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裏門から学校を出て、四人の後をついて行くと、たどり着いたのは一件の喫茶店だった。
レトロな喫茶店、というか、ちょっと高級そうというか。初めて入るタイプの飲食店で、気後れしてしまう。多少お金は持ってるけど、大丈夫かな……。
店内はわたしたち以外に客はいない。
「……ここ、見た目ほど高くないから大丈夫だよ」
心配が顔に出てしまっていたのか、久慈くんがこっそり耳打ちして教えてくれる。
迷いなく行く様子を見るに、皆はこの店に来るのは初めてではないらしい。大きめのボックス席にわたしたちは座る。わたしの両隣に琴葉ちゃんと久慈くんが座って、向かいには鴻巣本くんと椿ちゃんが腰を下ろした。
席にあるメニュー表を見ると、確かに久慈くんの言う通り、心配するほどの金額ではなかった。コーヒーと紅茶が選べるケーキセットが税込みで千円。その他のドリンクメニューは、五百円前後。フードメニューも、千五百円を超えるものはない。
貰っている月のお小遣いの金額からしたら、そんなに頻繁に行けるわけでもないけれど、今の手持ちの金額からしたら、そこまで困るものでもない。皆は頼むのにわたしだけ無理、という状況にならなそうで、ほっとする。
わたしとメニューを一緒に見ながら、琴葉ちゃんが軽く説明してくれる。
「学校近くの飲食店は四つね。正門の方にあるチェーン店のカフェは学校帰りに使う生徒が多いから、今日はパス。もうちょっと歩くとラーメン屋があるけど、長話はできないし、椿が帰り遠くなっちゃうし。だから、ここ」
「ちなみに後一店舗は、年寄の常連だけで回ってるような店だから、行くのはおすすめはしない」と付け足して。
確かに、その様子だと、ここの店が適当に思える。長話ができないのであれば駄目だし、あまり学校の人に聞かれてもいいような話の内容ではないのだろう。
わたしたちはそれぞれ注文を済ませる。
注文を取った店員がいなくなると、わたしたちの間には、自然と沈黙が漂った。
「――……最初から話すことになるんだけど」
その沈黙を破ったのは、久慈くんだった。低い彼の声は、声量を抑えているにも関わらず、良く聞こえてくる。
「うちの学校、一回自殺者が出てるんだ。いじめが原因で」
――いじめ。
学生にとっては、身近で、それでいて一番関わりたくないワード。テストとか、進路とかも考えたくないけれど、それとはまた別格だ。
人間の生徒がいじめられないように置かれているマネキン、という時点で、嫌なものを感じてはいたけれど……。
「あのマネキンは、それから置かれるようになったんだ。三年間使ったら、生徒が卒業するのと同時に、近くの神社で焚き上げてもらう」
入学と同時に新しいものを買い、クラスメイトで名前を考え、人間の生徒と同じようにクラス替えもして、卒業時にはお焚き上げ。
異物でありながらも、全体的な流れは、そこまで普通の生徒と変わりはなさそうだ。『入学』して、学生生活を送り、『卒業』する。……その入学方法と卒業方法は、人間にはできないことだけど。




