5-6
うっさちゃんへの体当たりの振動がなくなったところで蛇敏知が立ち上がる。
魚群のぶつかりは確かに激しいものがある。
だが全体が通りすぎると戻ってくるまでにタイムラグが発生する。
小回りが利かないのが弱点だ。
うっさちゃんの庇護のもとから離れて反撃開始。
魚群なんか狙ったって意味がない。
狙うのは大きな魚のほうだ。
冷静で無駄のない動きでからくり大砲を連射。
3発命中。
多少グラついたくらいで効いてない。
通りすぎていったイワシの大群が戻ってきた。
遊海たちはうっさちゃんの下から出るに出られない。
戦ってるのが蛇敏知だけ。
「お六よ、なんとかならんのか?
なんでもいいから妖怪を出しとくれ」
源五郎からのリクエスト。
お六はハッとした顔でいる。
これまでは突然の襲撃だったりしてカプセル妖怪を出せるような状況がなかった。
でも今回は大丈夫。
余裕がある。
お六は地面に伏せている。
クルッとひっくり返って上向きになる。
着物の胸元に入れてあるケースを取り出した。
パカッと開ける。
5個のカプセルが並んでいる。
実はなんのカプセルだかはわかってない。
カプセルに触れてしばらくすると頭の中にどういった妖怪なのかが、簡単にではあるがわかるようになる。
名前だとかどんなことができるのかが漠然とわかってしまう。
手に取ってすぐ投げると、投げた後からそのカプセルの中身が判明することになる。
現状に適したカプセルが自動的に用意されているのでまん中のカプセルを手に取った。
その黄色のカプセルをえいっと投げた。
カプセルが地面に落ちてボワ〜ンって爆発したような白煙が立ち上って、今度は急に収縮する。
えっと同時に声を上げたのが遊海と源五郎。
腹ばいになって外の様子を見ていた。
カプセルから現れたのは意外な人物?
その後ろ姿を見る限りではまさかの僧侶。
どう見ても僧衣だ。
でもまた驚かされた。
空を泳ぐ魚の大群を見上げてクルッと振り返ったその顔。
魚?
「カプセル妖怪『イワナ坊主』です」
遊海と源五郎が絶句して固まっているとところへお六からの説明が入った。
イワナ坊主、遊海はその妖怪に心当たりがあるというか聞いたことがある。
メジャーではないがたま〜にアニメなんかに出てくる。
イワナ坊主は状況を確認中。
イワシの魚群と大きなカツオが空に浮いている。
ふ〜むといった感じでおもむろになにやら手にする。
怖ろしいほど落ちついている。
左手にお札、右手に筆。
右利きか。
なにやら書き込んでいる。




