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第25話 同族嫌悪

「あーぁ。嫌われちゃったかな。」

胡桃に反抗してしまった

秘宝ネメシスを持って帰れと言われたけれどそんなことは出来ない

秘宝ネメシスはただの石ではなく

本物のオカルト的な石であることがわかったからだ

秘宝ネメシスにつけていた盗聴器から聞こえていた会話によると

秘宝ネメシスは預言する石ではなく

願いを叶える石であること

そして願いを叶えた者には代償が伴う

破滅を呼ぶ石

秘宝ネメシス

こんなものが胡桃の手に渡れば胡桃は迷わずこの世界へ復讐する

いや…お姉さんを蘇らせようとするかもしれない

秘宝ネメシスがどれほどまで願いを叶える力があるのかわからないけれど

人智を超えた現象が起こっているから

ありえない話ではない

完全にお姉さんを蘇らせることは出来ないかもしれないが

魂だけ蘇らせて他の人間に憑依させるとか

転生させるとか

それぐらいのことなら可能かもしれない

死ぬよりも大きな代償を払うことになっても

胡桃は願いを叶える為に秘宝ネメシスを使う

胡桃にとってお姉さんがこの世の全てであり

お姉さんを奪ったこの世界全てが敵だから

だからこそ胡桃に秘宝ネメシスを渡すわけにはいかない

胡桃に不幸になってほしくない

胡桃は不幸になっても構わないと思っているだろうけど

胡桃には…好きな子には笑顔で過ごして欲しい

胡桃に逆らってインカムも切っちゃったし

秘宝ネメシスに仕掛けたGPSと盗聴器も破棄した

胡桃とはもう連絡を取れない状態だ

「じゃあもう好き勝手に暴れちゃおうかな。」

私は胡桃に無視しろと指示された人の元へと向かう



豪華客船の2階

広めの空き部屋にtransparentが人質を10名匿っている

見張りは15人

この程度で怪盗マジカルに刃向かおうだなんて舐められてるなぁ

私は堂々と見張りの人の目の前に降りた

「か…怪盗マジ…」

バコッ

言い終わる前に私は頭に傘を脳天ぶち込んで気絶させた

「このッ…!!」

隣にいた見張りが銃を取り出して発砲する

バンッ!

バンッ!

