乙子ルート 第4日目③
③
今言われた言葉の意味を考えてみる。
ドラゴンチェリーであるオレが童貞の内に末理さんとセクロスしないと、オレの星は末理さんに譲渡できない。
だから、末理さんは美味いエサで魚を釣るような露骨な真似をしてきたんだろうけど、さてどうしようかな。
オレも男だし、エロいことは当然したいけど、「そこに愛はあるのかい!?」とか大昔のトレンディードラマみたいなことを考えないでもない。
そんなことを考えながらなんとなく街をブラブラ歩いていると、
「あ、貞君」
「おう、オトコ」
乙子に遭遇した。
「最近よく会うな」
「そう? 偶然よ、偶然……」
家が近所なのはもちろんわかってるけど、最近は本当にエンカウント率が高いな。
なんか末理さんに会った後はいつも乙子にも遭遇してる感じだ。
それに心なしか乙子の目が泳いでいるような……。
ま、気のせいか。
「お昼はもう食べたの?」
「いや、まだだけど?」
「なら、これからいっしょに食べない?」
「あん? オレが? お前と?」
「あたし以外に誰がいるのよ……。 どうせコンビニ弁当とかカップラーメンばっかなんでしょ? たまにはおいしいものを食べさせてあげるから来なさいよ」
「おそろしい子だな、お前は……。ただでさえ金のないオレからたかるつもりか? お父さんはお前をそんな子に育てた覚えはありませんよ?」
「つまんない冗談はいいからとっとと来る。どうせヒマなんでしょ?」
「……」
少し考えた後、オレはその誘いにのることにした。
「はいはい、どうせヒマですよ。んで、何を食わせてくれるつもりなんだ?」
「ついてくればわかるわ」
そう言ってさっさと歩き出す。
まったくせっかちなんだから。
そんなところもラヴ。ウソだけど。
少し歩いたところで、乙子が目指している場所に気づく。
この方向にあるのは……スーパーだな。
コンビニは通り過ぎたし、この辺で食料を調達できるめぼしい場所といえばスーパー「いなりや」しかない。
そんなわけで、オレたちは近所のいなりやに来ていた。
で、乙子はというと手際よくカゴの中に食材を放り込んでいる。
もちろん、カゴはオレが持たされているわけで。
「おいしいもの、って言うから何食わせてくれんのかと思ったら、お前の手料理かよ!?」
「そうよ。外食じゃバランス悪いしね」
「オトコ、お前が料理を作る前に一つだけ確認しておきたい……」
「何よ?」
「命の保障はしてくれますか?」
真顔でオレは訊いた。
これは冗談じゃない。ガチだ。
昔、乙子の料理を食べてキレイなお花畑が見えたことがあったのですよ。
そこはとてもあたたたかな光に満ちていてですね……。
死んだおじいちゃん(貞伴)が「貞君、お前はまだこっちに来ちゃあいけない!!」と叫んでて……。
ま、その話は置いといて。
「大丈夫よ、任せなさい」
やけに自信満々な乙子。
信じてるぞ。
「信じてるからな……」
そうは言いつつ、一抹の不安を消し切れないオレだった。




