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第15話 君と最期の恋を

「キャアアアアアアアアアアア!!」

俺のステージが終わった直後、大きな悲鳴が響いた

俺はまた怪盗マジカルが現れたのかと思い、会場の方を覗くと

警察官の右腕が血だらけになっており

金髪の美少女の口が血だらけになっていた

金髪美少女の牙は人間ではない明らかに異形なものの存在だった

警察官は右腕を押さえて苦しんでいるのに

金髪の美少女は高らかにケタケタと笑っていた

「ルイくんに会いたいだけなのに邪魔をするからそんなことになるんじゃ。」

と金髪美少女は言う

…俺?

どうやら金髪美少女は俺のファンらしく

俺と恋をしたいようだ

俺は騒ぎの中心に行こうとすると

「何考えているんですか!ダメです!!絶対に行かせられません!」

とマネージャーが俺を止める

「あの子を穏便に解決させることが出来るのは俺だけだ。」

「あんな化け物相手にするつもりですか?今すぐに逃げましょう!」

「マネージャーも見ただろう?彼女は人ではない何かだ。ここが豪華客船ではなったら逃げ一択だったが、ここは逃げ場がない。最悪ここの乗客全員皆殺しにされるかもしれない。」

「それは…!!」

「時間を稼ぐだけだ。俺を助ける為にその間対策してくれ。」

「でも…!!すぐに殺される可能性だってあるのですよ!?」

「彼女は俺のことを好きみたいだ。その可能性は低いだろう?」

「でも…危険すぎます!!」

「頼りにしている。」

俺は金髪美少女の元へと行く

「ルイくん!!ルイくんと恋がしたいの!!私と一緒にデートしよう!!」

と金髪美少女は言う

「いいよ。」

と俺は答えた

金髪美少女は口は血だらけのくせに心底幸せそうに屈託のない笑顔で笑った

金髪美少女は俺の手を取り走り出した

金髪美少女は最上階デッキに俺を連れ出し

「ここなら誰にも邪魔されずにゆっくり話せるわね。」

と金髪美少女は足を止めた

最上階デッキの先端によじ登りここで2人きりで話そうと言う

落ちたら死ぬが俺はもうこの世に未練などないので金髪美少女の言われるがまま隣に座る

「自己紹介がまだだったわね。妾の名はミルキー。人魚じゃ。」

「人魚…?」

「そうじゃ。ほら見てみぃ。」

そう言ってミルキーは足を見せた

ミルキーの足はみるみる姿を変えてヒレになった

足はヒレで上半身は人間

まさしく人魚そのものだ

月夜に照らされている人魚のミルキーは神秘的で本当に美しかった

「綺麗だね。」

と素直に称賛の言葉を言う

「ふふふ。そうじゃろう?ルイくんにだけ特別に見せたのじゃ。」

そう言いながらヒレを足の姿に変えていく

「もう戻しちゃうの?」

「こんなヒレではルイくんと歩いてデート出来んからの。」

「どうして俺とデートしたかったの?」

「妾の500歳の誕生日に本を読んだのじゃ。人間というのは恋をするらしいな。」

「人魚は恋をしないの?」

「せんな。人魚は不老不死じゃからの。交尾して種族を増やす必要がないからの。」

「なるほど…」

「妾は本を読んで感動したのじゃ!恋って素晴らしいと!!だから恋をする為に船に忍び込んだのじゃ。」

「俺のことは知らなかったの?」

「さっき知ったぞ!歌って踊るルイくんはかっこよかったぞ!!妾はルイくんと恋がしたいと思ってな!デートなんて初めてじゃ。」

とニコニコしながらミルキーは話す

恋に恋する女の子そのものだ

きっと相手は誰でもよくて

恋がしたいだけなのだろう

「そっか。じゃあミルキーを楽しませる為に頑張らなくちゃね。」

「ルイくんが妾のことを好きになって貰うように頑張るぞ!!」

「それは楽しみだな。」

「人魚は恋が実らず失恋すると死ぬらしい。」

「え…?そうなの…?」

「うん!」

「それは俺の責任重大だね。ミルキーと恋をしないと君は死んでしまうのだろう?」

「大丈夫!大丈夫!!もしもルイくんが妾のことを好きにならんかったらこの短剣でルイくんを殺せば妾は死なないから!!」

「恋が成就しなかったら俺を殺すの?」

「そうじゃ!」

人を殺すことは彼女にとって善悪で語るものではないのだろう

人間社会の価値観なんて彼女には関係ない

「そっか。じゃあ俺達が恋人になれるように今夜は楽しくデートしようか。」

「うん!」

ミルキーは俺の手を握り俺の肩に頭を乗せて甘える仕草をして答えた

神様ありがとうございます

死にたいけれど

自分で死ぬ勇気がなかった俺に

こんな金髪美少女の人魚に会わせてくれて

俺はミルキーと恋に堕ちることはない

この恋が実らず失恋することになったら

ミルキーは俺を殺してくれる

人間ではないけれど

こんなに可愛い美少女に殺されるのなら本望だ

やっと俺を終わらせてくれる

最期のひとときも

こんなに平穏に優しく穏やかに楽しめるなんて

俺はなんて幸運なのだろうか

恋なんて俺もしたことなかったけれど

ミルキーと恋人ごっこをしてから殺されるなら

こんなにも幸せなことはない

満月の光が海を照らして美しかった

今夜が人生で1番楽しいひとときになりそうだ

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