私は傘を開いて銃の弾を防いだ

懐に入り、手に持っていた銃を傘で吹き飛ばした

傘からワイヤー糸を取り出し、銃を発泡してきた見張りを拘束する

あとの13人もあっという間に制圧した

見張りを全員気絶させるか拘束させて

「この世の悪を嘲笑う。怪盗マジカル参上です。」

と人質がいる部屋へ堂々と入る

「怪盗マジカル!!」

「本当に助けに来てくれた!!」

「ありがとう!!怪盗マジカル!!」

と人質達は大盛り上がりだ

「必ず来てくれると思っていたよ。怪盗マジカル。」

と橘直人が言う

「ただの気まぐれよ。」

「約束通り人質は解放する。」

「人質は私が解放出来たわ。外の見張りは全員気絶しているか拘束させたからね。」

「そんなことをしなくても俺に会いに来れば穏便に人質を解放したのに。」

「貴方のいうことを聞きたくなかっただけよ。こんな人質意味がないことを証明したかったの。貴方の言いなりにならなくても私は人質を解放する力があるってことをね。」

「そう…まぁどんな理由でも会いに来てくれて嬉しいよ。じゃあ人質のみんなは帰っていいよ。」

と橘直人が言うと

「え!?これで終わらせるつもりか!?」

「俺らも怪盗マジカルと話したい!!」

「ずっとこんなところに閉じ込められてたのに何も謝礼がないなんて酷い!!」

と人質達は何故か謝礼を求めている

人質なら解放された瞬間に泣いて喜ぶと思ったのに

思ったよりも人質達は緊張感なく過ごしていたみたいだ

「みんな!助けるのが遅くなってごめんね!お詫びに怪盗マジカルのトランプカードをプレゼントしてあげる。」

と私はトランプカードを人質全員にピッピッピッと投げた

「え!?すご!!」

「怪盗マジカルのトランプカード!?」

「これってもしかしてサイン入り!?」

「秘宝ネメシスより価値あるじゃん!!」

と人質達は喜んでくれた

「大事にしてね♡」

と私が言うと

「ありがとう!怪盗マジカル!!」

「怪盗マジカル万歳!!」

と人質達は喜んでくれた

そのまま私に近づいて走ってきたので

傘を広げて突風を放ち威嚇する

「近づくのは禁止だよ♡」

と私は人質達に忠告をする

人質達はすみませんでしたー!と言いながら去って行った

部屋に残ったのは私と橘直人だけ

「さて。私に何か用?」

と私が聞くと

「胡桃。胡桃なんだろう?俺だ!橘直人だ!!」

「どちら様ですか?私はそんな名前ではありません。人違いです。」

「いや。この世界で怪盗なんて馬鹿げたことを計画して実行するなんて胡桃以外ありえない。」

「世界は広いんです。胡桃さん以外にも怪盗になりたい女の子はたくさんいますよ。」

「怪盗になりたい女の子はたくさんいても、怪盗になれる女の子は少ない。そうだろう?」

「…。」

「胡桃。怪盗なんてもうやめよう。雛乃はこんなことを望んでいない。俺は雛乃が命懸けで助けた胡桃を守りたいんだ。」

「…。」

雛乃さんは胡桃のお姉さんの名前だ

胡桃が最も愛している最愛の姉

無差別殺人鬼に殺された真田雛乃さん

「俺達2人ならまたやり直せる。雛乃がいた時のようにまた穏やかな日常を取り戻そう。」

「…。」

「胡桃は俺が幸せにする。」

「プッ…アハハハハハハハハハハハハ!!!」

「何がおかしい。」

「フフッ。馬鹿ね。幸せになりたい人間が怪盗なんてやってるわけないじゃん!!」

「だからもうやめろと言っている!!」

「アハハ!革命家のリーダーさんの言葉が響いて怪盗を辞めるとでも?舐められたものね。」

「雛乃はこんなことを望んでいない!お願いだからもうやめろ!!」

「胡桃も雛乃も誰だか知らないけれど、貴方の傲慢さがムカつくわね。幸せにしてやるって何?私は不幸でも構わないから怪盗をしているの。」

「胡桃!これ以上罪を重ねるな!」

「しつこい。キモい。ストーカーやめてよね。私は胡桃じゃないし。」

「雛乃は胡桃の幸せを望んでいる!!!」

「だから知らないわよ。そんなの。私が望んでいるのほこの世の悪の殲滅。幸せとは程遠いわ。」

「俺が悪を殲滅する!だから胡桃はもう怪盗なんてやめろ!!」

「貴方が?フフッ…アハハハハハハハハ!!」

「何がおかしい!」

「貴方のようなお人よしが悪を殲滅するなんておかしすぎるわよ!!正義マンごっこは人おひとりでどうぞやってください。」

「…胡桃じゃないのか?」

「知らないわよ。そんな子。」

「そうか…」

意気消沈して橘直人は大人しくなった

「フフッ。哀れね。でも大丈夫よ。怪盗マジカルは弱者の味方だから。貴方が望めば助けてあげるわ。」

「…。」

「さよなら。革命家リーダーさん。」

私はそう伝えて去った

橘直人は未来の私そのものだ

胡桃が好きで不幸になって欲しくなくて

利用されて捨てられる

私も捨てられたら橘直人のようになるのだろう

「ひどい八つ当たりしちゃったな。」

ただの同族嫌悪だし

八つ当たりをしたかっただけだ

今は胡桃に選ばれているという優越感

でもいずれ捨てられて橘直人のように私もなるのだろう

あーやだやだ

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