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第39話 嵐の後に

秘宝ネメシス披露パーティ後、船を降りて俺はすぐに主催者であり秘宝ネメシスの所有者の五十嵐承太郎にかけよった

「五十嵐さん!」

俺が五十嵐さんを呼び止める

よく見ると五十嵐さんの隣にいる人は俺のよく知っている友人の七瀬隼人だった

「何か用かな?」

と五十嵐さんが答える

「あの…大事な話があるので、2人きりで話したいんですけど。」

と俺が言うと

「大事な話だと…?まさか勇気が承太郎に告白するつもりなのか!?」

と隣にいる友人の隼人が言う

「告白…?何の話だ?」

と俺が答えると

「大事な話。2人きりでなんて愛の告白じゃないのかと言っている。」

「はぁ!?違えよ!!他の人には聞かれたくない話ってだけで…」

「何故勇気が承太郎に?怪しい…。」

「はやぴーこそ何で五十嵐さんと一緒にいるんだよ!そっちこそ怪しいだろうが!」

「俺は承太郎と恋人同士になった。隣にいるのは自然なことだ。」

と言いながら隼人は五十嵐さんの腕を組んで自慢気に話す

「は…?えっ…!?」

俺はパニックになり声が裏返ってしまった

恋人?

「そうだ。だから2人きりで話すなんてことは俺が認めない。恋人特権だ。」

と隼人は言う

どうしようか…

秘宝ネメシスのことを話そうと思ったが

隼人が恋人になり隣にいることで話がややこしくなってきた

隼人は秘宝ネメシスの為なら命を懸けるほどの狂信者だ

普段はクールないいやつなのに鉱物のことが絡むと頭がおかしくなる

俺が秘宝ネメシスを持っているなんて絶対に知られたくない

「うぜぇ!男2人で話をするだけでごちゃごちゃうるせぇんだよ!!そんな束縛男すぐに嫌われて捨てられるぞ!!」

「なっ…!!」

俺の言葉はかなり隼人に響いているようだった

五十嵐さんに嫌われることは避けたいようだ

隼人が五十嵐さんに近づいた理由なんて秘宝ネメシス以外あり得ない

恋人になれば秘宝ネメシスも研究させて貰えるかもしれないとかそんな魂胆に決まっている

「隼人。きっと仕事の話だ。俺は新井さんと2人で話をしてくるから少しだけ待っててくれるかな?」

と紳士的に五十嵐さんは隼人に言う

パーティ会場では世界一の資産家らしく傲慢で派手な態度だったのに…

プライベートは意外と大人しい人なのかもしれない

「承太郎がそう言うなら待ってるよ。」

と隼人は理解ある彼氏風に何故か上から目線で俺を見つめる

こいつは恋愛関係になるとくそうざい奴に変貌するんだな…と呆れる

ともかく彼氏の隼人からも許可が降りたので、俺と五十嵐さんは裏道に入った所で2人きりで話をした

「怪盗マジカルに会いました。」

「そんな話だとは思ったよ。」

「怪盗マジカルは貴方が自ら秘宝ネメシスを盗むように依頼したと言っていた。本当ですか?」

「事実だよ。本当に来るとは思わなかったけれどね。」

「秘宝ネメシスの力を使ったからですか?」

「そうだ。俺は秘宝ネメシスを使った。だから破滅の力が発動する前に盗んで欲しかった。」

「秘宝ネメシスは俺が持っています。先程の嵐を止める為に俺が秘宝ネメシスの力を使いました。」

「やはりそうか…ありがとう。新井君のおかけで豪華客船の乗客は生きて帰って来れた。感謝する。お礼に出来ることなら何でも叶えよう。」

「それなら…このまま秘宝ネメシスは俺に預からせて貰えませんか?」

「正気か?秘宝ネメシスの力を使ったから破滅の力が発動するぞ?」

「本当に…そうですかね。」

「どういうことだ。」

「秘宝ネメシスが話せることは知っていますか?」

「知っている。」

「秘宝ネメシスは言うんですよ。【俺のせいじゃない】って。」

「いや…天地を揺るがすような奇跡を起こすんだぞ?デメリットがないのはありえなくないか?」

「それはそうですけど…元々ありえないことが起こりすぎています。石が喋ったり、石が願いを叶えるなんて…秘宝ネメシスのことは秘宝ネメシスが1番わかっていると思いませんか?俺は秘宝ネメシスのことを信じてみたいんです。」

「では今日の嵐のことをどう説明するつもりだ?どう考えても自然に起こった嵐ではなかった。」

「秘宝ネメシスではないものが嵐を呼ぶ力を使ったんです。」

「そんな超常現象が飛び交うわけがないだろう?」

「秘宝ネメシスが存在するなら、他にも超常現象を起こすものがまだまだたくさんあるかもしれない。」

「そんなたくさんあったら世の中こんなに平和じゃないよ。」

「そんなことはありません。巨大な力でも使い方がわからなければ持て余すだけです。ドラえもんの秘密道具をのび太君はいつも上手く使えないでしょう?」

「新井君が秘宝ネメシスを信じるのは勝手だが…俺は新井君が心配だから忠告している。今すぐに手放した方がいい。得体の知れない物は所有するべきではない。リスクが高すぎる。最悪命を落とす。」

「リスクは承知です。でも…せっかく手に入った秘宝ネメシスを捨てるのはもったいないですから。」

「新井君がそう決めたなら俺は何も言わないよ。秘宝ネメシスは新井君の好きにすればいい。」

「ありがとうございます!」

「では…」

と言って五十嵐さんは去っていこうとしたので

「あの…どうしてはやぴーと恋人になったのですか?」

と呼び止めてしまう

「私はゲイでね。恋人が欲しかったから隼人は付き合ってくれたんだ。」

「絶対に秘宝ネメシス目当てですよね?そんな最低なやつと付き合わない方がいいのでは…」

「フッ。そうだね。」

「別れるんですか?」

「まさか。恋人だって利害関係の一致にすぎない。隼人は秘宝ネメシス目当てで、俺は隼人の顔が好きだから恋人になった。それで十分だよ。」

「虚しくないですか?愛がない恋人同士なんて。」

「愛はこれから育んでくれるそうだよ。秘宝ネメシスの為なら世界で1番俺を愛してくれるってさ。」

「あいつらしいですね。」

「俺はもう既に隼人を愛している。虚構でも俺のために愛を与えてくれる最高の恋人だよ。」

じゃあね、と言って五十嵐さんは隼人の元に戻って行った

なんか最後は惚気られてしまった

むかつく

案外お似合いのカップルなのかもしれないな

俺は秘宝ネメシスを取り出し

「おい。俺が今日からご主人様だぞ。喜べ。」

と秘宝ネメシスに言う

【えー…なんかパッとせんつまらん男に拾われてしまったな…残念…】

と落胆された

こっちは命懸けで所有しているのに

腹立つなぁ



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