第2話 【純真な探偵】
ここは無花果高等学校
成績優秀者やスポーツ推薦がないと入れない名門の高校だ
「ねぇねぇ聞いた?怪盗マジカルの話!」
「当たり前じゃん!昨日のばっくんの配信見たもん!秘宝ネメシスのお宝を次の満月の夜に奪いにくるんでしょう?」
「そうそう!豪華客船で秘宝ネメシスのお披露目パーティを開催する日に怪盗マジカルが予告した日程を合わせるんでしょう?ヤバすぎ!」
「しかも、トップ配信者のぱっくんを披露パーティに招待してるとか!主催者の五十嵐承太郎は怪盗マジカルに挑戦的だよね!」
「世界中に怪盗マジカルを生配信するってことでしょう!?楽しみすぎる!!」
「怪盗マジカルが配信で見れるかもしれないんでしょう!?世界中で話題になってるわよ!」
廊下を歩いている女生徒2人が楽しそうに会話している
無花果高等学校でも怪盗マジカルの話題で持ちきりだ
怪盗マジカルが現れてから
世界中で怪盗マジカルの話題で盛り上がっている
都市伝説のような存在だった怪盗が現代に現れて
警察も捕まえることが出来ない圧倒的な強さでお宝を奪う
しかもお宝を奪う所有者は決まって悪い噂が絶えない悪人だ
庶民を救うヒーローとして怪盗マジカルは世間から崇められている
しかし、怪盗マジカルは僕にとっては因縁の相手だ
僕は目的の生徒会室に到着し、ドアを開ける
「あ。やっと来た。北条君、今日はもうすぐ始まる体育祭の準備で忙しいんだからね。」
と生徒会副会長である九条姫華が言う
僕はこの無花果高等学校の生徒会長をしている
北条奏多
2年生
九条さんも僕と同じ2年生だ
「今日、僕の班はお休みが多かったから掃除するのに時間がかかったんだよ。」
「それは大変だったわね。これからもっと大変になるけれど。」
「そんなにやることが多いのかい?」
「それはもう。たくさん。先生達は私達を雑談係と勘違いしているのかしら。体育祭の案内の手紙や印刷まで丸投げしていくなんて嫌になっちゃう。」
「引き受けるなよ。そんな仕事。」
「だって私のイメージ的に断れないじゃない?優等生のお嬢様として認識されてるのに。」
九条さんは大企業の娘であり、大金持ちだ
教育もきちんとされているのだろう
成績も良ければ運動神経もいい
この無花果高等学校を学力でもスポーツ推薦でも入れた唯一の人物だ
学力テストは常にトップ10位以内をキープしており
スポーツは体操選手としてオリンピック選手を目指して大活躍している
容姿端麗
才色兼備
文武両道
全ての才能と努力を兼ね備えた女の子
それが九条姫華さんだ
「だからって仕事量を増やすなよ。」
「ごめんごめん。でも、私と北条君がいればすぐ終わるでしょう?先生達よりも早くね。」
「なんでも効率的にやろうとして仕事を請け負うのはよくないよ。先生達は自分達で自分の仕事をするべきだ。」
「先生達も忙しいんでしょ。いいじゃないすぐ終わるわよ。」
「僕達だって暇じゃないんだけどな…はぁ。まぁ今更文句言っても仕方がない。さっさと終わらそう。」
「アイアイサ〜。」
アイアイサーは九条さんの口癖だ
近寄りがたいオーラを纏っているが、案外話してみれば友好的にフランクに接してくれる
僕達は先生達に頼まれた体育祭の手紙を手際よく作成していく
「ねぇねぇ。次の怪盗マジカルの招待状届いたの?」
「招待状じゃない。予告状な。」
「凄いわね!怪盗マジカルから予告状が届くなんて!さすが怪盗マジカルのライバルである探偵さんだわ!!」
そう。僕は最初の怪盗マジカルが現れた事件でたまたま捕まえることが出来た功績で探偵として協力して欲しいと警察に頼まれて怪盗マジカルを捕まえる任務を手伝っている
「どうして怪盗マジカルは僕に予告状を渡すのかな。」
「怪盗と言えば探偵!現場に探偵がいないと燃えないんじゃないかしら!?」
「どうして僕が探偵になったのだろう。」
「だって怪盗マジカルを唯一捕まえることが出来たんだもの!北条君しか適任者はいないわ!」
「そうかな?僕はたまたま捕まえることが出来ただけのただの一般人だよ。」
「なぁに?探偵辞めたいの?」
「そうじゃないけど…」
「次の予告状なんてとっても楽しみじゃない?豪華客船で直接対決なんて!!」
「遊びじゃないんだ。次こそ捕まえてみせるさ。」
「なんだ。結局ノリノリじゃない!今度の豪華客船のパーティ私も招待されたの!」
「え?九条さんも?」
「そうよ!初めて怪盗マジカルに会えるから楽しみだわ!!」
「そう。じゃあ九条さんの前でかっこ悪いところは見せられないから今度こそ怪盗マジカルを捕まえられるように作戦を練らないとね。」
「楽しみ!楽しみ!!頑張って捕まえてね!」
「どうして怪盗は予告状なんて出すんだろうな。こっそり盗った方が絶対にいいのに。」
「予告状のない怪盗なんてただのコソ泥じゃない。盗むことはおまけで世間を騒がせることが目的なんじゃない?」
「まぁ…それはそうか。でも探偵とは言ってもただの一般人の俺の元に予告状を届けるのは変じゃないか?普通は警察に予告状を出すだろう?」
「それはまぁ…北条君に会いたいからじゃない?怪盗マジカルは。」
「どうして?」
「ロマンがないなぁ。いいじゃん。ラブレターみたいでさ。怪盗マジカルはきっと北条君に会いたいんだよ。」
「犯罪予告をラブレターにするなよ。ロマンチックすぎるだろうが。」
「いいじゃない。ロマンがあってさ。きっと怪盗マジカルは捕まるなら警察とか悪人とかじゃなくて、北条君に捕まりたいんだよ。」
「なんだそれ。ますます意味がわからない。」
「ま。ただの憶測だけどね。」
僕達は話しながらあっという間に体育祭の手紙作成を終わらせた
「僕に捕まったら許して貰えると思ってるのか?」
「そう言うわけではないと思うよ。」
「じゃあなんで?」
「さあ?それは捕まえてから聞いてみれば?」
放課後2人きりで生徒会の仕事をするこの時間が好きだ
もっと直接的に言うなら
九条姫華さんが好きだ
九条さんを独り占め出来ること時間が
僕の幸せ
実は願掛けをしていることがある
怪盗マジカルを捕まえることが出来たら
九条さんに告白しよう
自分を誇れるようになって勇気を出せる気がするから




