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第19話 モブ視点

こんな個性豊かな化け物じみた人物が揃ってある中で

私のような一介の女子高生なんて存在してるかしていないかわからないような影の薄さだ

怪盗、探偵、革命家、配信者、アイドル、資産家

役者が揃いすぎている

この豪華客船の出来事は後々ノンフィクションで映画化されてもおかしくないぐらいのオールスター揃いだ

こんなに面白そうな物語をタダで見れるなんて私はなんて幸運なんだろうか

ラブロマンスか殺人が起こるミステリーかはたまた秘宝ネメシスを中心に巻き起こすまさかのファンタジーかもしれない

どんな物語が始まるのかわくわくが止まりません!

個人的に1番好きなのはBLだけど

生BLいつか見たいな〜

こうやってパーティ会場を眺めているだけで妄想が捗ってしまう

トップ配信者のぱっくんが仲良さげに同年代の男の人と話をしている

あの人は確か…鉱物学者だったかな

少し喧嘩をしながらも笑い合いながらお喋りをしている

気の許せる相手同士なのだろう

かっこいい男同士で仲良く話しているだけで眼福だ

尊い

ぱっくんの方がヘタレそうだから受けかな

鉱物学者の人は茶髪のポニテのイケメン君でインテリ様だな

生物のBLは禁忌であることはわかっているが妄想が止まらない

妄想するだけだから許して欲しい

私は害のない空気であり

このパーティ会議の壁だ

何も交わることもない害のない存在だ

妄想しているだけだから

現実世界に影響ない存在だから!!

にやにやと気持ち悪い笑みを浮かべているだけだから!!


「この世の悪を嘲笑う。怪盗マジカル参上。」

私が妄想な浸っていると

シャンデリアの上に怪盗マジカルもとい、九条姫華さんが参上した

いつも学校で会っているが、怪盗として会うのは初めてだ

ウィッグは着けているけど、声色は変えてないんだなぁ…とか呑気に眺める

身体能力がこんなに高い女子高生なんて数える程しかいないのに

どうしてみんな九条姫華さんが怪盗マジカルって気づかないのか

不思議だなぁ

怪盗マジカルは会場に白いスモークを放って混乱させている

スモークが晴れた瞬間に

「怪盗に告ぐ!!人質を10名預かった!!人質を解放させたいならこの俺、橘直人の所に来い!!」

と豪華客船内でアナウンスがされた

人質を取られたことで会場は大混乱になっている

革命家の橘直人

真田雛乃の幼馴染であり、真田胡桃とも仲が良かった

橘直人はおそらく真田さんが怪盗マジカルなのではないかと疑っているのだろう

人質を取って要求することが怪盗マジカルの面会だからなぁ

橘直人はどうしても怪盗マジカルに会いたいのだろう

まぁ会っても九条さんなんだけどね

真田さんは学生寮で安全圏から指示してるだけだし

怪盗マジカルが捕まってもすぐに捨てられるようにね

さてはてこれで怪盗マジカルは人質を救いに行くのか

!?

どうなるのか楽しみだなぁ

「キャーーーーーーー!!!」

と黄色い悲鳴が会場中に響く

人質が囚われて混乱していたはずの会場の視線は一気にルイ君のアイドルステージに夢中になっている

すごいなぁ

会場が恐怖で大混乱していたはずなのに

ルイくんが歌って踊ると恐怖なんてみんな忘れて笑顔になるんだから

生ルイくんすげー

ルイくんってなんとなく悲しみを背負っているような哀愁さがまた色気があっていいんだよね

何でも手に入っていそうなのに

人生勝ち組のはずなのに

どうしてあんなに不幸そうなんだろう

まぁそれがまた魅力的なんだけどね

アイドルステージが終わるとか金髪美少女が何やら警備員にルイくんと会わせろとクレームをつけているようだ

警備員が拒否すると金髪美少女は牙を剥き出して

人ではない存在になった

さすがに私も面白いとはいえず恐怖で慄く

何あれ…

こわい…

全員の体が恐怖で固まる

警備員が金髪美少女に牙で攻撃する

ガブッ!!

「いってぇ…」

警備員を庇った私のパパの腕が牙に噛まれて血だらけになっていた

パパ…!!!

また市民を守る為に無茶してる!!

