第38話 歌舞伎町のヒーロー
俺の生きている意味はただ1つ
真田胡桃を悪の道から救い出すこと
大好きな姉を奪われたこの世界に復讐をしている胡桃に復讐をやめさせる
それが俺の生きる意味
それが俺の生きる使命
怪盗マジカルは胡桃と関わりがあり、胡桃に会える手掛かりになると思っていたのに
怪盗マジカルに接触することには成功したものの
胡桃に関する手掛かりは得ることが出来なかった
怪盗マジカルは性格の悪いただの愉快犯であり、胡桃ではなかった
怪盗マジカルなんて馬鹿馬鹿しい悪党を本気でやるなんて胡桃以外ありえないと思っていたが…
怪盗マジカルは胡桃ではなかった
俺は落胆した
それらしい理由を述べたけれど結局俺は胡桃とまた会いたいだけなんだ
胡桃にもう一度昔のように無邪気に笑って欲しい
それだけが俺の願い
雛乃が天から俺を見守っているのなら
胡桃を救うチャンスを俺にくれ
秘宝ネメシス披露パーティから1週間が経過した
俺達transparentは人質を取り、怪盗マジカルを誘い出したことで警察に拘束されたが、人質に危害を加えたこともなかったので厳重注意だけされて釈放された
俺達はまた歌舞伎町で裏社会を牛耳っている悪党を殲滅する活動を再開した
悪の組織に近づけば胡桃に近づく
そう信じて俺は今日も胡桃を探して悪党に喧嘩を仕掛ける
ドラッグの取引現場に出会して俺はそいつらを全員ボコボコに殴った
俺も反撃されて殴られたり、ナイフで斬りつけられたが騒ぎに気付いた警察がドラッグの売人を拘束して騒ぎは落ち着いた
「橘君。正義感が強いのはわかるけれど、そんなやり方をしているといつか殺されてしまうよ?」
と警察官の渡来さんが俺を諭す
渡来さんは歌舞伎町で勤務している警察官でいつもお世話になっている顔見知りだ
「俺は悪に屈しません。絶対に死なないから大丈夫です。」
「そんな痣だらけ血だらけで言われてもね…」
「これぐらいでドラッグの取引が1つ減るならいくらでもやりますよ。」
「こんなことをしても世界は平和にならないよ。」
「警察が言う言葉ではないんじゃないですか?」
「悪い奴はどこにでもいる。君が少しだけここの歌舞伎町を正しくしたところで他の街に悪人が流れていくだけだ。」
「だからやめろと?」
「こういうことは警察の仕事だ。一般人の橘君は首を突っ込むべきではない。」
「俺は悪の組織に入っているであろう知人を救い出したいんです。そいつを見つけるまではやめるつもりはありません。」
「へぇ…悪を殲滅することが目的ではなかったんだね。探偵でも雇って探してもらった方がいいんじゃないか?」
「そんなのとっくにしましたよ。でも見つかりませんでした。相手は俺にバレないように徹底しているようです。」
「嫌われているのか?ストーカーはやめろよ。」
「嫌われて…いるのかもしれません。ストーカーはしたくても場所がわかりませんから。」
「問題発言だな。」
「愛している。俺が彼女を導く光になるんだ。」
「ちなみにその子は誰なんだ?」
「真田胡桃。16歳の女の子だよ。」
「…真田胡桃?」
「知っているのか!?」
「いや…俺は橘君をよく補導しているからね。橘君をよく知っている。真田胡桃は橘君の幼馴染の妹さんだろう?ごく普通の一般市民じゃないか。何故胡桃さんが悪の組織にいるだなんて…」
「あいつは姉を奪ったこの世界を恨んでいる。だからこの世に復讐しているんだ。」
「会ってもないのにどうしてそう思う?」
「あいつのことは俺が1番よく知っている。」
「うーむ…被害妄想が膨らんでいるかもしれないよ。胡桃さんは案外穏やかな生活をしているかもしれない。」
と渡来が言うと
「真田胡桃さんって渡来さんの娘さんのクラスメイトでしたよね?確か…」
と渡来さんの隣にいた警察の男が言った
「おい!バカ!」
と渡来さんは後輩らしき警察官の頭をバシッと叩いた
俺は渡来さんの肩を掴み
「本当か!?渡来さんの娘さんは胡桃のクラスメイトなのか!?」
「個人情報を漏洩させることは出来ません。」
「本当なんだな!!」
「違う!!」
「ありがとう!!」
と俺は家へと帰る
「おい!待て!!病院へいけ!腕は斬りつけられて止血しなければいけないんだぞ!!」
「タオルで巻けば平気だ!貴重な情報ありがとう!!」
「だから違うと言っている!!」
俺は急いで帰宅して調べた
警察官渡来貴之の娘
渡来このみ
無花果高等学校一年生
文武両道の名門学校だ
全寮制の高校で一般人は立ち入り禁止されている
無花果高等学校へと一般人が入れるイベントは…
文化祭
生徒は知り合いへ文化祭の招待チケットを渡し、招待チケットを持っている人間だけが入ることが出来る
「この学校に胡桃がいる…!!」
胡桃は頭が良く天才だった
ここに胡桃がいる可能性は高い
必ず胡桃に会いに行く
絶望から胡桃を救えるのは俺しかいない




