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第17話 世界一の悪党

「あ。」

と声がしたので振り返るとそこには先程アイドルステージで大活躍していたルイくんと金髪美少女がいた

「ごめんなさいね。デートの邪魔をして。お邪魔虫はすぐに退散しますから。」

私はそう言いながら胡桃との無線機を再び繋ぐ

そして逃げようとすると

「待って!」

とルイくんに呼び止められた

「…何か用かしら?」

ルイくんは全く怖くない存在だが、隣にいる金髪美少女はかなりやばい

先程、警察官の腕を噛みついて騒ぎを起こしていた女だ

得体の知れない牙を持ち攻撃していた

この豪華客船で1番警戒するべき要注意人物だ

穏便に済ませて早く去りたい

『そのまま逃げると悪手だわ。背中を見せると殺される可能性もある。なんとか言いくるめて立ち去るのよ。』

と胡桃も私に指示をしている

「ねぇ。その手に持っているのは秘宝ネメシスだよね?」

とルイくんが言う

「そうね。」

「泥棒はよくないと思うな。」

「よくないわね。」

「どうしてお宝を盗むの?」

「この世界の悪を滅ぼす為に必要なの。」

「ふーん。でもそれなら正義の味方になるべきじゃない?悪を滅ぼすのにどうして悪党になるの?」

「私がこの世界で1番の大悪党になれば、この世界から悪は滅ぶのよ。悪を滅ぼすのに必要なのは正義ではなく圧倒的な悪よ。」

「圧倒的な悪ね…それなら俺の彼女のミルキーの方が適任だからもう怪盗は辞めた方がいいよ。」

「…そう?可愛い女の子には荷が重すぎるんじゃないかしら?」

いつの間にか隣の金髪美少女のミルキーちゃんはルイくんの恋人になっているようだ

圧倒的な悪だと

ルイくんは表現している

謎の金髪美少女

「ミルキーは普通の女の子じゃない。ミルキーは不老不死の人魚だからね。」

「人魚?」

「そうだよ。怪盗マジカルよりもずっとずっとこの世界で1番の悪党になれる可能性を秘めている。そう思わないか?」

「…人魚だという証拠は?」

「ねぇ。ミルキー。この人にヒレを見せてあげてよ。」

「えー?なんで?」

「お願い。」

「ルイくんが言うなら仕方ないなぁ!」

そう言ってミルキーちゃんの足はみるみるヒレに変化して人魚の姿になった

満月の光に照らされたミルキーちゃんの人魚の姿は神秘的でとても美しかった

「…本当に人魚なのね。」

「そうだよ。だから怪盗なんか辞めて普通の人生を送った方がいいよ。怪盗マジカルはまだまだ若い女の子なんだから人生これからでしょう?」

とルイくんが言う

『凄い…!!!!本当に人魚だわ!!!不老不死の人魚なんて現実に本当にいるのね!!!』

と胡桃は大興奮で話している

これは私にとって大ピンチだ

怪盗マジカルなんかより

人魚のミルキーの方が胡桃にとっては圧倒的に魅力的だからだ

胡桃の興味が削がれたら

私なんて使い捨ての駒に過ぎない

もっといい駒を手に入れたら

私はあっさりと捨てられるのだろう

昔捨てられた幼馴染の橘直人と同じように

「ご忠告ありがとう。でも私は自分の力で悪を殲滅させたいのよ。」

「変だね。本当に悪を殲滅させることが目的なら大悪党の道はミルキーに譲った方がいい。それなのにそうしないのは君は悪を殲滅させる以外に怪盗をやる意味があるんだ。そうだろう?」

「それを知ってどうするの?」

「いや…そうだね。確かに知った所でどうしようもないか。少しミーハー気分だっただけさ。俺がわかったことは怪盗マジカルは雲の上の存在のスーパースターではなく、1人の少女であるってことだね。」

「馬鹿にしてるの?」

「まさか。寧ろ嬉しいよ。親近感が湧いちゃったな。」

「私は世界の大悪党怪盗マジカルよ。トップアイドルに親近感を持たれるような人間ではないわ。」

「俺は君が大悪党だなんて思えない。ただの興味本位でやっているなら今夜を最後に引退した方がいいよ。普通の生活が1番尊いものだからね。」

「余計なお世話よ。これ以上話すこともないわ。それじゃ…」

「ねぇ。ミルキー。俺、怪盗マジカルが持っている秘宝ネメシスが欲しいな。」

「!?」

私は流石に動揺してしまう

秘宝ネメシスを奪うつもり?

私に秘宝ネメシスのお宝を盗むことを失敗をさせて怪盗を辞めさせる為に?

「ルイくんはあの赤い宝石が欲しいの?」

「うん。お願い。ミルキー。」

「おい。そこの小娘。早くその赤い宝石を渡せ。」

「これは大事な…」

「あと3秒待ってやる。渡さなければ殺す。」

「!?」

「いーち。」

私は震えて止まっていると

『すぐに秘宝ネメシスを渡しなさい!!』

と胡桃の声がしたので

私は慌てて手に持っていた秘宝ネメシスをミルキーに渡した

「ふん。意外と話がわかる小娘じゃ。」

とミルキーが言うと

「凄い!!あの怪盗マジカルから秘宝ネメシスのお宝を取り返すなんて!!ミルキー本当に凄いよ!!」

「そ…そうか?フハハハハハハハ!!こんなもん妾にとっては朝飯前じゃ!!」

「俺の恋人は最強にかっこよくて惚れ直したよぉ。」

「ふふん。そうじゃろう?妾より強い生命体等この世にはおらんからの!!」

「そうなの!?ミルキーは本当にすごいなぁ!」

私は苦虫を噛み潰したような顔をしてその場を去った

一度、誰もいない空き部屋へと入る

『あのまま秘宝ネメシスを渡さなけれなければ、確実に殺されていたからね。仕方ないわ。』

と胡桃が言う

「ごめん…失敗した。」

『相手は人間じゃないもの。想定外すぎるわ。仕方ない。』

「…本当にごめん。」

『そんなに落ち込むなんて珍しい。別にこれで負けた負けじゃないわよ。殺し合いになれば負けるけれど、隙をついて秘宝ネメシスを奪うことは出来るわ。奪える機会を待ちましょう。』

「絶対に取り戻す。」

『頼りにしてるわよ。怪盗マジカル。』

「私が最強だと証明してみせるから。」

『フフッ。そうね。人魚に負けたら怪盗マジカル引退させるから。』

絶対に負けられない

私が最強であらなければ

私が1番胡桃にとって面白い駒でなければいけない

胡桃に捨てられたら

私はもうどう生きていけばいいのかわからないのだから




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