第10話 天罰を下す女神
秘宝ネメシスがお披露目されて配信は大盛り上がりといいたい所だが
秘宝ネメシスを拝んで号泣しているはやぴーの姿に視聴者達は大盛り上がりしている
“ガチ泣きw”
“秘宝ネメシスガチ勢w”
“泣くのはまだ早いんじゃないのか!?まだ秘宝ネメシスは喋ってないぞ!!”
“本当に喋ったりしたらはやぴー興奮しすぎて心肺停止するかも…w”
とコメントは秘宝ネメシスよりもガチ泣きしているはやぴーに夢中だ
秘宝ネメシスというルビーの石は一般人にとってはただの宝石であり、綺麗だなという感想しかない
綺麗な宝石よりもガチ泣きしているおっさんの方が面白い
民衆とはそういうものだ
「はやぴーよかったね。秘宝ネメシスを見れて。」
「ああ!!出逢えた奇跡に感謝する!!俺は秘宝ネメシスに出逢う為に生まれてきたんだ!!姿を見せなかった秘宝ネメシスが今!!まさに!!目の前に!!」
石のことを熱中してよくわからない話を早口でペラペラとよく話してはいたけれど
こんなにも興奮して心酔しているはやぴーは初めて見る
鉱物学者にとっては幻であり、凄い宝石なのだろう
「早く!私の物にしたい!!手にに入れたい!!」
とかなり盲目的にまずい発言をしている
“まさか盗るつもりなのか?”
“さっきも飲み込むとか言ってたし…”
“犯罪者予備軍”
とコメント欄も不穏になっている
「秘宝ネメシスは五十嵐承太郎がオークションで200億で競り落としたんだ。はやぴーが秘宝ネメシスを手に入れることは不可能だよ。」
「フフッ…それがそうでもないんだよ。」
「何?本当に盗みをするつもりなのか?友人として一線を越えるつもりなら全力で止めさせてもらうけど。」
「違うよ。俺を怪盗マジカルのような盗人の犯罪者と一緒にしないでくれるかな?」
「じゃあどうやって手に入れるつもりなんだ?」
「もちろん交渉してさ。」
「安く売って貰おうってか?」
「譲ってもらうようにさ。」
「秘宝ネメシスを調べるからって?それだけの理由ではいくらなんでも譲ってくれるわけないと思うけど。」
「秘宝ネメシスの意味って知ってるか?」
「預言をする石だろう?」
「何故”ネメシス”と名付けられたのか。」
「ネメシスの意味?なんだっけ?」
「天罰を下す女神だよ。」
「天罰?」
「そうだ。秘宝ネメシスの所有者は全員天罰が下っている。秘宝ネメシスが曰く付きで隠されている理由は預言するからだけではない。災いを呼ぶ宝石だからだ。」
「そんなこと初めて聞いたけど。」
「原書にしか書いてないからな。預言があるおかげで衰退していた国も豊かになったが、疫病が流行り結局国は滅んだりしている。他にも所有者の視力が失われたり、聴力がなくなったりした者もいたようだ。」
「胡散臭いなぁ。本当なのか?」
「本当だ!」
「本当ならオカルトの呪物じゃないか。」
「オカルトではない!神の意思を宿した宝玉だ!!」
「運良く譲って貰っても天罰が下るんじゃダメじゃん。」
「何が?」
「だって国が滅んだり、目が見えなくなったりするんだろう?危ないよ。」
「秘宝ネメシスが手に入るならこの身も心も全て捧げるさ。」
「死ぬ覚悟ってこと?」
「そうだ。」
「ふーん…俺は秘宝ネメシスにはやぴーが殺されたらかなしいけどね。」
「フッ。勇気だって言ってたじゃないか。死ぬなら配信中がいいと。配信に命を捧げられるんだろう?俺は秘宝ネメシスに捧げられる。それだけさ。」
「そっか。そんなに大事なんだね。秘宝ネメシスが。」
「ああ!この命よりもよっぽど価値がある素晴らしい秘宝さ!!早く月の光を当てて預言させてみたいなぁ!!」
と俺達が秘宝ネメシスを拝見しながら話していると
豪華客船のシャンデリアに怪盗マジカルが現れた
「この世の悪を嘲笑う。怪盗マジカル参上!!」
“うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお”
“怪盗マジカルキターーーーーーーーーーーーー!!”
“え!生マジカル超可愛いんですけど!?”
とコメント欄は大盛り上がりだ
同接は60万を超えて世界中が怪盗マジカルを俺の配信から見ている
こんなに同接が伸びるなんて…
予想以上の同接数に少しビビってしまっている
「か…怪盗マジカルが姿を現しました!!なんて言ったらわからないですけど…現物の怪盗マジカルは超絶可愛いです!!」
“外見評価で草”
“でも本当に可愛い”
“魔法少女みたい”
「えっと…栗色の髪色で腰まで髪があるロングヘアです!走ると髪が靡いて妖艶です!!黒のシルクハットに魔法少女のような黒のレースドレス!そして怪盗マジカルの最大の特徴である傘!!あのレインボーの鮮やかな傘で攻撃、防御、そして空も飛ぶのです!!」
“本物の傘キターーーーーーーー!!!”
“傘で飛ぶってどういう技術なん?”
“魔法だよ!”
“あの傘だけでも謎を解明したい。”
とコメントも怪盗マジカルの傘に興味深々だ
「怪盗マジカル!今日こそお前を捕まえて見せる!」
と探偵の北条君が叫ぶ
警察は怪盗マジカルが現れると一気に臨戦体制になり、秘宝ネメシスの前は警察で埋まっていく
「皆さん!落ち着いてください!」
と五十嵐承太郎が観客に向かって叫んでいる
観客は秘宝ネメシスから離れるように案内されていく
俺は誘導員の指示に従って移動しながらいまだにシャンデリアに乗っている怪盗マジカルを映して配信する
「俺は秘宝ネメシスを絶対に守るんだ!!」
とはやぴーは誘導員を無視して、警察が取り囲んでいる秘宝ネメシスがある場所へと突っ込んで行った
「あ!おい!待てよ!!」
俺が制止する言葉も届かず、はやぴーとは離れ離れになってしまった
「It’s showtime!!!」
と怪盗マジカルが声を上げると
怪盗マジカルの傘からスモークが吐き出された
「落ち着いてください!ただの目眩しです!移動しないでください!」
と探偵の北条君が叫んでいる
視界が一気に真っ白になる
“何も見えない”
“ぱっくん大丈夫か!?”
「俺は大丈夫…。でも何も見えない。」
視界が真っ白でどうすることも出来ない
そんな中、俺の腕を誰かが掴む
「わ!誰だよ!!離せ!」
という俺のことを無視して何者かは俺をどこかに連れて行く
俺は腕を振り払い、抵抗したが
「大人しくついてこい!!」
と男が声を張り上げたので抵抗するのがこわくなり俺は男に引っ張られてどこかへと連れて行かれた
「ここにいろ!」
と連れてこられた場所はただの部屋だった
机と椅子があり、会議室のような部屋
俺の他にも9人この部屋に連れてこられて人がいるようだった
「怪盗に告ぐ!!人質を10名預かった!!人質を解放させたいならこの俺、橘直人の所に来い!!」
と豪華客船のアナウンスで橘直人が宣言した
どうやら俺は人質になってしまったらしい
こんな会議室では怪盗マジカルを映すこと出来ない
「嘘だろ…人質配信なんて最悪すぎる…」
“ぱっくん生きろ!!”
“ぱっくん死ぬな!!”
“ぱっくんー!!やだーーー!死なないでー!助けて怪盗マジカルー!!!”




