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祖父母には学校に課題を取りに行く、と伝えてから、家を出る。まだ日付が変わっていないとはいえ、十分に夜。ごまかすことも考えたけど、もし嘘をついたことがバレたら次に同じようなことがあっても信用してもらえないだろうし、本当に何かあったときに困る。
あと、純粋に、コンビニが近くにあるような場所でもないから、ちょっと出かけてくる、が通用しないんだよね……。
渋っていた祖父母だったが、クラスメイトの男子も一緒で、一人ではないことを説明すると、しぶしぶ了承してくれた。ただ、すぐに連絡が取れるように、スマホはちゃんと持っていくように、と念を押された。
父だったら了承してくれないだろうけれど、こういうところは田舎特有の緩さというやつだろうか。
家に出て、すぐに自転車に乗った二人がやってくる。
「ごめん、待った?」
久慈くんの言葉に、わたしは首を横に振る。
「待ってはないけど……」
二人して自転車で来るとは思わなかった。わたし、自転車持ってないんだよね。
向こうにいるときは必要なかった。一年前の春休みにこっちへ来たとき、移動手段が徒歩しかないのは辛いな、と思ってはいたものの、生活が落ち着いたら買おうと考えていたので、今はまだないのだ。
家の庭のどこにも自転車がないことに、久慈くんたちはすぐ気が付いてくれた。
「もしかして、自転車ないの?」
「そうなの。悪いけど――」
徒歩になっちゃうけどいい? と聞こうとしたわたしと、「じゃあ、後ろに乗れば? 久慈の」と鴻巣本くんが言うのは、ほとんど一緒だった。
「や、でも……。悪いよ」
ここから学校までは普通に徒歩で行ける距離。自転車よりは遅くなっちゃうかもだけど。
「僕はいいよ。……鴻巣本が提案するのは、なんか癪だけど」
「しゃーないじゃん。オレのチャリ、後ろに荷台がないんだから。流石に夜の二人乗りは荷台に乗った方がいいだろ」
……なんだか二人乗りすることで話がまとまりつつある……。
ここでごねたら、遅くなるかな……。家の前でもめるのもアレだし。祖父母に勘違いされるのも困る。
「じゃ、じゃあ、失礼します……」
わたしは、久慈くんの自転車の荷台に乗る。……ドラマとか、漫画とかではたまに見かける二人乗りだけど、実際にやったのは初めてだ。
どこを掴む、とか、どう座るか、とか、すごく迷うな……。
わたしは少し悩んだ末に、右手で荷台を掴み、左手で、久慈くんの服の裾を握る。
「……服だけだと逆に危ないから。ちゃんと腰に手をやってもらっていい?」
「え、あ、うん。……うん」
わたしは左手を、久慈くんの腰回りにやる。
下手に抵抗するほうが意識しまくってるみたいで恥ずかしいかな、と思ったから、素直に従ったけれど……声が震えてしまったから、あまり意味はなかったかもしれない。




