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「他に···
咳ですかね、エヘン、エヘン。
あと鼻水かな?」
それだけ聞いて電話の相手に伝える。
おそらく医師なのだろう。
そういうことでこれから妹尾内科まで行くことになった。
「車で行きます?」と寺務長が住職に尋ねると「いや、歩いたほうが早い。繁多くんが歩けるなら支えて行こう」と住職が遊海を立ち上がらせた。
「これ、履いてくださいよ」と床に脱ぎっぱなしのジャージを遊海に渡す三咲。
そしてマイナンバーカードはどこですと遊海に尋ねている。
保険証も必要だ。
気づいたのは三咲だけだった。
住職に体を支えてもらってヨタヨタとジャージを履きながら「テーブルの上のカード入れの中」とガラガラ声で応えている。
三咲がローテーブルの上を見るとそのカード入れはすぐ見つかった。
中にマイナンバーカードが入っているかを確かめてから寺務長に渡す。
遊海がジャージを履くのに手こずっていて両手が塞がってるからだ。
「ちょっと繁多くんを病院に連れていくから京都さん、あとお願いね」
「わかりました。
どれくらいかかりそうです?」
「う〜ん、行ってみなけりゃわからないけど···
検査しだいってこと?」
京都と三咲は見た。
住職と寺務長に両脇を抱えられて連行されていく後ろ姿を。
まるで遊海が犯人であるかのように。
そのまま総完寺の外に連れ出された。
遊海としては発熱で体が熱い、夏の日の外はさらに暑さがプラスされる。
病院に着いた時には全身が汗でびっしょりだ。
汗が目に入って開けてられないほどだ。
妹尾内科では遊海を受け入れる準備をしてくれていた。
長年のつきあいがある地元の名士といってもよい青木住職からの直接の連絡もあったのですぐ受診準備に取りかかってくれていた。
妹尾院長は初めて見た汗だくの青年の鼻に綿棒を差し込んだ。
これで検査を始める。
それとは別に妹尾医師はあることに気づいた。
汗だらけでわかりにくいのだが首筋や腕に擦過傷が見受けられる。
顔にも酷い細かい傷がある。
いったいなにをやってこれだけの傷を?




