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「あっ、そうだ。
源さん」
隣で暑い暑いと嘆いている源五郎に声をかけた。
暑いと言ってるわりにはちょっと楽しそうでもある。
人としての感覚を取り戻したことが嬉しかったたりして?
「暑いな。
なんじゃい?」
「源さんがトカゲって言ってた生きもののことですよ。
あれはワニっていう獰猛な爬虫類なんです。
なんでも食べてしまう怖ろしい動物です」
「えぇ、そんな生きものやったんかい。
くわばらくわばらや」
源五郎がどこまで本気で怯えているのかわからないが、いつもの源五郎でいる。
「向こうに、かなり離れたところになにかいるのが見えるのじゃが···」
突然だ。
一さんがはるか彼方の方角を指さして教えてくれた。
お六と源五郎にはなんとなく薄っすらと見えてるようなって感じらしい。
遊海としてはな〜んにも見えてない。
いったい何キロ先にいるんだ?
一さんの視力って10・0くらいはあるのか?
向こうはまだこちらに気づいてないようなので急いで進んでいくのに越したことはない。
争いごとは極力避けたい。
そして急いで無傷のまま五重塔の最上階に行きたい。
5〜6分は何事もなく進めた。
距離にして400メートルは超えたくらいか?
遊海の目でもわかった。
はるか前方にいる動物らしきもの。
そうとうな距離があるだろうけど見えるって。
どれだけ大きいんだろ。
ゆっくり前進してるように見えるんだけど実際はかなりのスピードで接近中。
「なんじゃろかい?
また変な動物か?
やたら大きいのが近づいてくるぞい」
本当だ。
1頭だけだけど大きさはかなりのものがある動物。
遊海の目にもその全貌が認識されてきた。
あれはサイじゃないか。
しかも規格外のドでかさ。
推定でビルの8階分の大きさはあるんじゃないか。
すでに逃げるために走っている遊海にはそう見えた。
そしてまたもや二手に分かれての逃走になっている。
今度はお六と一緒だ。
源五郎と一さんのコンビは右折しているので遊海たちは左折になっている。
距離としては1キロ以上はあると思うが早目に逃げなきゃだ。
予想以上のスピードで追いかけてくるのがここの変な動物たちだ。
その場に残っているのは蛇敏知とうっさちゃん。
蛇敏知は木箱から取り出したからくり花火をまとめて着火。
そそて地面に撒き散らしている。
闇雲にやってるわけではない。
変なサイの進行速度に合わせて計算している。
怖ろしいほどに冷静でいる。




