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十津川寺務長はドアに手をかけた。
昔の家の作りなのでドアは横開きのタイプ。
ソ〜っと開けてみると殺風景な広い和室。
部屋の中の8割くらいがなんにも置かれてない。
部屋に入って左側の奥の角に生活している痕跡がある。
痕跡といってもまだ亡くなってるわけではないんだけど。
寺務長を先頭にソ〜っと近づいていった。
家財道具は少ない。
最低限の生活用品があるだけ。
この部屋には収納がない。
着るものなんかはハンガーラックにまとめられている。
「なんだか殺風景だねぇ。
もう少しなんとかならんのかね」
愚痴をこぼしているのは京都。
口にこそ出さないが寺務長と三咲も同じ意見だ。
そして3人は布団の上で寝ている遊海を認める。
「寝てる?
病院に行かなくていいのかな?
風邪薬とかって飲んだのかしらね?」
寺務長が心配そうに遊海をのぞき込む。
続けて京都と三咲ものぞき込む。
「息してる?
生きてる?
死んでる?
おぉい、返事をしておくれよ」
京都の発言に対して「亡くなってたら返事はできませんよ」と三咲からの突っ込みが入った。
大丈夫、寝息がしっかりあるのは確認している。
遊海は完全には眠ってなかった。
うとうとしてる状態だった。
誰かが部屋に入ってきたことには気づいていた。
源五郎かと思った。
でも様子が違ってることがすぐわかった。
寝ている上で堂々と話してるのが誰だかよ〜くわかった。
「なんですか?
エヘン、エヘン···」
か細い声で一応の抗議。
「生きとったかね」とわざとらしく驚いているのが鳥谷部京都。
「やめなさいよ」と寺務長に睨まれて静かになった。
「熱は?計ったの?」と三咲さんが言ってくれた。
体温計はそのままにしてあるので三咲さんがすぐ見つけた。
「まぁ、38度」と驚いている。
寺務長からは「病院に行ったほうがいいわね。
風邪なのかインフルエンザなのかもしれないし」とう〜むといった表情だ。
「病院ってなると内科。
このあたりの病院ってぜんぜん知らないです。
寺務長、知ってますか?」
京都が尋ねると十津川寺務長もまったく知らないって。
もちろん三咲も知らない。
「住職に訊いてみましょう。
地元の人だからいい病院を知ってるはず」
十津川寺務長はちょっと住職のところに行ってくるから繁多くんをみててねと言ってセカセカと部屋をあとにした。
残された2人は遊海を見守ってるしかない。




