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39:アクト6、堕天使ラーテ

ボイスチャットを導入したコウヤ達は、アクト6のボスに挑む。

39:アクト6、堕天使ラーテ




土曜夜、コウヤ達は導入したばかりのMisscodeとヘッドセットを確かめながら、初めてのボイスチャットプレイを開始した。


再開はアクト6ボス戦直前、「地底の獄門」のタウンポータルからとなる。


『なんか変な感じー』


『部屋に誰もいないのに画面に向かって話しかけるというのも落ち着かないものがありますわね』


『まあ、こうして打ち合わせしながら動き回れるのはありがたいですね』


『遠慮なく内輪の話もできるしね』


『じゃ、そろそろ行くか!』


五人それぞれ、真新しい体験にソワソワしながらの落ち着かないスタートだったが、コウヤの音頭で攻略を開始。


「獄門」と名の付く通り、ここは地底の奥深く、生きた人間ではたどり着けない神の領域。

いわゆる、地獄だ。

そこでは、先の魔界の戦いで敗れ、魔王軍に囚われた天使の軍勢が、鎖に繋がれ脊柱に縛り付けられた無残な姿を晒している。


そして、その石の柱の並ぶ道を進んで行くと、開けた場に出る。

一際大きな柱に縛り付けられているのは、天使ラーテ。

柱の全体を黒いドロドロとしたスライムのようなものが覆っていて、美しかったラーテの姿も汚らしく穢されている。

その頭の上に輝いていた天使の輪は失われ、翼は黒く染まり、瞳は赤く光を放つ。


アクト6・ボス 堕天使ラーテ


全身を覆う黒いスライムを飛ばす追尾弾と、両手足の鎖を使った範囲攻撃、そして、天使の標準装備である光の剣による近接攻撃。

どの距離で戦っても対応した攻撃を繰り出してくる厄介な敵だ。


『さーて、コウヤ隊長はどんな作戦を?』


『遠距離も近距離も痛い一発が飛んでくるのが厄介だから、中距離で戦うといいぜ。

飛び道具はホーミングだからダッシュしないと振り切れねーし。

……まあ、難易度低いから大丈夫だと思うけど』


『こっちの召喚も多いから、飛び道具は防いでくれるでしょうね』


『ま、気にせず畳んじまおーぜ』


『おっけー』


ボス登場演出の間にコウヤ達は打ち合わせを済ませ、勢い良く攻撃を開始する。


骸骨兵や狼達召喚NPCは次第に減らされていくが、ユウリの読み通り、厄介な黒いスライム状の無属性魔法弾はNPCが受け止めてくれていた。

ユウリはポジションをやや前方に取って射撃を続けながら、新たに習得したばかりの森の精霊(ドライアド)召喚を中距離に設置し、自身の盾に使いつつ蔦攻撃を放たせている。

コウヤは委細気にせず近接攻撃を叩き込み、ユウイは動きの鈍い敵に容赦なく溶岩攻撃を撃ち込む。

マヤは新たに習得した「怨霊弾」を撃ち、カナリは得意の中距離で高い火力をいかんなく発揮。

やはりここでもノーマル難易度の容易さで、ボスの体力は間もなく削り切られる。


堕天使と化したラーテの体を覆っていた黒いスライムが消滅し、黒く染まった翼もボロボロと崩れ落ち、目と口から赤い光を放出し……魔王の掛けた呪いが消滅。その場にドサリと倒れる。


そして、アクト6を締めくくるデモムービーが流れる。


ラーテは、自身の不甲斐なさに涙し、嘆く。

異次元の拠点を留守にして魔界侵攻に加わったがため、その隙を魔王バルエンに突かれ、魔王・邪神のコアを奪い返されてしまったのは、自分の責任であると、地に伏して悲嘆に暮れる。

その自責の念を魔王に付け込まれ、破滅願望から呪いを受け入れてしまったと言う。

そして、天使の輪を奪われ、翼をも失った今、天界に帰る事も叶わない。せめて微力ながら君たちの戦いを支援しよう、と、協力を申し出ながらポータルを開く。

傷だらけの裸同然の状態で、穢されたボロボロの剣一本を片手にした、痛ましい姿だった。


そして場面は変わり、ローブの男もとい魔王バルエンの玉座が映る。


<時は来た。今こそこの世界を我が物としようぞ!>


その手の中にあるのは、天使の輪。指一本でその輪をくるくると回しながら、ニヤリと笑う魔王。

その玉座に据え付けられた台座には、今まで倒されてきた邪神・魔王のコアストーンが置かれている。


ムービーが終わり、いよいよラスボス魔王バルエンの待つアクト7が始まる。


『イケメンかわいそうー』


『ここまで不遇だった分、ラーテには最後に見せ場があるってパターンになりそうね』


『そっか、委員長はまだアクト7クリアしてないんだっけ』


『魔王が石を集めて回らず、わざわざ一回復活させてプレイヤーに倒させてるのも気になりますよね』


『私とコウヤ以外は初めてのエンディングなのね。ネタバレしないように気を付けなきゃ……』


ボイスチャットにも慣れてきて、彼らのテンションは高まっていた。

まだ夜の定時マジホリ会の時間に余裕もある。

戦利品を整理すると、コウヤ達は引き続きアクト7へと旅立っていった。






同日夜、調査隊の人員募集はまたも目標を下回り、9人の志願者しか集められなかった。

普段ならトップランカーの猛者達は一人でも潜っていくところだが、虚無が待ち受けている以上、無謀な挑戦に出る者もいなかった。

パーティーを2つに分けて検証するにせよ、もう少し人員が欲しい所だ。

少なくとも、リアルが忙しいと言うキツネが戻ってくるのを待つのがいいだろうという結論に至り、今夜も虚無の足止めのみを行うと決まった。


実力不足を自認している∨キャヴァリアーのパラディンは隊に加わる事を辞退。

結局昨日と同じメンツ……

ムラマサ、ブッチー、マジメイジ、山田マン、一閃、人形姫、軍団長ゴリ、つらぬき丸、の八名での出発となった。





この辺りから劇中ゲームが元ネタからかけ離れていきます。

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