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「なんかすごい動物やったなぁ。
鬼よりもどでかい角があって怖い顔しとったでぇ。
あんなんとはよ〜やっとれんわい」
同感だ。
あんなでっかいスイギュウなんか初めてだよ。
遊海はそう思ってたが実際にはこれまでスイギュウを生で見たことはなかった。
初のスイギュウがあれだった。
「他にはいないでしょうね?」
遊海の発言で全員が周囲をグルっと見渡すことになる。
いないなと全員が確認。
それはよいのだが遊海たちは北の方角がよくわからなくなっている。
これはもう蛇敏知に頼るしかない。
蛇敏知がいなかったら進めやしないって、この五重塔の攻略の難しさには閉口させられる。
例の蛇敏知が残した目印から北の方角を示してもらった。
できることは北に進めだ。
本当にあってるんだろうな?
ここからまた照りつける太陽の下をテックテックと進んでいくことになった。
どれくらいでしょうかね、1時間ほど歩いて異常な事態になった。
それに近づくにつれてその正体がはっきりしてきた。
魚?
サバンナに巨大な魚?
それが宙に浮いてる。
いきなり、なぜ?
動かないで宙にジッとしている。
というよりこっちをジッと見てる?
睨んでる?
「おいおい、なんだか薄気味悪いぞ。
魚が浮かんでるだけでも不気味なのに、あの大きさってなんだぁ?」
みんなを代表して源五郎が口に出してくれた。
「これまでとは違ってサバンナにはいない動物っぽいですよ。
サバンナってあんな魚はいないでしょ」
そりゃそうだ。
空飛ぶ魚。
さらにクジラより大きいかもしれない魚なんてサバンナじゃなくてもいない。
魚が動きだした。
尻尾を振ってる。
犬みたいだ。
そして口を大きく開けた。
遊海たちにはその様子がすべて見えている。
不気味でしかない。
「ミンナフセテ」と蛇敏知からの指示。
遊海たちは突然なにをと思ったが、体は反射的に地面に伏せている。
大きく開けた口から魚がドバドバっと吐き出された。
1匹ずつは普通の魚であるようだがあまりにもその数が多い。
その魚群が遊海たちに向かってきた。
地面に伏せた遊海たちの上にうっさちゃんがガバッと覆いかぶさってくれた。
これで遊海たちは助かった。
うっさちゃんのブニョンブニョンな体皮が魚群の体当たりを防いでくれた。
遊海でさえわかってなかったが、不気味な魚は巨大なカツオ。
魚群はイワシの集団。
こんな所になぜって話になるが、こんな所だからいるってこともいえる。




