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乙子ルート 第5日目②

 遊園地「年増園」。

 八月五日 午後十二時二七分。


 早めに家を出て、オレは待ち合わせの三十分前には到着して待機していた。


 昔っから遠足の日とか必要以上に早く来てしまう性分だったりする。


 ガキみたいだって? うるさいな、遅れるよりマシだろ。


 それから十分程度経ったところで乙子もやってきた。


 えらい早いな、おい。


 まあ、人のことは言えないんですけどね。


「うわ! 貞君、あんた何二十分以上前に来てるの!?」


「そう言うお前こそ」


「はは~ん、あたしと遊園地に来るのがそんなに楽しみだったわけね」


「その言葉、そっくりそのままリボンをつけてお返しします」


「でも、あんたの方が早く来てたんだし、あんたの方が絶対楽しみにしてたわよね?」


 ぐうの音も出ない。


「まあ、今日のところはそういうことにしておいてやろう」


 そんな負け惜しみを言いつつ、せっかく二人とも早く来たので、オレたちは前倒しで入園することにした。


 ゲートをくぐり抜け、中に入る。


「遊園地なんて来るの、久しぶりだわ」


「オレもすげー久しぶり。ガキん時以来かも」


「ま、いい歳してくるような所じゃないわよね。付き合ってあげてるんだから、感謝しなさいよ?」


 お礼してるのはオレだというのに。


 まあ、一種の照れ隠しか。


「はいはい、このクソ暑い中ご足労願って姫には本当に感謝してますよ?」


 オレもそれに合わせて投げやりに答える。


「心がこもってないわよ?」


 両手でほっぺを引っ張られる。


「すびばせん、ばじであんしゃしてあふ…(すみません、マジで感謝してます…)」


「なら、よろしい」


 そんな感じにいつもの空気をキープ。


 楽しい一日になりそうだ。


「それで、どれから乗る?」


「姫のお好きなものから」


「なによ? 主体性がないわね……。じゃ、あれから行くわよ」


 ジャブ程度のアトラクションを目指して乙子の後に続くオレだった。

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