第11話 【一途な革命家】
橘直人 21歳
革命グループtransparentを立ち上げたリーダー
2年間、歌舞伎町で悪を殲滅する活動をしている
薬、売春その他諸々の悪事を歌舞伎町から殲滅させることを目的としている革命家だ
transparrrentのメンバーも歌舞伎町で声を掛けて集めた
歌舞伎町で被害を受けた被害者達を集めて悪の殲滅させる活動をしている
ただのボランティア活動だ
2年間、俺達が取り締まりをして歌舞伎町の犯罪行為はかなり減った
transparentは歌舞伎町でしか活動しないので、他の場所へ悪人達は流れただけかもしれないが
それでもtransparentの活動で反社組織を壊滅させることも出来た
いずれは歌舞伎町だけではなく、日本全体にtransparentのメンバーを増やして日本から悪を殲滅させて住み心地の良い国へと変えていくことが目標だ
この世に蔓延っている悪を殲滅させる
革命家だ
俺がどうしてこんなボランティア活動をしているか
理由はたった1つだけ
好きな女を救いたい
ただそれだけ
俺のことを語るなら昔話から始めなければいけない
俺には仲の良い幼馴染がいた
真田雛乃
同じマンションの隣の部屋に住んでいる同い年の女の子
いつから知り合ったのかと聞かれたら0歳の時からだ
赤ん坊の時から親同士に交流があり、生まれてからずっと雛乃とは一緒に遊んでいた
記憶があるのは幼稚園の頃からだが、雛乃は幼稚園の時からしっかり者でお絵描きも上手だし、運動神経も良かったのでみんなからの人気者だった
小学生でも、中学生でも、高校生の時も
雛乃は常に人気者だった
明るく可愛く性格が良く
クラスの中心人物だった
雛乃は一軍女子という学生の間では誰にも逆らえないピラミッドの頂点にいるような女だった
雛乃は学生生活の治安を良くする為に一軍女子になることにしたようだった
学生の頃のヒエラルキーなんて可愛くて人気者ならそれでよくて
雛乃じゃない女の子が一軍女子として仕切っていた時は、陰湿ないじめが横行したから
雛乃は一軍女子になり、学生生活を取り締まる立場になった
いじめをしていた女子を改心させていじめられていた女の子も助けてあげて
学校全体から熱い信頼を得ていた
雛乃は困っている人とかを助けないと生きていけない性だったようだ
幼稚園から仲が良かったが、中学生ぐらいから少し距離を置くようになった
雛乃はいいやつだが、住む世界が違いすぎて一緒にいることが不釣合いになってきたからだ
もちろん雛乃はいいやつだからそんなことは気にしていないが
学生生活のトップに君臨している女の子と2人で仲良く登校するのは俺にはハードルが高すぎた
嫌味ややっかみもされるので、少し距離を置いた
別に仲が悪くなったというわけではない
学校ではほとんど話さないようになったが、マンションに帰ってからはお互いの部屋を行き来するほど仲が良かった
中学生になると俺も野球部に入り、忙しくなったから部活終わりに家で雑談することが俺達の日課だった
部活が終わり、家に帰ると雛乃と妹の真田胡桃がいて
夕ご飯が出来るまで3人で雑談する
それが俺達のルーティンだった
幸せだった
毎日が楽しくて、このままの日常が続くと思っていた
3人仲良くずっとずっとずっと
一緒にいられると思っていた
事件が起きる数日前、家でいつも通り3人で雑談をしていた
俺と雛乃が16歳の高校生で、胡桃は12歳の小学6年生の時だった
「お姉ちゃん!私、今日も算数のテストクラスで1番だったんだよ!」
と胡桃が雛乃に言う
「胡桃すごーーーい!胡桃はいつもテスト1番だもんね!いつも努力してるからだよ〜。」
「私はお姉ちゃんと違ってテストぐらいしか取り柄ないから…」
「何言ってんの!お姉ちゃんは胡桃が1番の自慢の妹だよ!私なんかよりずっとずっと胡桃の方が凄いんだからね!」
「そんなわけないじゃん…私友達もいないし…」
「友達なんていなくても大丈夫!胡桃が胡桃であることが大切なのよ。」
