表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コロナEXにてコミカライズ連載開始】魔王城の絶品社食、作っているのは生贄です!  作者: 秋色mai @魔王城の社食コミカライズ開始!
二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
92/104

29. とりあえず茶でもどうぞ


「何かあったら俺が責任とんだから、構やしねえだろうがよ」

「構うに決まってんだろうよ。余計ないざこざは起こすな。ここら一体を血の海にでもするつもりか」


 大将と玄武は知り合いっぽいけど、ものすごく物騒な雰囲気。というか、薄々勘づいてたけど、大将って多分強いというか、前職も料理人じゃないことだけは確か。

 爆速で後退したいけど、物音立てるのも無理で、後ずさりをし続ける私。いつの間にか私の前にいるセシリオ。ちょっと、厨房付近で戦われるのだけは勘弁よ!? 埃が!!


「で、元凶の嬢ちゃんは何隠れてんだ」


 ヒィッ。

 煩い脳内を黙らせる、玄武の鋭い眼光が飛んできた。即死んだふりのジョン。


「か、隠れてなんてないわよ。ただ、お客さんにはお冷出さなきゃって思っただけで」


 どうにか言い返すも、足はガックガク。私って誤魔化し方が壊滅的にへたくそ。詐欺師にはなれない。


「ご注文は?」


 震えと一緒に勝手に出てきた言葉に紅玉が反応して、メニュー表を持ってくる。話題のキョンシーが目の前にきちゃって、玄武は目が点。そりゃそうよね。


「もうお昼過ぎだし、お茶セットなんていかがですか?」


 なのに止まらない口。これぞ追い詰められたコミュ障の極地。実演販売かのようにそこにあった小さな茶壷……小さい急須を見せつける。

 ジョン、あんたそのまたやってるって顔やめなさい。私が惨めになるから。


「あ、ああ?」


 お返事ならぬ戸惑いの声をいただいて、さっさと厨房へ逃げる私。カウンター越しにこちらを見ている玄武。静観するセシリオ。いまだ死んだふりのジョン。


 用意するのは台湾茶器セットとお茶菓子。ずっとやってみたかったやつ。……まさか、こんな崖っぷちで用意することになるとは思わなかったけど。


「まずはたっぷりのお湯を沸かし、茶葉を茶荷……小さな器に入れる」


 前世では、台湾ブームがあった。小さくてたくさんの茶器とかスイーツとか旅行とかが人気で、私も食べてみたかったし行きたかった。


「茶盤の上に茶荷と茶壷と茶海(ピッチャー)を置いて」


 でも、キラキラなお店に入る勇気もなければ、一緒に旅行できるような友達もいなかった。


「匂いを確認する用の聞香杯と小さい湯呑み……えっと飲杯も用意する」


 図書館とかネットで関連書籍とか探すしか、やれることがなかった。悲しきぼっちの貯めこんだ知識が、今役立つなんて……。


「あとは、お茶菓子……なんだけど……」


 さて、リアルは予備知識だけじゃどうにもならない。どうしよう、茶菓子の場所わかんない。


 困っていたところで、大将が厨房に入ってくる。救世主だわ……と思ったのもつかの間。顔を見ると、なんか驚いてる。やらかした気はしてるけど、茶器の用意も駄目だったかしら。


「……教えた覚えはねえが、用意したことあったんか?」


 至極まっとうな疑問だった。魔王城からやってきた明らかに異国の人間が用意してたら、そりゃ変よね。とはいえ、友達もいなかったから調べるのだけが楽しみでした、なんて言えない。前世で食への探求しか趣味がありませんでした……なんてもっと言えない。


「ええと、その、ほら元々は育ちがいいってことでここはひとつ」


 悪役令嬢として茶会は嗜んでました……的な感じで誤魔化したかったけど、西洋風とはあまりにも勝手が違う。大将はなにか言おうとして……諦めてくれた。私の必死さが伝わったみたい。


「茶菓子なら、俺のおやつの緑豆ケーキとごませんべいがある。あと話梅(ファメイ)が……分かるか?」

「なんですか、それ」

「梅干しだ。ねっとりしてて甘い」


 色々と出してきてくれるのを小さな器に少量ずつ盛る。厨房との境目ではもう紅玉が待機してて、渡すといつも通り持って行った。怖いものなしか。


「キョンシーが他人の言うことを聞いてる……?」


 玄武はなんか驚いてるけど、そこなの?

 成り行きと暴走の結果だけど、とりあえずゆっくりお茶でも飲んで話しましょう。私に敵意はないんだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

*コミカライズ連載中&一巻予約受付中*

おかげさまでコミカライズ&一巻予約開始です!
上の画像を押すとTOブックスの予約ページに飛びます~(- ⩌⩊⩌ -)
彩藤なお先生によってビジュアル化された愉快な仲間たちとコミカルでおいしそうな社食ライフをぜひお楽しみください!
連載中の一話では魔王やエリザベスはもちろん、四天王の姿も必見です(- ⩌⩊⩌ -)!
以下、コロナEXの連載ページと一巻予約のリンクです~
▷コロナEX
▷一巻予約
― 新着の感想 ―
友達がいる()、に笑い転げましたよー。 本場のお茶請けは知らなかったから普通に桃まん食いてぇなーと思ってましたよ。 あ、工芸茶のアレでお願いしますアレアレあれだよアレ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