乙子ルート 第5日目⑤
⑤
「どう? 気分は。少しは良くなった?」
「おかげ様で。別の部分まで元気になっちゃいそうですよ」
軽口を叩くくらいの元気は出てきた。主に精神的に。
「……今度セクハラ発言したら即やめるわよ?」
「む、了解。今のはオレが悪かった、反省」
「やけに素直ね?」
「オレはいつでも素直ですよ?」
そのくらいこのヒザ枕の魅力は離れがたいものであるわけで。
その後、三十分くらいオレはヒザ枕を堪能させてもらった。
そして。
「気分は良くなった?」
「おかげ様で」
復ッ活ッ、立里貞君復活ッッ! 立里貞君復活ッッ! 立里貞君復活ッッ! 立里貞君復活ッッ! 立里貞君復活ッッ! 立里貞君復活ッッ!
烈先生ならきっと何かに憑りつかれたように、そう連呼してくれると思われるくらいにオレは超回復した。
死の淵から復活した宇宙猿のごとく、今ならザ○ボンさんだって瞬殺できそうだ。気のせいだけどな。
とにかく、オレのウリャウリャ度(=テンション)はゲージを振り切ってる状態だ。
そんなウリャウリャ度が突き抜けてるオレの前にふたりの兄嫁、じゃなくて二人のゆとりが現れた。
「おうおう、お二人さん、いいふいんきじゃん」
「楽しそうじゃん。その楽しさをオレたちにも分けてくんねーかな?」
出たよ、「ふいんき」。
いかにもゆとり世代って感じだ。
「あんたたちみたいなゆとりに分けてあげる楽しさなんてないわ。とっとと消えてなさいよ」
嫌いな相手にはとことんキツイ乙子。
そんな乙子の態度がゆとりの精神を逆なでする。
「なんだと? このアマ。人が下手に出てればいい気になりやがって……。犯すぞ、ゴラァ!」
ゆとりがすごむ。
女の子相手にサイテーですね。
乙子を守るため、オレはゆとりの前に立ちふさがった。
「そんなかわいげのない女だけど、オレにとっては大事な幼なじみなんだ。そいつに手出したらただじゃおかねーぞ?」
「なんだ、テメー。こいつのカレシ(発音↑)か? カレシ(発音↑)ならカレシ(発音↑)らしく女の調教くらいしっかりやっとけよ!」
「幼なじみ」と言ってるのに。
こいつらの脳ミソはサメくらいの大きさしかないのだろうか。
あ、それはいくらなんでも失礼か、サメに。
あと「調教」じゃなくて「しつけ」な。
ボギャブラリーの貧困なヤツらめ。
「彼氏じゃないっちゅーに……。とにかく、女の子相手にすごんでんじゃねーよ。カッコ悪いぞ?」
「んんだ!? やんのか、ゴラァッ!」
そう言って殴りかかってくるゆとり。
某タロスみたく、いつも自己完結で「答えは聞いてない」んだろうな。
まったく、ゆとりはゆとりらしくゆとってろ(造語)よ。




