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陽が照らされる頃になってテントから蛇敏知が出てきた。
カプセル妖怪たちの異変に気づいた。
全員が1点を見つめている。
その視線を追ってみるとそいつがいた。
上半身が人の姿で下半身が魚の異形のもの。
ものすごくリラックスしてるようだがこちらをジ〜っと見ているようだ。
敵意はまったく感じない。
蛇敏知としては対応に困る相手になる。
襲ってくる気配もないものを相手にしても時間と労力の無駄になる。
どうしたもんかなと考えあぐねているとテントから1人出てきた。
一さんだ。
外にいる者たちになにやら不穏な雰囲気がある。
その原因を探ってみると見つけた。
異形のものがいる。
離れてはいるがその変な生きものは大きいことがわかる。
頭から尾の先まで3メートル近くはある。
一さんも口を開かずただジッと見つめることになった。
次々とテントから出てくる。
最後に出てきたのが遊海だった。
何事かと思った。
皆が黙ったまま同じ方向を見ている。
なんだとその方角に顔を向けた。
なにかの生きものがいる。
上半身が人の姿で下半身が魚って、まさかの人魚?
あぁ、それよりもと遊海は集団から離れた。
おしっこタイムだ。
これは生理現象なので仕方ない。
おしっこをするのは遊海だけ。
幽霊のみんなは徐々に人間化してきてるようだけど睡眠が必要なほどまでにとどまっている。
次の段階に入ったら食事もするようになるんだろうか?
「あれは人魚ですね。
ここは昆虫だけの島じゃなかったのか」
おしっこが終わってみんなのもとに戻った。
まだ膠着状態が続いている。
「にいちゃん、知っとるんか。
足が魚になっとる生きものなんて見たことも聞いたこともないぞ」
源五郎の声に一さんとお六がそうそうって頷いている。
江戸時代の生活をしていた一さんたちは人魚を知らない?
まぁ、実在の生きものってわけでもなくおとぎ話の世界での生きものだからね。
そういう遊海だって人魚を目の当たりにするのは初めてのこと。
「人魚っていうのは実際に世の中にいる生きものではないです。
想像上の生きものなんです」
「それが突然、目の前に現れたのはどういうことじゃ?
こんな虫だらけの島で」
一さんのその言葉で遊海はハッと気づいたことがある。
頭の中に「法則崩れ」という単語が浮かんだ。
この前のサバンナエリアでもいるはずのない空飛ぶ魚がキーワードだった。
今回も昆虫のいるこの島でまた魚。
人魚なんだけど魚といえば魚。
そうするとあの人魚が女王ってことか?
この考えをみんなに伝えた。




