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第27話 交渉

「本物!!怪盗マジカル!!お前らみたか!?」

俺は人質を解放してくれた怪盗マジカルを間近に見て大興奮している

“近距離怪盗マジカル!!”

“貴重映像すぎ!!”

“怪盗マジカルめっちゃ可愛い!!”

とコメント欄も大興奮で同接もうなぎ登りだ

解放されたので、俺は怪盗マジカルにお礼を言って一目散に逃げた

“もっと怪盗マジカル見たかったのに〜”

“なんで逃げるんだよ!”

「うるせぇ!お前ら!あそこで留まったら空気読めないやつだうが!!怪盗マジカルがせっかく助けに来てくれたんだからありがたく逃げる一択に決まってるだろうが!!」

本当は怪盗マジカルともっと絡みたかったが、あの状況で人質がミーハー気分で留まったらさむい

怪盗マジカルは何もメリットないのに俺達おっさんを助けに来てくれたのだ

「あー!でももっと怪盗マジカルと一緒にいたかったー!!!」

と俺は叫びながら逃げていると

「本当?じゃあ2人きりになろうよ。」

と背後から声がして

「え。」

バコッ!!

俺は何者かに首を落とされて気絶した

“な…何?”

“ぱっくん死んだ!?”

“おい大丈夫か!?”

「ぱっくんのリスナーさん初めまして。ぱっくんと少しお話ししたいのでお借りしますね。」

“は?怪盗マジカル!?”

“嘘だろ?”

“怪盗マジカルさん初めまして!!”

“ぱっくんに話って…?大丈夫なのか?”



「いってぇ…なんだよいきなり…」

目が覚めると真っ暗な部屋にいた

「はーい♡お目覚めですか?」

と可愛い声がする

「怪盗マジカル…ですか?」

「この世の悪を殲滅する。怪盗マジカル参上です!」

「うわぁ!ファンサあざす!!」

「ファンサのつもりではなかったけれど、どもども〜。」

「意外とおちゃめで友好的な方なのですね。」

「年頃の女の子なもので。有名配信者のぱっくんさんと前なのでいつもよりちょっと可愛くしてみてます♡」

「かわいー♡」

「どもども〜。」

何故か気絶させられて真っ暗な部屋に連れてこられた

近くにいるが、真っ暗なので姿は全く見えない

配信も…ついているのだろうか

確認出来ない

俺のスマホはどこだ?

