第20話 ヤケクソ
そして一週間後・・・・俺の地獄の一日が始まる。
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まず目が覚めた時、異様に明るいお昼時だった。
あれ?
・・・嫌な予感がした。
時計を見ると13時24分。
あれ~・・・・昨日は格闘大会に誕生日会に忙しくなるから23時には寝なかったっけ?
「・・・・アンタやっと起きたの?・・・・何がどうなっているか分かる?」
聞こえるのはベルの呆れた声。
・・・・薄々真実には気付いていた。
「・・・アンタこんな日に限って目を覚まさないってどんだけなのよ!!!」
「やっぱりかぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
昼まで眠って遅刻するとは・・・どこの漫画だ!!!!
ドックン・・ドックン・・ドックン。
自分の脈の音が大きく聞こえる気がする。
焦る。焦る。焦る。焦る。焦る。焦る。
同じ場所をぐるぐると回る。
じっとなどしていられない。
『ガチャ』
扉が開くとナタスが現われる。
「おやおや・・・・キミは本当に面白いな。・・・・でだ・・キミは何回目の過去のライトだい?」
言っていることは意味不明だが、ナタスの声を聞いて少し冷静になれた。
「・・・まだ一回も・・・俺は薬を飲んでいない。」
「クックック。・・・じゃあキミに面白い事を教えてあげよう。薬を飲みすぎると人格が変わるらしいぞ。」
「!?」
さらに俺の気は動転する。
人格が変わる?
「ふざけるな!!!副作用があるなんて聞いてないぞ!!!」
理不尽だとは分かっている。
大体ダブルブッキングさせたのは自分である。
助けてもらっているにも関わらず、文句を言うなど・・・・。
でも言わずには居られない。
25日が終わっていて混乱していたのも拍車をかけていたのかもしれない。
「そんなに熱くならないでくれ。それに・・・キミはどんだけ否定しようと薬を飲む。・・・・・なんたって私は薬を飲んで来た未来のキミに会っているのだからな。クックック。」
ナタスの笑い声がいつもよりも癇に障る。
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しばらく落ち着いて考える。
・・・・人格変更・・・。
そんなの冗談ではない。
人格が変わるぐらいならみゃむに半殺しにされ、カサリナからお小遣いカットされた方がマシである。
そう思っていられるのも今日の夜までだった。
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夜、みゃむがいつもの様にワープで飛行船に現われる。
珍しく怪我をしている他に変わった様子はない。
「・・・?」
なぜ怒っていない・・。
にゃむは凄い笑顔で俺の元へ向かってくる。
「ライト~!ただいま~!今日は楽しかったぁ。まさかあんなに手ごわいとは思わなかった!!ライトも戦えば強いじゃん!!でもボクが優勝したんだから約束どおり御褒美は貰うからね。」
・・・・?
なんの話だ?
戦う?
優勝?
・・・・・俺には・・・そんな記憶などない。
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次はカサリナだった。
晩御飯の後お決まりのようにカサリナからの『コール』。
「ライトどうした?元気がないではないか。せっかくの私の誕生日なんじゃぞ。それに今日はなかなか楽しめた。最近仕事が忙しくて大変だったからイイ息抜きになったぞ。」
・・・・・・・俺には・・・・・そんな記憶などない。
・・・・・・・俺には・・・・・そんな記憶など無い。
・・・・・・・オレニハ・・・・ソンナキオクナドナイ。
このまま俺が薬を飲まないで生きていくとどうなるのだろう・・・。
試してみたい気がするが・・・・なんだかとても怖かった。
今まで積み上げてきたものが崩れ落ちそうで。
なによりこの二人の笑顔を見ていると、どこでどんなことがあったのかとても気になった。
・・人格が変わる?
・・・変わってもあの二人は喜んでいるんだろ?
それならそれでイイじゃないか!!!
「はぁ・・・・・。」
大きなため息が知らずのうちに出てしまう。
「飲めばイイんだろ?飲めば!!!!!」
そして俺は薬を飲む。
ナタスの手のひらで踊らされている。
そんな気がした。




