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テントの中に入ることでやっと少し落ちつくことができた。
ここで遊海だけは食事と水分補給をしなければならない。
一さんたちは幽霊だから水分も食事も必要ない。
その代わり、ここにきて必要なものが増えてしまったらしい。
それが睡眠。
幽霊に生まれ変わってから睡眠の必要がない体質になれたというのに急に睡魔が襲ってきた。
人間化してきている。
こんなに緊張を強いられる状況下で非常にありがた迷惑な事態になってしまった。
みんな疲れてるからなのかあっさりと熟睡になってしまった。
起きているのはカプセル妖怪たち。
蛇敏知に関してはよくわからない。
仮面のまま微動だにしないので、もしかすると眠っているのかもしれない。
みんな寝てしまった。
カプセル妖怪たちも手持ち無沙汰になってしまったので横になっている。
波の音が聞こえる。
潮の香りがある。
なにもかもが本物の海と瓜二つに作られている。
最初に気づいたのはうっさちゃん。
定期的に周囲を見渡して警戒を怠らなかった。
明け方になってきているまっ暗から薄闇に変わってきてる時間だった。
それは海の中にいる。
上半身だけ出していてテントをジ〜っと見ている。
うっさちゃんも負けじとジ〜っと見ている。
海の中のそいつは見ているだけで襲ってくるとかはない。
ただ様子を伺ってるだけのようだ。
だからうっさちゃんも動かない。
そんな硬直状態のような状況がしばらく続いた。
河童の四平とキツネ火も海にいる異形なものに気づいた。
テントの中にいる遊海たちは熟睡中だ。
異形のものは観察してるのに飽きてしまったのか移動を始めた。
上半身が海面を滑るように動いている。
その奇妙な動きをする変な生きものは砂浜が途切れた岩場に上陸した。
上半身は人のようであるが下半身が魚そのものだった。
その上半身は人の形を保っているが、その姿としてはグロテスクな異形のもの。
全体のシルエットの線の細さからするとオスとは思えない。
それがなにをするでもなく岩の上でのんびりしている。
カプセル妖怪たちの視線は異形のものに釘付けだ。
安心はできない。
いつ襲いかかってくるのかという不安はある。
もちろん、周囲への警戒もおろそかにはできない。




