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78/104

78:三日後

そして、最終防衛ライン崩壊から三日後……

78:三日後




あれから、三日が過ぎた。

階層を越えたがために分かった事も多かった。

解析から得られた情報も幾つか増えている。


それでも、やはり、プレイヤーの士気は低い。

第四層、200階、大邪神ガラエルという「目指すべき場所」が失われ、ゲーム自体をやめてしまう者も少なくない。


「祭り」はもう、終わってしまった。



だが、そんな中、変わらない熱意でプレイを続ける者達もいる。




コウヤ達はついにベリーハードをクリア出来る所まで進んだが、あえて最終決戦を避け、レベル上げとトレハンに勤しんでいる。

最難関のインフェルノでは難易度が急激に跳ね上がるため、ベリーハードに戻れなくなる前に戦力の充実を図る必要があるからだ。

この先に待つ難関が彼らの冒険心を刺激し、様々な攻略や強化案を各自で組み立て、活発に情報を交換する。

いつも通りか、いつも以上に充実したゲームプレイが続き、順調にレベルも上がっている。

ただ、一つだけ難点があるとすれば、先週末頃からやたらと勝ち誇るかのようにコウヤに甘えだしたユウイのイチャイチャぶりだ。

確実に他の全員の士気を削いでいるのは間違いない。

そう、コウヤも含めて、全員、だ。



また、ハナミ、ソノカ達から始まって、クラスメイトの面々の中からもマジホリを新たに始める者が増え始めている。

高いノートパソコンを買わずとも、一万円以下の古い型で十分遊べる、という点も始めやすさに繋がっていた。

コウヤ達以外でも、クラスメイト同士でパーティーを組む者が増えてきている。

それは新たなバグ生成の原因にもなりかねないのだが、誰も彼らを責められはしないだろう。

ゲームを始める前にwikiに書いてあるややこしい長文の注意書きをじっくり読む者など限られている。

小学生らしいうかつさで、新規プレイヤーはジワジワと数を増やしている。



そんな中、ただ一人延々インフェルノダンジョンに挑み続けているクラガ達三人だけが浮いていた。


クラガはずっと機嫌が悪い。

四層の最終防衛戦が失敗に終わったのは、俺にも出番があるはずと息巻いていた彼にとって望ましい展開のはずだ。

それなのに、かなり機嫌が悪く、下手な事を言えば殴り飛ばされかねない有様だった。

その理由は明らかだ。

彼の成り上がり計画に、明らかな綻びが見え始めていたからだ。


ここまでは、恐るべきスピードで進んできた。

現在、クラガの暗黒騎士のレベルは156。

それに無理やり付き合わされてきたウスデ&モジヤも、既にそれぞれ140レベルを越えている。

怒鳴り散らして、二人にはBOTでの経験値稼ぎを強行させてきた。

その甲斐あって、後発の二人も見事にインフェルノダンジョン二層まで着いてきている。

が、それがまた、クラガを苛立たせる要因の一つになっていた。


悪戦苦闘し、ダンジョンをジワリジワリと進めていく自分に対し、レベル上げに集中させている二人の方が、明らかに成長の速度が速い。

他のプレイヤーとの交流もしているらしく、装備の更新、アップグレードも多い。


それと比べて、俺は……


そう、クラガは苛立っていた。


ゲームの才能を見せつけ、虚無と戦う所まで一気に登りつめ、天才プレイヤーとして名を馳せ、クラスの連中を見下し、嘲笑ってやる……

その計画が、頓挫しつつある。

このままでは、いつまで経ってもこの二層から先には進めない……


だから、怒鳴り散らし、八つ当たりをし、ウスデ、モジヤの二人もまた、クラガと距離を取り始める。


ボスを怒らせないよう、当たり障りの無いよう、言われた事をこなしつつ、クラガの知らないところで、他のプレイヤーと一緒に楽しいゲームプレイを続けている。





では、ムラマサ達はどうなったのか。



彼らは、まだ、151階にいる。



用心のためにと、キツネがずっとログインを続け、151階に戻る手段を維持し続けていたが、それは無用の心配だった。

普通に新たにゲームに入り直したマジメイジも、151階からインフェルノダンジョンをリスタートする事が出来た。

151階では下り階段を必要としないため、虚無が通り過ぎた後、四層151階だけは、破壊されずに残っていたのだ。


虚無を追う事も出来ず、151階に取り残される形で、彼らはそこにいた。


過ぎ去った日々の残滓を慈しむように、虚しさを抱えたまま、彼らにとって難易度の低すぎる151階へ、日課のように戻ってきてしまっている。




一応、中堅プレイヤー達による虚無足止め作戦はまだ続いている。

だが、その参加者も随分と減ってきていて、大した時間稼ぎには繋がっていないようだ。

更に一名が虚無と接触し、犠牲となってからは、ますます敬遠するプレイヤーが増えている。

戦い続ける士気の不足の問題から、対虚無チーム自体が解散してしまうのも時間の問題と思われた。




誰もが、戦いは終わったと、そう感じていた。


ゲームを深く知る者ほど、もう希望は断たれたと、そう確信していた。



あと一歩、あと一日、いや、あと数時間でも早く彼の解析が終わっていれば、あるいは間に合ったのかもしれない。


だが、もう、その方法を試す機会は無い。


二つの新たな発見も、彼らの虚しさ、心の傷を、より大きくする物でしか無かった。





彼らの心の「熱」が完全に失われた影響は大きく、次に事態が動き出すまで、更に数日の時間を要した。








整合性のミスで後から修正する事になりそうな予感がする回。

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