本当に主人公気質すぎるんだから…

血が流れているけど、大丈夫そうだ

その後、金髪美少女はルイくんを連れて会場の外へと出て行った

ルイくんがこの会場の人間を守る為に遠ざけてくれたのだろう

「…よし。」

私は金髪美少女とルイくんの後を追うことにした

パパの警察の助けになるように少しでもあの金髪美少女の正体を突き詰めたい

気づかれないように後をつけることは得意だ

最上階デッキで2人は話をしている

どうやら金髪美少女は人魚であり、ルイくんと恋がしたいそうだ

2次元なら喜ぶ展開だが、現実に起こると人魚は恐ろしい存在でしかない

魑魅魍魎だ

とりあえず金髪美少女の正体はわかった

信じてくれるかはわからないけれどパパに報告しに行こう

長居は禁物だ

目をつけられてしまったら殺される可能性だってある

私が立ち去ろうとすると

…!?

怪盗マジカルが最上階デッキに現れた

秘宝ネメシスを手にしている

ここから傘で空を飛び逃げるつもりなのだろう

しかし、怪盗マジカルは人魚とルイくんに捕まって

…嘘でしょう?

怪盗マジカルは秘宝ネメシスを人魚に渡していた

怪盗マジカルが降伏して秘宝ネメシスを手放すなんて…人魚は殺すとでも脅したのだろうか

秘宝ネメシスは人魚の手に渡ってしまった

やばいやばすぎる

パパに言わなくちゃ!!

今度こそ立ち去ろうとすると再び人が現れた

あの人…さっきパーティ会場にいた鉱物学者のイケメンだ

う…嘘でしょう…?

人魚という得体の知れない生命体相手に秘宝ネメシスを手に入れようと必死に交渉している

鉱物学者だから秘宝ネメシスは彼に取って物凄い価値の高いお宝ではあるのだろうけど…

死ぬかもしれないのに命を賭けて交渉していた

秘宝ネメシスの為にそこまで?

もはや狂気を感じた

結局交渉は決裂したようで鉱物学者のイケメン君は項垂れてたけど

怪盗マジカルは逃げたのによく戦ったと私は拍手を送ってあげたい

生きて帰ってこれただけよかったよ本当に

「なぁ。お前。そこで何をしている。」

「ひゃあ!!」

私が鉱物学者の人を見ている隙にと人魚が話しかけてきた

「えっと…特に何も…」

「何もないのにこんなところに?怪しいなぁ。」

怪しまれている

長居するのは危険だとわかっていたのに

まずい

適当に誤魔化すしかない

「えっと…鉱物学者さんがかっこよくてついついてきてしまったといいますか…」

「何!?お前も恋をしとるのか!!」

「えっ…まぁ…そうかも…」

「そうか!そうか!恋はいいのぉ!あの変な男が好きのは変わった趣味じゃがの!!」

「アハハ…じゃあ私はこれで…」

と立ち去ろうとすると

「待って。」

とルイくんに呼び止められた

「何でしょうか…」

「これ。あげる。」

と渡された物は秘宝ネメシスだった

「え!?」

私は驚いて声をあげる

「ちょっとルイくん!!ルイくんが欲しいって言ったから手に入れたいのにこんな女に秘宝ネメシスを渡すのか!?」

と人魚が言う

「秘宝ネメシスは破滅を呼ぶと言われているのだろう?少し気味が悪いから手放すだけだよ。」

とルイくんが言う

「それもそうか!おい!小娘!これやる!!」

「わ…私にですかぁ!?」

「破滅するのは嫌じゃからな!じゃあ妾達はデートするからの!お前もあの変な男とデート出来るように頑張れよ!!」

「ちょっと…本当に…!?」

私が戸惑っているとルイくんが耳打ちで

「ごめんね。俺はミルキーと一緒にいないといけないから警察に渡しておいてくれる?」

と言われた

私はコクコクと首を縦に振ると

「ありがとう。」

とアイドルの満面スマイルをかまして人魚とルイくんは去って行った

私のようなモブ以下の底辺の人間が最重要アイテムを手にするなんて…

おそろしすぎる!!!

今すぐにパパに渡して手放したい!!

でも…せっかく手に入ったんだし…

私は秘宝ネメシスを満月に照らして

「秘宝ネメシスさーん。」

と呼んでみた

【なんだ?】

と普通に会話を返された

「あ…普通に会話出来るタイプなんですね…」

と私が言うと

【何を言ってる。私は会話しか出来ないタイプだ】

と返された

預言が出来ることは秘宝ネメシス本体は自覚がないようだ

「えっと…何か出来ることありますか?」

【喋る石ってだけですごいだろうが!!!】

と怒らせてしまった

何故こんなことになったのだろうか

とにかく早く秘宝ネメシスは警察のパパに預けよう




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