↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうめい  作者: ゴルゴンゾーラ三国


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
14/46

14

「あ……」


 わたしは思わず声を上げる。黙っていれば、気が付かれなかったかもしれないのに。

 わたしが声を上げたことで、

教室内の面々に、わたしが廊下にいることを知られてしまった。


「あ……り、りっちゃん」


 琴葉ちゃんが、教室から出てきて、わたしを呼ぶ。


「え、えっと……」


 わたしも何か言おうとして、でも、言葉が見つからなかった。

 わたしのことじゃないかも、と思ったけれど、それだって確証がない。わたしがおかしな名前なのに変わりはないのだから。


「……はぁ、もう、全部話しちまおうぜ」


 頭をかきながら、一人の男子生徒がわたしたちの方へとやってくる。


「鴻巣本(こずもと)……」


「別に話すくらいならなんでもねーって。そりゃなんも知らない方がいいかもしんねーけど、あと二年はこの学校にいるなら、知っといたほうがよくね?」


 琴葉ちゃんに鴻巣本と呼ばれた男子生徒が、「ちょっと待てって」と、止めようとする久慈くんを追い払うように手を振った。


「オレは鴻巣本雄陽(ゆうひ)。りっちゃんと話すのは初めてだから、一応、名前、教えとくわ」


 鴻巣本くんは、「席はあの辺」と言いながら、指をさす。廊下側から二番目の列の、前の方だ。確かに、わたしが廊下側の一番後ろだから、話すタイミングはない。近いようで、遠い席。班分けをするとしても、同じグループにはならないだろう。


「りっちゃんってさ、ホラー苦手?」


「え?」


 急な話題転換について行けず、わたしは思わず聞き返してしまった。いきなりどうしたんだろう。今、そんな話の流れだったっけ……?

 でも、鴻巣本くんは、わたしの返事を黙って待っている。なら、彼の中では話がつながっているんだろう。


「に、苦手ってわけじゃないかな……。好きでもないけど」


 ホラーものや怪談は、自分から好き好んで見聞きするわけじゃないけど、かといって嫌いだと避けるほどでもない。お化け屋敷やホラー映画だって、誘われれば普通についていく。


「成程、良かった。今から話すの、怖がりだったら可哀想だからさ」


 そう言って、彼はゆっくりと腕を上げ――指をさした。

 あの、窓際の席に座っている、マネキンを。


 今日もマネキンは、座らされたまま、そこにいる。一日中、無視されているマネキン。授業中、プリントはアレを避けるように回され、グループワークのために机を動かすときにも、あの机だけ動かない。

 それは掃除のときも、変わらず、あの周辺だけが、掃除されない。


 その、マネキンをさして、鴻巣本くんは言った。


「アレの名前、『うりはりぷりんせす』って言うんだよ」


 と。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。