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70:敵はゲームの外にいた

マジホリRSが極めて危険な状態にある、との情報を持ち帰ったキツネ達は……

70:敵はゲームの外にいた




ユウリの父とサイバラの二人は、短い時間の中で、ただ一つだけ成果を出す事が出来た。

サーバー自動メンテを止める事がまず何より先だろうと、その日の内に設定部分を突き止め、これを停止。

そこまでで滞在時間の限界となった。


「いやぁ、しかし、これは僕には簡単に修復できそうにないぞ……」


頭を抱えるサイバラ。

協力者がいてくれたからこその成果であると、自分でも分かっている。


「私も、そうそう時間を取れませんからね……」


ユウリの父も、IT企業の社長として、自身の裁量で多少は好きに動ける身ではあるが、そう趣味に時間を割ける訳ではない。

その上、自身はRSをプレイした事が無いため、ソースコードを見ても、それがゲームのどの部分であるのかを直感的に理解出来ず、サイバラ達の同席が無ければ手が出せない状態だ。


今すぐに事態を解決する、というのもどう考えても不可能だった。

動いているサーバーから直接コピーを取り、持ち帰って、主にサイバラがソースコードを研究する事になる。

他の三人もそれぞれコピーを受け取るが、結局これを解析可能な専門知識を持つ人間は四人の中にはいない。


「そろそろ、公表の頃合いじゃないかしら?」


キツネの提案に四人は賛同する。

最早、内々に調査を進める段階は終わったものと考えられる。

どこの誰から攻撃を受けているのか分からず、対処方法も分からないと来れば、もう以前荒らしの攻撃を受けた訴訟騒ぎの時よりも危険性は高いと見るべきだ。

より広く知見を求め、解決策を募るが良いだろう。


故・カノザキ氏の両親からコピー配布、及び公表の許可を得て、四人は帰途に着いた。






158 キツネっち ****/**/**(水) 22:05:42.98

 有識者の協力を得て、マジホリRSのサーバーを直接調査して来ました

 分析・解析にはまだまだ時間が掛かりますが、現状知りえた事を取り急ぎ記しておきます


 ・サーバー管理人、カンさんは3ヶ月前にお亡くなりになっていました

 ・ご冥福をお祈りします……

 ・この事から、御遺族の了承を得られるまで詳細を明かす事が出来ませんでした

 ・御遺族とマンション管理人の手でサーバーマシンの監視だけは行なわれていた

 ・中身のチェックは一切行なわれず、いつ何があって虚無事件が始まったのかは一切不明


 ・ボスデータは追加されていなかった

 ・虚無は通常の手順で追加されたボスではない


 ・バックアップデータはなぜか全て抹消されていた

 ・虚無出現以降、四週間掛けて一つずつサーバーが死んだ?→次は無い?

 ・次回メンテで全ユーザーデータ消滅の可能性あり

 ・メンテ設定を改変し、目処がつくまで定期メンテを廃止


 ・水曜日午後2時時点での本サーバーのデータを丸ごとコピーして解析を開始

 ・★!緊急!★ ソース解析に長けた人物の協力求む→カミさんと連絡取れない?




各プレイヤーが待ちに待ち続けた情報の到来。

だが、それは予想を越える現状の厳しさを伝えるものであり、朗報と呼べるものでは無かった。



(つまりは、あと数日で解決するメは無いワケだ)


冷徹な現実は、おそらく虚無を止める手段がゲーム内には無いという事を伝えてきた。

ムラマサは悲壮な覚悟を決める。



(やはり、か……)


山田マンは、誰かが追加の隠しボスとして虚無を作ったとかいう単純な話では無い事は以前から予想していた。

その上で、この問題を解決するには、自分の技術が必要となるのではないか、と、大きな覚悟を決めざるを得なかった。

己に課された、「一プレイヤーで居続けろ」という枷を無視するか、あるいは……



wiki管理人であるマジメイジは、直ちにこの告知をwikiトップページに記載。


彼が記載した見出しは、


< 敵はゲームの外にいた >


という物だった。


この強い印象を持った一行が目立つ場所に掲示される事により、より多くのプレイヤーが新たな異常事態に気付く事となる。






キツネがwiki掲示板に告知を投下した、その日の夜、コウヤとマヤ、ユウリとユウイは、それぞれの父親からRSサーバーの件を直接明かされる。


(なるほど、コウヤ君が話せなくて悩んでいたのはこの事だったのか……)


人の生死が絡んでいる以上、気軽に話していい事でも無いと、ユウリもようやく納得がいった。

だが、事態は思った以上に深刻だ。

メンテナンスが出来ない、と言う事は、例え微細な問題であろうとも、今後は一切のバグ、不具合の類がリセットされないという事だ。

このままゲーム続けていていいものか、という思いが尚強くなってしまうが、だからと言ってどうすればいいのかも分からない。


いや……


出来ることなら、ある。


「父さん、ちょっといいかな」


仕事が忙しい父に成り代わり、ソースコードの解析に協力する。

必要なツールすら分からないゼロからの出発だが、それでも、何もしないで終わりを待つよりはいい。

何かせずにはいられない。

そんな気持ちをどうにか出来る分、自分はまだマシだ。


コウヤは今、どんな気持ちでいるのだろうか……




エンコーダーとデコーダーの説明は省くべきですかねぇ……

とりあえず今回は見送りました。

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