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55:ALL-IN

虚無討伐隊の八人は、持ち得る全てを使って最大火力を叩き込む!

55:ALL-IN




怒涛。

まさに怒涛の進撃。

今日のトップランカーは迫力が違った。

立ちふさがる通常ボスは全て瞬殺。階ボスを虚無に見立てたダメージコンテスト状態である。

瞬く間に165階まで到達。

ここで、第二チームの報告を待つ。


第二チームは、人形姫、つらぬき丸、軍団長ゴリ、杜谷みみか、の四名。

メインチームの1時間前に出発し、虚無の現在位置を確認することのみを目的としている。

戦力は不足しているが、ドールマスター自慢のアイアンゴーレムを壁とし扱い、堅実に階を進めていた。


第二チームが階段を降り、安全を確認してから第一チームが降りる、という安全策を取り、一階一階確実に事故のリスクを避ける。

そして、第二チームが虚無と遭遇。170階で階段とは離れた位置に存在する事を確認。

メインチームも170階に降り、戦闘準備を開始する。



『ダアァァァァァッ!!』


まずブッチーのウォリアーが効果時間の長居「闘志の雄叫び(バトルクライ)」を発動。

パーティー全員の物理火力が20%以上増強される。


『ヤァーッ!!』『ヤァーッ!!』『ヤァーッ!!』


うるさく叫び声を連発しながら、発光大王子のロードが号令スキルを高速で切り替えながら次々発動。

使用毎にピカッと光るのがキャラクター名の由来だ。

これによりパーティーメンバー全員に全属性攻撃力、近接火力、射撃火力、の上昇効果がほぼ同時に掛かる。


一閃のパラディンも、属性ダメージを強化する主力の「天恵の加護」とは別に、「剛力の加護」「勇猛の加護」を高速で切り替え、パーティーメンバーの攻撃速度、物理ダメージをも同時に強化する。

こちらは発動時の演出が無いため、静かに展開される。


『フンッ!』『フンッ!』『ニンッ!!』


ブッチーはせめてもの支援にと、デバフ効果の付いた手斧や各種毒薬ポーションを次々と投げ、キツネっちもデバフ効果の忍術スキルを撃ち込みながら味方の支援スキル発動を待つ。


『ハッ!!』


そして、味方の一連のスキル発動が終わったのを確認してから、キツネは「狂化薬丸」をムラマサに発射。

ムラマサの防御が激減し、火力が飛躍的に増大。


:山田マン

:なう


山田マンがMisscodeチャットに合図を入力。

その着信効果音を聴いた辻スミスが、ムラマサに「瞬間(フラッシュ)強化ブースト」を発動。

これで、次の一撃のダメージは258%強化される。


村正は、数字キー「0」にスキル「武器投げ」をセット。マウスカーソルを合わせ、現在のスキル性能を確認する。

スキル効果画面上の表記で、ダメージ値は10万に到達。

射出用に用意した最上級(アルティメット)武器「妖刀村正」の数は三本。三本共に最上級ルーン「ゾル・ムド」が嵌め込まれており、その中でも火力の数値が最も高い物を装備する。

表記ダメージは11万に到達。

wikiのダメージ計算シミュレーターによると、物理半減を持つ200階ボス、体力99万の大邪神ガラエル相手に30万以上のダメージを与えられる計算になる。


『行くぞ!!』


ボイスチャットにムラマサの声が響く。


虚無の巨体の中心にマウスカーソルを合わせ、適切な距離を取り、正面に立って、数字キー0を……


押す!!




『イヤァァーッ!!』


ムラマサの分身、MURAMASAMUNEが気合の音声と同時に片手を振り上げ、振り下ろし、刀のグラフィックが一直線に飛んで行く。

投擲の弾速は矢より遅い。


息を飲み、その十数フレームを見守る八人。


刀は、ついに虚無へ命中し……







ポップアップした数字は、無情。


『覚悟の上だっ!! 次! 時間火力!!』


ムラマサは動じず、叫ぶ。


パーティーは山田とマジメイジに対する支援へと行動を切り替え、二人の物理&属性射撃が始まる。




あらゆる攻撃が0へと変換される、絶望の戦い……

その戦いは、3時間続いた。

ひたすら、火力を叩き込み続けた三時間。

10分経過毎に、ムラマサは「瞬間強化」を受けて妖刀村正を「武器投げ」で放ち、三本使い果たした後も茶色(ユニーク)武器を投げ続けた。

大邪神が秒殺される程の火力を三時間叩き込み続けた後、手持ちの回復ポーションが尽きた事により、一行は撤退を決意する。


予想していた事とは言え、一つの希望を打ち砕かれた後の、無念の撤退であった。






(予想通り、だな…… これはそろそろ、俺も……)


山田マンは、先送りにしてきた計画を実行に移す頃合いだと決心を固めていた。

とは言え、このまま見切り発車するする訳にも行かない。

面倒な事この上なく、精神的苦痛も大きいだろうが、まずは許可を求める所から始めなければならない。


 ポォォン……


と、Misscodeの着信効果音が鳴る。

個人間メッセージが届いている。



:キツネっち

:緊急連絡03号 待つ



(渡りに船、か)



悲壮な決意に固まっていた山田マンの表情が、僅かに穏やかな物へと変わる。








ALL-IN = 全賭け


そして問題点を一つ思い出しました。

第7話で「投げた武器は本来残るはず」と書いてしまったので、ここは一つ、「武器の等級毎に投げられる回数が決まっていて、赤色装備は1回」とでもしておきましょうか……

※7話修正しました※

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