「あの…俺のスマホはどこでしょうか。配信はどうなってますか?」

「さすがは有名配信者!こんな状況で1番に心配することが配信のことなんて!」

「配信は俺の命ですから。それで?聞かれたらまずいことだから配信は閉じたんですか?」

「いえいえ。そんなことはしてません。ぱっくんの大事な配信は配信中ですよ。」

「それなら今、スマホはどこに?」

「私の元に♡」

「はぁ!?」

「私がぱっくんの配信をハイジャックさせて頂きましたわ。ぱっくんが起きるまでリスナーさんと仲良く雑談してたのよ。」

「な…何やってるんすか!?」

「配信って楽しいわね。怪盗引退して配信者に生まれ変わろうかしら。」

「俺の配信を乗っ取るなよ!」

「ごめんねー♡まぁ交渉が終わったらお返ししますから。」

「交渉?」

「そう。交渉。」

「俺に?」

「ぱっくんさんに。」

「怪盗マジカルが俺に交渉したいことなんてあるのか?」

「あるのよ。とてもとても大事な…ね。リスナーのみんなには悪いけどここからはオフレコだよ。ミュートにするね。」

「随分と配信に詳しいね。推しの配信者でもいるの?」

「いえいえ。私は学生生活が忙しいのであまり配信は見ないわよ。知っているのは一般的なことだけ。」

「へぇ…それで?ミュートはもうしたの?」

「はい。」

「じゃあ本題だね。交渉って何?」

「じゃーん。これ。何かわかる?」

真っ暗な部屋だけど赤く綺麗に輝くものを持っているのはわかる

「秘宝ネメシス。」

「ピンポン!御名答!!」

「さすが怪盗マジカル。秘宝ネメシスも奪ったんだな。」

「今回はかなり苦労しましたけどね。なんとか手に入れました。」

「その秘宝ネメシスをどうするつもりだ?」

「ぱっくんにあげようと思って。」

「…は?意味がわからないけど。」

「秘宝ネメシスは特級呪物だったのよ。預言する石ではなくて、実際は願いを叶える石。そして願いを叶えた人には災いを起こす。」

「そんな危ない物いますぐ封印しろ。」

「いつ誰が見つけるかわからないでしょう?だからぱっくんにあげようと思って。」

「何故俺に?」

「秘宝ネメシスに全く興味がないから。秘宝ネメシスに願いを叶えてもらおうなんて考えない人だから。」

「俺以外もほとんどそうだろ。災いが起こるとわかってて誰が使うんだよ。」

「貴方が思っているより人という生き物は脆いのよ。人は願ってしまうのよ。リスクがあっても叶うのならばね。」

「そうか?一般的な人なら使おうなんて思わないと思うがな。」

「貴方を選んだ理由はもう一つあるわ。有名配信者ならお金もたんまりあるのでしょう?秘宝ネメシスを隠せるだけの力があるってことよ。」

「俺は配信者だぞ。秘宝ネメシスなんて手に入れたら配信して全世界に見せるに決まってるだろ。隠すなんてことするわけないだろうが。」

「別に好きに配信すれば?貴方の手元にあると知られたら大勢の人が貴方を狙うだけだから。」

「…まぁ俺も命は惜しいからな。危険なことはしたくない。それより普通に持ち主に返したいけど。こんなもの貰っても困る。」

「そう思うなら普通に返せば?自由にしていいわよ。」

「え…そうなの?」

「うん。」

「怪盗マジカルはなんで秘宝ネメシスを奪ったんだよ。」

「悪を殲滅する為かな。」

「出来たの?」

「出来なかったわ。秘宝ネメシスがノーリスクで願いを叶えてくれるなら盗んだ意味があったけどね。国を滅ぼすほどのリスクがあるなら願い事はしたくないし。」

「そんな恐ろしいのかよ…」

「そんなわけでこれは手放したいの。リスク高いからね。保管してて手元にあるだけで命を狙われるし。」

「だから秘密にして俺に持ってて貰おうって?」

「そう!ナイスアイデア!でしょう?」

「俺も気味悪いから持ち主に返したいけど。」

「まぁご自由に。元の持ち主もいらないから今回のパーティを開いたと思うけど。」

「やっぱりそう思うか?」

「ええ。秘宝ネメシスを使ったからもう用無しなんでしょうね。だって今回の盗みの依頼をしたのは五十嵐本人だもの。」

「…は!?嘘だろう!?」

「本当よ。怪盗マジカルの盗みの依頼はダークウェブで行われているけれど、依頼主を割り出したら本人だったもの。」

「まじかよ…」

「手元に残すと災いが起こると思ったのでしょうね。」

「じゃあ本当に俺が持ってたらやばいかもしれないじゃないか!」

「願いを叶えた本人じゃないからぱっくんは平気だと

思うわよ。」

「それでも…えぇ…めっちゃこわ。」

「まぁ好きにすればいいわ。持ち主に返すなり、捨てるなり、配信するなり、秘密にするなりご自由に。」

「わかりましたよ。じゃあ俺が一旦預かりますよ。交渉と言いましたが俺に何かメリットあるんですか?秘宝ネメシスを受けとる代わりに何かしてもらえるとか?」

「それはもう前払いしましたよ。」

「前払い?」

「はい。配信ジャックして大盛り上がりしましたから。」

「俺がいないところでやるなよ!!」

「同接は100万人までいきましたよ。」

「う…うそだろ…」

「本当ですよ!後でSNSチェックしてくださいね。」

「お…俺も見たかった…怪盗マジカルの生配信!!」

「アハハ!アーカイブで確認してね!」

「うぅ…」

「ではでは交渉成立ということで!」

そう言って怪盗マジカルは俺の胸ポケットに秘宝ネメシスを入れた

「200年孤独だった秘宝ネメシスもユーモアあるぱっくんがご主人様なら喜んでくれるはずよ!仲良くね!」

「は…!?え!?仲良く???」

「君に幸あれ!ばいびー♡」

と言って怪盗マジカルは去ってしまった

なんか普通に可愛い女の子だったな…

いい匂いしたし…

胸ポケットにしまわれた秘宝ネメシスを覗くと

【お前は面白いのは本当か?】

と秘宝ネメシスが喋ったので

「う…うわあああああああああああああああ!!!」

と驚き腰を抜かした

【なんじゃつまらん。一般的なリアクションだな。】

「あ…あ…あ…喋った!!石が!!」

【喋る石ぐらいで腰を抜かすなよ。面白くない男だな。】

「ああああ!!オカルトだ!!なんだこれ!!うわあああああああああああああ!!」

【うるさい…面白い男だとあいつが言うから期待したのにとんだ期待外れだ。もう喋らんから叫ぶな馬鹿者。】

「ひゃあああああああああああ!!」

腰を抜かして手が震えているこれは現実か?

願いを叶えて災いを起こす石だから話すぐらい当たり前なのか?

とんでもないものを押し付けられてしまった

俺はこれからどうすればいいんだ…


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