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第6話 【ミステリアスな主催者】

五十嵐 承太郎 42歳

五十嵐グループの会長

世界一の富豪と言われている

金をかき集めることが得意で

仮想通貨ビジネスは多少グレーな資金集めもしたが

法的には問題がない

胸を張って堂々と生きていけるほど、善人でもないが

まさか怪盗マジカルに狙われるほどの悪党にされるなんてな


怪盗マジカルに予告される1ヶ月前

俺は秘宝ネメシスがインドで発見されたという情報を手に入れた

秘宝ネメシス

満月の夜、持ち主の未来を預言すると言われている曰く付きの宝石だ

秘宝ネメシスは本来はルビーなのだが

なんと満月になると持ち主に向かって話しかけるらしい

未来を預言する宝石として都市伝説になっていた存在が

遂に都市伝説ではなく、本当に存在した秘宝だったと情報を手にした

人の人知を超えたオカルト的な存在に興味を持ち

オークションで200億円で競り落とした

そして俺の手元に秘宝ネメシスが手に入ったのだ

ちょうど満月の夜だった

俺は秘宝ネメシスを満月の光に照らして

自分の野望を口にする

「俺に恋人は出来るだろうか。」

俺はゲイだ

中学生の頃、同級生の友人に劣情を抱いたことで自分はゲイだったのだと自覚した

世間はゲイに対する差別はなくなってきたものの

自らカミングアウトする勇気はなかった

ゲイバーやマチアプで出会いを求めようとも考えたが

俺は資産家として有名になりすぎてしまっていて

金関係で揉めることは目に見えていた

俺自身を評価することにあたって

世界一の富豪であることは普通に恋愛することは出来なかった

金目当てで出会う人しかいないだろう

しっかり関係性を深めてからお付き合いをするなんてことは俺にとってハードルが高すぎた

金をかき集めることは得意だったが

プライベートの恋愛関係はポンコツだ

誰とも付き合ったことがない

遊びでもない

男も女も自分に寄ってくる人間は金をせびるような奴らばかりだからだ

金の亡者のような俺がこんなことを思っているのは

正直、馬鹿みたいだとは思っているが

僅かな希望を頼りに

秘宝ネメシスに俺の野望を預言してもらおうとした

秘宝ネメシスは月の光に当てられて綺麗に赤く光っている

「やはり宝石が預言するなんて有り得ないよな。」

200億で競り落とした秘宝ネメシスは

ただのルビーであることは残念だが

ずっとずっと秘めていた野望を口にしたことは案外心の荷が降りた

いつかは俺にも恋人が出来るのではないかと

みっともなく諦められないでいたが

現実はそうはいかないものだ

長年積もったこのみっともない野望に区切りをつけることが出来たと思えば

200億円の価値はあったのかもな

そう思い、俺はバルコニーから部屋へ入ろうとした瞬間

秘宝ネメシスは月の光を取り込み赤く染まるように発光して

喋ったのだ


【来月の月が満ちる夜 そなたは海の上で運命の出逢いをするだろう】


秘宝ネメシスは光を失っていき、元のルビーに戻る

「嘘だろう…」

俺は人生で初めて腰を抜かしてへたりこんだ

本当に預言した

確かに秘宝ネメシスが喋った

秘宝ネメシスを持つ手の震えが止まらなかった

本当に?

俺が?

運命の出逢いをするのか?

海の上…?

俺は混乱する

ずっと手に入らないと思っていた恋人が

次の満月の夜に出逢えると預言されたのだ

人生で1番興奮している

秘宝ネメシスが話した人知を超えた存在であったことも

俺の長年の野望であった恋人と出逢えるという事実に

興奮が収まらない

こんなにも期待を膨らませて未来を想像することが出来るなんて

まだまだ俺も若いな


預言を受けてから数日が経過した

海の上で運命の人と出逢うと預言されたので

俺は豪華客船のパーティを計画していると

警察から連絡が入り

怪盗マジカルが次の満月の夜に秘宝ネメシスを頂くと予告状があったと報告を受けた

俺は再び興奮した

秘宝ネメシスは怪盗マジカルに予告されることも知っていたのだ

俺は豪華客船パーティを秘宝ネメシスの披露パーティに変更して

話題性を上げて普段は招待しないような客も招待して

様々な人間が入り混じるパーティに仕立てることに成功した

秘宝ネメシスは奪われても構わない

俺は預言を聞く目的は果たしたから

それよりも重要なことは俺の運命の相手に出逢うということだ

多ジャンルのありとあらゆる有名人声を掛けて招待をした

世の中の人は秘宝ネメシスなんてほとんどの人が信じないオカルトじみた宝石は興味ないけれど

怪盗マジカルのネームバリューは効果覿面であり、誰もがこの秘宝ネメシスの披露パーティに招待されたがった

何度オファーしても忙しいからと断られていた

国民的トップアイドルである桜田瑠衣君でさえも

豪華客船パーティに来てくれると返事をくれたのだ!

俺は桜田瑠衣君がアイドルをしていた“Checkmate”時代の初期からのファンであり

アイドルを卒業して、ソロ活動のアーティストへと転身してからも熱烈に応援している

ルイファミリー(桜田瑠衣君のファンの名称)歴は5年になり古参だ

立場を利用して、LiveのVIP席や、Live後に挨拶をしてくれたことはあったが

俺の個人が主催するパーティに来てくれるなら

いつもの典型的な挨拶だけではなく

少しだけ雑談できちゃったりするかも…

まさか瑠衣君が俺の運命の相手だったりして!?

いやいやいや!!何を最低な妄想をしているんだ!!俺は!!

瑠衣君はまだ18歳だぞ!!

こんな42歳のくたびれたおっさんなんかと恋人になんてありえないだろうが!!

妄想でも瑠衣君を穢すことはファンとしてありえない

俺は健全に瑠衣君を推したいのだ

でもやっぱり少しは妄想してしまう

妄想だけなら犯罪じゃないので許してほしい

神に誓って瑠衣君には手を出さないと誓おう

しかし、瑠衣君から奇跡的に迫ってきたその時は

まぁ…うん…

ダメだダメだ!!

完全に瑠衣君で頭も心も支配されてしまっている!

邪な考えは捨てろ!!

俺はルイファミリーの一員であり

瑠衣君は神聖な存在だ

俺の運命の相手は別にいて

俺のことを愛してくれる

運命の出逢いをするんだ

スーツも新調してカリスマ美容師に髪をセットして貰わないと

運命の相手とは最高の出逢いをするのだから



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