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「気をつけていきましょう」と遊海が注意すると「また虫が出るんかいの」と源五郎がへの字口になってる。
それを聞いたお六は肩をすくめている。
それを真似しているのが河童の四平。
意味はわかってないと思う。
いま出ているカプセル妖怪の中では最も手下感が強いのが四平だ。
道なき道を蛇敏知と河童の四平のコンビが先頭にたって進んでいく。
階段がある場所は高い樹々のちょうど隙間になるちょっとした広い場所。
高い樹がないので明るさがある。
道なき道を歩き始めると急に薄暗くなる。
それに加えて湿っぽくもなる。
風が通りにくいから熱が停滞してるんだ。
四平は河童だけあって水に対しては非常に敏感だ。
四平の案内があれば迷うことなく川に行くことができる。
「難儀じゃのぉ」と珍しく一さんがぼやいている。
そりゃ、こんなジャングルで着物って歩きにくいだろうね。
「もっと身軽な姿のほうがよかったですね」と真後ろを歩く一さんに振り返って声をかける遊海。
「まことにそうじゃ。
こんな場所を歩かされるとは思わなんだ。
そうとわかってればもっと軽装できたものを」
「あぁ、そうですか···
それだったら出直しって手もありましたね。
もっとちゃんと準備をしてからって···」
「そうか···
出直しというのも一考じゃな。
我々もまさか暑さを感じたり睡眠を取らなければならなくなるとは微塵も考えてなかった。
先に進むほど生前の感覚が戻ってきおる。
手放しで喜ばしいとはいえん状況じゃ。
もっと考慮して望むべきだったかもしれん」
一さんと遊海の会話を聞いていたお六はどうしましょうといった感じでいる。
この五重塔から脱出しようと思えばいつでもできる。
ドアのコピーを使えばあっという間に外に出られる。
「お六ちゃん」と声をかけられた。
この時、あぁ、ここで一度戻ることになるんだなと思っていた。
「仮にの話だけど、ここから一度離れて再びここに戻ってくることはできるんだろうか?」
お六はその意味を理解するのに少々時間がかかった。
「ここから抜け出すことはいつでもできます」とドアのコピーを手に持っている。
「でも、この場所っていうのは···
わかりません。
これまでそういったことをやったことがないです」
「あっ、ごめん。
ちょっと説明が足りなかった。
あのドアだよ。
いまここに来る時に通ってきたドアをコピーできれば、またここに戻ってくることができるんじゃないかと思ってね」




