38:調子よく進撃
虚無戦が難航する一方で、小学生達は快進撃を続けていた。
38:調子よく進撃
■■■ 虚無調査隊 人員募集スレ ■■■
「丁度いいじゃねーか」
唐揚げチキンを頬張りながら、クラガは虚無調査隊募集スレッドに目を通していた。
クラガは既に難易度ハードをクリア。ベリーハードに到達していた。
キャラクターはバランスタイプの暗黒騎士。
呪い、瞬間転移、召喚を有し、一人でパーティープレイの簡略版のような戦い方が出来るキャラクターで、ウォリアー、アーチャー、ソーサラーのようなトップクラスのプレイヤーが好む基本キャラと比べると見劣りはするが、ソロプレイに向いた性能になっている。
一人でガンガン進むには最適で、テレポで道中を短縮出来るし、虚無対策も可能。既にレベルは71に達している。
wikiの「よくある質問」で稼ぎに向いた場所と、効率的な育て方は事前に押さえている。
ストーリーのクエスト報酬で美味しい部分だけをつまみ食いし、難易度が上がって来たらナートホープを何度も倒してレベル上げ。
この方法で二周クリアを2日で終わらせた。
熟練者ならともかく、初心者としては異例の速さである。
これも、飽きっぽいクラガが様々なゲームを「さっさと終わらせて次に行く」という遊び方でプレイしてきた経験があったればこそだった。
難易度インフェルノ入りは、平均90レベル。これは明日にも到達できるだろう。
問題はそこから先……
パーティープレイで支援し合うのでなければ、各属性に対する耐性が確保出来ず、極めて苦しいプレイとなるだろう。
今の所はナートホープ狩りで難易度上昇に対応出来ているが、これがどこまで持つか。
まあ、どこで詰まるか、詰まらないか、その時になってからまた解決策を探せばいい。
傍らのタブレットを閉じ、ゲームプレイに戻る。
「うし、次」
ベリーハード・アクト1ボス、ザンダルナを労せず撃破。
クラガの快進撃は続いていた。
「じゃ、ログインできたら、私が送ったアドレスを開いて入ってきて」
「出た出た」
マヤがMisscode内に作ったルーム名は、「MH_MKROOM」。マジホリ・マヤコウヤルームの略である。
Misscodeは基本的に招待制で、赤の他人に知らない間に見られている、という心配が無い。仲間内のプレイには最適だ。
「これで他人に見られる心配無しでチャット出来るけど……」
「次はボイチャですね」
マヤはルームにボイスチャンネルを設定し、四人のPCそれぞれの準備を整える。
「さ、試してみて」
「あーあー」
『あーあー』
「マイクのテスト中ー」
『マイクのテスト中ー』
「ははっ、何これおもしれー」
『ははっ、何これおもしれー』
その場にいる人間同士でボイスチャットをしているため、現実の声とヘッドセットからの声が一緒に聞こえてくるのだが、ボイスチャットの処理が掛かる分、少し遅れて聞こえてくるのが妙におかしかった。
「みんなちゃんと聞こえてる?」
「大丈夫です」
「おっけー!」
「ええ、問題ありませんわ」
「んじゃ、そろそろ始めようぜ!」
ヘッドセットとボイスチャットの動作確認を済ませ、五人はアクト6の続きに取り掛かった。
アクト6、バラート山頂で待ち受けているのは、伝説の四英傑、その霊魂だ。
四人の戦士の墓標に祈りを捧げると、四戦士の霊魂が復活し、パーティーに戦いを挑んでくる。
この山頂には世界で唯一、地の底の神の領域へ生身の人間が到達する事が可能な「真央への道」の入り口が存在する。
彼ら四戦士は、死して尚、邪悪な者の侵入を防ぐべく結界を維持しているのだ。
これは、彼らの許しを得て神の領域に挑むための、試練の決闘なのだ。
設定的には、テンションの上がる背景を持ってはいるのだが……
「はい次ー」
やはり、所詮は難易度ノーマル。
八歳女子(ネコミミ付き)にまで侮られる伝説の四戦士である。
五人は昼から夕方まで掛けて「真央への道」を踏破。
「地底の獄門」のポータルを確保し、マジホリ会を終えた。
実際、複数人でその場ボイチャした場合、どのくらいのラグが挟まるんでしょうかねー
その辺、おかしな描写になってるかも。




