椿ちゃんが、声を抑えながらもわたしたちに聞いてきた。椿ちゃんが何をわたしたちに尋ねたいのか、その一言だけですぐに分かる。


「俺たちが行ったときにはもうなかった」


 わたしたちを代表して、鴻巣本くんが答える。


「俺と久慈は結構教室探したんだけどさ、全然なくて。……盗まれたとしたんだったら、俺らより前だろうな」


 そういう鴻巣本くんの声音は、みじんも、盗まれたと思っていないようだった。やっぱり、彼も彼で、わたしたちを追ってきた人影のことを、ただの不審者ということにできないでいるのだろう。

 椿ちゃんの質問に答えても、わたしたちは顔を見合わせたまま。わたしたちを追いかけた何かの存在を、言うか言わないか、迷っているのだ。


 人間でない何かに追いかけられた、など、実際に見ていないと信じられないだろう。たとえ、人形が成り代わろうと同じ名前の生徒を殺す、という噂の存在を認めていたとしても。

 わたしたちが何かに追いかけられた、ということはすんなり受け入れてくれるかもしれないけれど、それが何だったかは、分かってくれないだろう。

 だって、遭遇したわたし自身が、あれがなんだったのか分からないままなんだから。


 わたしたちは、あまりにも怪訝な表情で、互いの様子をうかがっているように見えたのだろう。椿ちゃんが「何かあったの?」と聞いてくる。


「……えっと、多分、警備員さんが、不審者がいるって気が付いたの、わたしたちのことだと思う、んだけど……」


 逃げるときに結構な物音を立てた。その後、警備員さんが、わたしたちが逃げ出した図書室までやってきたので、それは間違いないはず。

 なぜバレたのか、という話を、してもいいのだろうか。


 わたしたちが迷っている間に、一時間目の予鈴のチャイムが鳴る。一時間目は体育。着替えをしなくちゃいけないし、このままだと遅れてしまう。

 椿ちゃんと琴葉ちゃんは、まだ話し足りなそうな様子だったが、授業に遅れるわけにはいかない。


「……仕方ないわ。とりあえず、授業に行きましょう」


 椿ちゃんの一言で、わたしたちは解散した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。