乙子ルート 第5日目④
④
いや、実際には生きてるけどさ。
こんなのおかしいですよ、カテ○ナさん!
なんで好き好んで、金払ってまでこんな拷問器具に乗らなければならないのか。
色々おかしいよ! この世界は狂ってる!!
要するにエロゲ的な言い方をすれば、オレとKITADAKEの体の相性は最悪だった、とまあそういうことさ。
そんなわけで、オレは今ベンチでぐったりしている。
「大丈夫? 顔色、悪いわよ」
そう言って乙子がオレの顔をのぞきこんでくる。
その表情は真剣そのものだ。
本気で心配してくれることがうかがえる。
「面目ない……」
本気でぐったりしてるオレはそう返事するのがやっとだった。
……お前、今オレを笑ったか?
言っておくけど、高い所がダメなわけじゃないんだからねっ! スピードに高さが加わるとダメなだけなんだからっ!! カン違いしないでよっ!
こんな時でもオレのツンデレ魂は全開なわけで。
どっちか一方なら平気なんだけどな。真面目な話。
効果が二倍じゃなくて二乗になってるっぽい。しかも、数は八とかその辺。
二倍だったら十六だけど、二乗だったら六十四で倍にした時の四倍もの威力を発揮するわけさ。
これはぐったりしても無理ないよね。YESと言えッッ!!
オレが脳内でそんな頭良さげなことを考えていると、乙子が死刑宣告にも等しい言葉を吐き出した。
「冷たいもの買ってくるから、あんたはここで待ってて」
それだけ言ってオレを置き去りにする乙子。
放置プレイですか、そうですか。
オレの扱い、ひどくね?
一応主人公ですよ? もっといたわれよ。
いえ、いたわって下さい。お願いします。
ウサギはね、さびしいと死んじゃうんだよ?
オレはウサギじゃないけどな。
とか考えてたら、もう戻ってきた。早っ。
「ほら、これで冷やしなさいよ」
そう言って缶ジュースをオレに渡す乙子。
「すまんのう、ワシがこんな体じゃなかったら……」
「それは言わない約束でしょ、おとっつぁん……って、何言わせんのよっ!」
うむ、お前とはいい相方になれそうだ。
額に缶ジュースをあてる。
ひんやりとして気持ちいい。
「ふぅ、生き返る……」
一息つく。
「ほら、ここ。頭載せなさいよ」
そう言って、自分のヒザをポンポン叩く乙子。
幼なじみ×ヒザ枕。
あからさまなフラグ立てだ。
……これは誘っているのか?
「―来いよ」
「バカ言ってないで、頭」
「ん……」
乙子のヒザに頭を載せる。
柔らかくて、あたたかい。
なんか落ち着く。
人の温もりに触れたせいか、ほんの少し気分が楽になった。