「お姉ちゃん大好き♡」
「私も胡桃だーい好きだよ♡」
この2人はお互いにシスコンだ
雛乃も胡桃を甘やかしまくっているし
胡桃も人気者のお姉ちゃんが自慢でべったりだ
姉妹のイチャイチャを眺めるのが俺の日常だ
「直人は一年生なのに野球部でレギュラーになったんでしょう?凄いね!」
と雛乃は俺に言う
「別に凄くないよ。俺は胡桃みたいに毎日努力していたわけじゃなくて、体格が良くて野球をするのに恵まれていたからってだけだから。」
「いやいや!ご謙遜を!」
「そんなんじゃねぇって…」
と俺が言うと雛乃は俺の耳元までよってきて
俺にだけ聞こえるように小声で
「ちょっとはかっこつけなよ。そんなんじゃ胡桃にいつまでも振り向いて貰えないよ。」
「なっ!!!」
俺は顔を真っ赤にして腰を抜かして転がる
「どうしたの?」
と胡桃が言う
「アハハ!!凄い慌てぶり!私が気付いてないとでも思ってたの?」
「…。」
絶対にバレてないと思っていたよ
ポーカーフェイスは得意だからな
どうして俺が胡桃を好きなことがバレたのだろうか
普通にしていたつもりなのに
「こんなことで赤面して転がってる男じゃまだまだ胡桃を任せられないなぁ。」
「うるせえ!」
かっこ悪くて恥ずかしい
胡桃に好きになってもらうことも難しいのに
雛乃に認めて貰えるようになることは更に難しそうだ
それでも諦める気はないけれど
「まぁせいぜい頑張りなよ。直人君。プロ野球選手にでもなれば認めてやらなくもないよ。」
そんなことを言っていたのに
雛乃は数日後、通り魔から胡桃を庇って死んでしまった
俺達の幸せな日常はこうも容易く壊れてしまった
俺もショックで立ち直ることに時間がかかったが
妹の胡桃はさらに酷かった
あんなに雛乃が大好きでべったりだったのに
目の前で胡桃を庇って雛乃は殺されたんだ
元の大人しく優しい笑顔を見せる姿はなく
廃人のようになってしまった
感情がなく
ただ座っている時間が多かった
時々発狂して暴れて物を投げたり自分を傷つけたりしていた
俺は以前の胡桃に戻れるまで心のケアをしてあげようと野球部もやめて時間がある時は胡桃と一緒に過ごすようになった
雛乃が命懸けで守った胡桃を俺が死ぬまで支えてあげようと
胡桃にまた笑顔が戻るようにと必死で側にいて胡桃が元気になるように支えた
少しずつ回復してきて、胡桃はテレビゲームやネットをするようになった
まだ笑顔は見せないが、廃人のようにぼーっとしたり発狂して暴れる時間は減ってきた
俺が学校に行っている間は、俺の部屋でネットをしているようだった
そして再び事件は起こる
警察が俺の部屋に押し入って
「橘直人。お前は大企業にハッキングをして情報を抜き取り、それをネットに流した罪で逮捕する。」
「…は!?」
蒼天の霹靂だった
意味がわからない
俺はそんなこともちろんやってない
俺は誤解だと思い人違いだと釈明しようとすると
胡桃がにっこりと微笑んでいた
雛乃が死んでから初めて見た笑顔だった
俺は確信した
俺の部屋のパソコンで胡桃がやったことなのだと
何故こんなことを胡桃がしたのかはわからない
でも雛乃が守った大事な胡桃を
何よりも俺が大好きな胡桃を犯罪者にすることは
俺には出来なかった
「…俺がやりました。」
俺は警察に連れていかれて少年院に入った
2年間、少年院に入っている間考えた
どうしたら胡桃を救えるのか
胡桃は犯罪に手を染めてしまった
このままでは胡桃は幸せになれない
胡桃を救うため
俺は少年院を出て革命グループtransparentを作った
犯罪者になってしまった俺は胡桃と連絡を取ることも出来なくなってしまった
革命家として活動を続けていればいずれは胡桃に会える
今度は失敗しない
絶対に胡桃を救ってみせる
怪盗マジカルが世間を騒がしている
俺は直感した
怪盗マジカルは胡桃ではないかと
怪盗なんて悪巧みをして実行出来る人間は胡桃しかいない
何とか怪盗マジカルに接触して確かめなければ
胡桃が怪盗マジカルなのかを




