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放課後。
案の定というか、なんというか。わたしは土湯先生に職員室へ呼び出され、小テストの名前の件について注意されていた。
土湯先生の手には、今日やった、わたしの小テストのプリントがある。
「貴女の名前が少し変わっていて、使うことに抵抗があるのは分かるわ。でも、友人間の呼び方ならともかく、こういったものにはちゃんと書いてもらわないと」
「はい……」
わたしは、土湯先生の言葉にうなずきながらも、言い訳をしたい衝動に駆られていた。
わたしだって、本当はちゃんと書こうと思ったのに。
でも、マネキンがこっちを見ていて、それが怖くて書けませんでした、なんてこと言えるわけもない。
「せっかくテストが全問正解でも、ちゃんと名前が書けなきゃ点数にはならないのよ? 今回は初回だし、小テストだから大目に見てちゃんと成績に入れてあげるけれど、定期テストは――」
「土湯先生、少しいいですか」
わたしを叱る先生の横から、一人の男性教師が、横から手を伸ばしてわたしのテストを取る。随分と白髪が目立つものの、身なりがしっかりしていて、姿勢がいいので、老いをあまり感じない先生だ。
「……貴女、転校生でしたよね? 名前は?」
「六月一日……ぷ、愛姫です……」
すごく言いにくかったけれど、言うしかない。
わたしの名前を聞き、男の先生は少し考えるような様子を見せた。
「うりはり……。なるほど、二年四組でしたね。……今後もこの名前で書きなさい。成績の最終チェックは、土湯先生以外でもしますから、この名前で書いてもきちんと成績に反映させます」
「え……」
わたしは驚いて、思わず声をこぼす。それはわたしだけでなく、土湯先生も同じだった。
「白石先生、何言っているんですか。名前はちゃんと書かないと――」
……白石先生。この人が。
久慈君が、「白石先生なら絶対分かってくれる」と言っていたことを思い出す。
「駄目です。この名前で書きなさい」
白石先生が、強く言うものだから、土湯先生は気圧されて、口を閉じてしまった。
――ここまでくると、逆に気味が悪い。一体、わたしの名前がなんだというの。
困惑するわたしと土湯先生に気が付かないのか、それともあえて無視しているのか。白石先生は、淡々と、「帰るのならば、気をつけて」と言いながら、小テストのプリントを土湯先生のデスクの上に置いた。
どうしたらいいのか分からず、わたしも土湯先生もしばらく動かないでいたが、白石先生が「もういいですよ」というので、わたしはすっきりしないまま、職員室を後にした。




