↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうめい  作者: ゴルゴンゾーラ三国


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/46

16

 けれど、あんな気味の悪いもの、好きにしていいですよ、と置かれて、本当に雑に扱う人なんているんだろうか……? わたしなら近づきたくもない。

 とはいえ、どうやら真壁、というクラスメイトは積極的にいじめていたらしいし、やる人はやるのかもしれない。


「生贄の名前が『うりはりぷりんせす』で、……りくさんの……、いえ、貴女にとって、アレの名前が『うりはりぷりんせす』なのは、気味が悪いでしょう。だから黙っていようと思ったのだけど……」


 椿ちゃんが、説明しながらも、言葉を濁す。わたしの名前がアレと一緒、ということを口にしたくないのかもしれない。


「アレの名前って、『うりはりぷりんせす』に限らず、絶対に学年に同じ名前や似たような名前にならないように、一年のときに皆で考えるんだよな。うりはり、って実在するのかも怪しい苗字らしいし、ぷりんせす、なんて名前普通はいないって……あー……えっと……」


 説明してくれていた鴻巣本くんが、ハッとしたような表情をして、一気に口ごもる。そして、言葉を失うと、久慈くんに軽くどつかれていた。

 普通はいない名前。

 そう思ってあのマネキンにその名前をつけたのだろうけど――実際、その名前で十七年、生きてきた人間がここにいる。普通はいない名前、と言われたけれど、鴻巣本くんの顔からして、悪気があって言ったわけではないのだろう。


「――……わたしもそう思う」


 なるべく笑っていったつもりだったのに、鴻巣本くんは気まずそうに目線を逸らした。うまく笑顔を作れなかったのかもしれない。


「でも、その……『うりはりぷりんせす』って名前だと、何が問題なの?」


 わたしからしたら、気味が悪いし、嫌だなって思うけど、そこまで必死になって、名前が一緒だと言わないようにしたり、テストまで徹底的に別名を使ったり、そうする必要はあるのだろうか。

 わたしが聞いてみると、四人は顔を見合わせ、四人で言葉を探しているような素振りだった。

 誰が、何を言うのか、視線で探りを入れている。

 少しして、ようやく口を開いたのは琴葉ちゃんだった。


「全部話すのは平気なんだけど……最初から話さないと分かりにくいし……。……えっと、時間大丈夫なら、場所、変えない?」


 琴葉ちゃんがちらり、と、マネキンの方を見て、言った。

 これ以上、ここで――あのマネキンのいる空間で、この話を続けたくないのだろう。

 幸い、特に用事があるわけでもない。荷解きは終わっていないけれど、すぐに必要なものは全部段ボールから出してあるから、二、三日くらい、荷解きを放置したって問題はない。


 わたしたちはそれぞれ荷物を持ち、教室を出る。

 少し先を歩く四人の後をわたしはついて行く。いつも、わたしが使っているのとは違うルート。少し遠回りだったけれど――四人が選んだ廊下は、一度も、他のクラスの教室の前を通ることはなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。