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先を進んでいる蛇敏知が気づいた。
かすかになにかの音が聞こえる。
小さかった音がブオ〜ンと大きくなってくる。
なにかが近づいている。
音が聞こえたのを確認してからわずか数秒で蛇敏知に向かってきた。
かなりの数のアブだ。
通常のアブは種類にもよるが1・5センチから3センチほど。
このアブは5センチから6センチほどで倍ほどの大きさ。
特徴としてはすべてのアブが噛みついてくる。
ここで蛇敏知が普通ではないということがちょっとわかった。
アブの集団が蛇敏知に群がっていった。
目的はその針のような歯で噛みつくため。
それこそがアブたちの攻撃方法。
1匹だと弱いが集団で群がっていけば脅威になる。
だがその噛みつきが蛇敏知には通じない。
うまく噛みつけない。
その皮膚は硬いわけではない。
人と同じような肌ではあるが外からの攻撃に対しては柔らかく弾き返している。
やはりただ者ではない。
蛇敏知が手でアブの群れを振り払おうとしても無駄だ。
数が多すぎるのとしつこくたかってくるので効果がない。
それどころか遊海たちにも向かってくる。
幽霊であるはずの源五郎や一さんたちにも影響が出ている。
「なんだ、こりゃあ」と源五郎が大声を上げて「うわあぁ、虫って嫌あぁ」とお六が叫んでいる。
蛇敏知はかなり鬱陶しがっていて、他の皆はちょっとしたパニックになってしまった。
それを解決してくれたのが河童の四平。
えらいことになった。
空から集中豪雨のような大量の水が降ってきた。
水があたって痛い。
でもそれだけの水力があるおかげでアブの大群は一気に除去できた。
意外に脆かった。
でも全身が痛い。
「なんや、またびしょ濡れかいな」って源五郎がぼやくが噛まれるよりいいだろう。
結局、全員がずぶ濡れになってしまった。
助かったのは良いことなんだけど問題がある。
それは蛇敏知の木箱は大丈夫なんだろうかということ。
今や全員の生命線といってもいい存在になっている。
「大丈夫ですか?
銃もびしょ濡れですか。
使えますかね?」
遊海の心配をよそに蛇敏知はダイジョウブと言ってる。
仮面があって表情が読み取れない。
本当に大丈夫ということでいいのか?
うっさちゃんは体をブルブルッとさせることで水をとばした。
四平は水びたしでの気にしない。
河童は水につかっていたいからだ。
大変なのは蛇敏知と一さん。
蛇敏知は本人というより持ち物、一さんは旗本という誇りがあるので濡れたままの姿を人様に見せるのが心底嫌みたいだ。
せめて着物は着替えたいらしい。
そういえば一さんは着物は毎回変えている。
身分もあってか身なりには気を使っている。
源五郎は大工ということで動きやすければどうでもいいって感じ。
お六は若いから着物っていうより現代の洋服などのほうに興味を持っている。
残念ながらどんなに気に入ったものがあっても物理的に触れることができない。




