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でも近づいてはいったがどうすればいいんだろう?
意外な行動をとったのが蛇敏知。
臆することなく接近していってる。
でもさすがにこれまでの半分くらいの歩みにはなっている。
他の者たちはピタッと動きを止めている。
「ウエニイキタイノデスガ、カイダンハアリマスカ?」
敵意がまったくない落ちついた声で尋ねた。
人魚は逃げない。
襲ってもこない。
表情も変えない。
瞬きもせずジッと蛇敏知を見ている。
蛇敏知にも表情がない。
仮面をつけている正体不明の者に怯えてもいない。
瞬間的に時が止まったようだった。
風の動きも潮の音も確かになくなった。
人魚が左手を伸ばしてきた。
人魚の意図は受け取れということで手を伸ばしてきたのは理解できる。
素直に受け取っていいのか?
罠ではないか?
考えが逡巡する。
受け取るしかない。
そうしないと進めない。
危険は承知の上だ。
蛇敏知は人魚の手の下に自分の手の平を差し出した。
手の上になにかがポロッと落とされた。
意外なものだ。
そして人魚が動き出した。
確かに渡したからなとでもいうように蛇敏知を一瞥して海の中に入っていった。
蛇敏知が振り返った。
手の上には鍵がある。
あまり見ない形の黄金の鍵。
意表を突いた展開になってしまって遊海たちは戸惑っている。
最初に口を開いたのは一さん。
「鍵を受け取ったのか。
争いがなかったことは良かったが、そんなものをもらってどうしろというのじゃ?」
「ダイジョウブデス。
コノカギハツカエマス」
遊海としては、この蛇敏知の発言には首を傾げるしかない。
こんな無人島で鍵を使うところって?
その答えが蛇敏知から示された。
「アレデス」と遊海たちの背後を指差した。
エッとまた意外なことになった。
遊海たちが後ろを振り返ると砂浜にドアが立っている。
これまでなかったドアがいきなりある。
蛇敏知に言わせると砂浜からせり上がってきたということだ。
全員でドアの前まで移動した。
頑丈そうな大きなドア。
高さ3メートルはありそう。
「あの人魚が女王だったということでしたか。
本当に会うだけでよかったんですね」
遊海の言ってることに大きく頷いてるのは源五郎。
何日かかるかわからないので長期滞在も覚悟してたのにこんなにあっさりと終わってしまうとは拍子抜け。
でも好意的な拍子抜けだ。
蛇敏知が黄金の鍵を使ってドアを開けた。
開けるとすぐ階段がある。
ドアを横から見てみると薄いドアの幅しかない。
正面から見ると昇っていく階段がある。
どういう仕組みなのか不明だが異次元の世界へ続く階段が確かにある。




