乙子ルート 第7日目⑦
⑦
さすがに終わってそのまま、というわけにはいかないので、オレたちは風呂に入った。
もちろん、別々に。
十何年ぶりにいっしょに、って考えも浮かばなくはなかったんだけど、オレの理性がもちそうになかったので、それはやめておいた。
押し倒す確率百%だからな。理性がもつ自信がありませんよ、ええ。
それじゃ、わざわざ二回で終わらせた意味がなくなってしまう。
風呂に入る時に童貞を失ったことで何か変わったかどうか確かめるべく、好奇心旺盛な子どものごとく、久し振りにちんちんをじっくりと観察してみた。
え? 別に変わったことなんてあるわけないだろって? 処女じゃあるまいし。
いえいえ、それがあったんですよ、変わってることが。
それは「ホクロがなくなってた」ってことだ。
オレのちんちんの根元には米粒大の四つ星型のホクロがあったはずなのに、それがキレイサッパリとなくなっていた。
オレはこのことで初めて末理さんが言っていたドラゴンチェリーの話が本当だったと実感した。
まあ、別に疑ってたわけじゃないけどさ。
今日はもう色んなことがありすぎて、もう眠れそうにない。
そんなわけで、オレは乙子に全乙女の夢「腕枕」をしている。
もちろん、二人とも服を着てるし、お触りもなし。
しつこいようですが、オレはそんな空気の読めない子じゃないんで。
「これからまた、『おとちゃん』って呼ばせてもらうけど、いいかな?」
「いいよ。じゃあ、あたしも『さーくん』って呼ばせてもらうね」
「もちろん、二人きりの時だけ。オレたちがいきなりそんなラブラブ光線出してたら、達人とかも変に思うだろうし」
「だよね……」
この一週間童貞を捨てるためにがんばってきたわけだが、まさかこうして乙子とピロートークすることになるなんて夢にも思わなかったなあ。
人生って本当にわからないものだ。
そんなラブラブな会話をしつつ、昔のことを夢中で話し合った。




