第22話 仲良しクラスメイト
「うわっ…だ…大丈夫?」
俺が怪盗マジカルを追いかけて最上階デッキまで走っていたが、
途中でクラスメイトの渡来このみさんがうつ伏せになって廊下で倒れていた
「パラダイス!!パラダイス!!パラダイス!!妄想より遥かに尊い!!現実の運命的な出逢いこそ最大の供給!!!」
何やら渡来さんはうつ伏せになりながら小言でぶつぶつと話している
「渡来さん?意識ある?大丈夫?」
と俺は渡来さんの体を少しゆすって話しかけると
「大丈夫です!!私は正常です!!厳密に言うと性癖が歪んでいるだけなので!!お気遣いなく!!」
と元気よく渡来さんは起き上がった
「そ…そう…元気ならよかった。何があったの?どうして倒れていたの?」
「目の前でBLの世界が広がって天国に召されただけなので!!インテリ攻め様と、ヘタレ系の受けの運命の歯車が回った尊い瞬間に立ち会うことが出来てハッピーハッピーでした!!」
「ごめん…何を言っているか半分以上わからない…」
「すこぶる元気です!!」
「それならよかった。この豪華客船は危険がたくさん蔓延っているから1人で行動しない方がいいよ。会場に戻って警察の案内に従って避難した方がいい。」
「それよりも重大なことがあるんですよ!探偵さん!」
「揶揄うなよ。いつものように北条君と呼んでくれ。」
「こっち!こっち来て!!」
と渡来さんは俺の腕を強引に引っ張り、近くにあった倉庫部屋に押し込められた
「やっと2人きりになれたね♡」
「ふざけているなら俺はもう行く。怪盗マジカルを追わないといけないからな。」
「冗談ですやん!!」
「関西人じゃないくせに変な関西弁使うなよ…」
渡来さんは人差し指を立てて
しーっとするジェスチャーをする
少しいたずらっぽい笑みを浮かべながら
渡来さんは特別美人というわけではないが
普通に顔が整っていて
普通にスタイルが良くて
普通に可愛い
渡来さんの手のひらがパッと開き
握られていた物に俺は心臓が止まりそうになるぐらい驚く
「はっ…!!えっ…!!!どうしてこれを……!?」
渡来さんが持っていたのは秘宝ネメシスだった
「怪盗マジカルが奪った秘宝ネメシスを人魚が奪い返したの。」
「人魚??牙が鋭い金髪少女のことか?」
「うん。あの金髪美少女の正体は人魚。怪盗マジカルに殺すと脅して秘宝ネメシスを奪い返すことに成功していたわ。」
「怪盗マジカルは!?無事だったのか!?」
「えぇ。危険を察知してすぐに秘宝ネメシスを渡して逃げたからね。」
「そうか…」
「怪盗マジカルは敵なのに味方のように心配するのね。」
「別に…ライバルが知らないところで死んだら気分が悪いだけだよ。」
「素直じゃないなぁ。普通に心配だって言えばいいのに。」
「違う!!」
「まぁいいや。それから人魚が奪った秘宝ネメシスをルイ君からたまたま近くにいた私に渡されたのよ。」
「それは…大変だったね。」
「本当に!!大変だったわよ!!こんな最重要レアアイテムを託されて…心臓が止まるかと思ったわよ。」
「ありがとう。渡来さん。秘宝ネメシスは俺が責任を持って五十嵐さんにお返しするよ。」
俺が秘宝ネメシスを受け取ろうとすると
【いやだ!いやだ!いやだ!!!このみーー!!このみーーーー!!俺を捨てないで!!】
と秘宝ネメシスか喋った
「うわぁ!!!」
俺はびっくりして腰が抜ける
「大丈夫?」
「あぁ…びっくりして腰が抜けただけだ…」
【このみがいい!!五十嵐の元に帰りたくない!!!このみが好きだ!!このみ捨てないで!!】
と秘宝ネメシスは必死に懇願して渡来さんに言う
「…随分懐かれたんだね。」
「何故かね。秘宝ネメシスを預かって10分ぐらいしか経ってないのにね。」
【もう2000年ぐらい生きているが、この10分間が私の人生で1番楽しかったのだ!!このみと共に過ごして生きたい!!お願いだ!!】
「えっと…どうする?」
「気にすんな。持っていって。」
【やだやだやだ!!このみーーー!!お願いだから一緒にいてくれよーーー!!】
嫌がっているが俺は秘宝ネメシスを受け取った
この10分間で何があったんだろうか…
渡来さんって普通の女の子に見えて本当は結構変わった女の子だからな
人と感性が違うことが秘宝ネメシスから気に入られたのかもしれない
「ありがとう。渡来さん。秘宝ネメシスを守ってくれて。」
「いえいえ。無事に探偵さんに渡せてよかった。」
【うう…このみ…ひどい…】
と秘宝ネメシスは俺の手に秘宝ネメシスが渡って意気消沈している
「あ!1つ忠告すると秘宝ネメシスには怪盗マジカルが仕込んだ超小型のGPSと盗聴器があるからうっかり変なこと言わないように気をつけなよ!」
と渡来さんがいう
「は!?え!?なんでそんなものが仕込まれていると知っているのに小型のGPSと盗聴器を外さないの?」
「え…だって…ついてた方が都合いいでしょう?」
「都合がいい?どうして?」
「だって…怪盗マジカルに会いたいんでしょう?じゃあGPSとか付いていた方が都合いいじゃない。」
「それは…そうかもしれないけれど…」
「今度こそ捕まえられるといいわね。探偵さん。」
「期待に応えられるよう頑張るよ。」
渡来さんはスマホを取り出し、文章を打ち始めた
盗聴器が仕掛けられているので
俺にだけわかるように
メッセージを伝えようとしているようだ
重要なメッセージだろうと構えて待っていると
渡来さんはメッセージを打ち終えて俺にスマホの画面を見せてきた
“怪盗マジカルに愛の告白をすればハッピーエンド間違いなし!!”
と書かれていた
「何言ってんだ…そんなことするわけないだろう。」
「残念。」
そう言ってあっさりと渡来さんは倉庫から出て行った
さすがは警察の娘というべきか
俺でさえ見つけることが困難な超小型のGPSと盗聴器秘宝ネメシスに仕込んであることに気づくなんてな
能ある鷹は爪を隠す
渡来このみは大物なのかもな




