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堕落聖女と変態魔王  作者: 竹輪
〜邂逅編〜
78/117

27、同類



「俺はかつて奴隷だった。助けてもらったんだ初代聖女様に、命を.....」



あの日の奇跡が未だ瞼の裏にある。

目を瞑れば凄惨な過去と共に、苛烈で美しい救済として消えることは無い。



「なんの話をしている」


「両親と引き裂かれ、奴隷商に虐げられ、悪趣味な人間に身体を暴かれそうになった」


「唐突になんだ」


「人権は無い。それどころか、生き物として扱われない。壊れるまで使われる道具だった。だったんだ」



あの日のお前と同じ。

己も奴隷上がりなのだとデイビッドは告げる。救世主が違うだけで、俺もお前も変わらない。

ルイがデイビッドを慕うように、デイビッドも初代聖女を慕っている。今もなお。未来永劫。なのに。



「助けて貰ったんだ。生き物に戻してくれた......感謝してもしきれないのに、俺は恩人に気付きもしないで」



後悔が溢れていく。桃色の瞳は涙に揺れ、覆う指先を濡らした。

確信はない。妄言であれと思う。

森での光景が初代聖女様に狂った己の幻覚で、エマは魔王を誑かす悪い人間だと信じたかった。



「魔王様、そうですよね?あの方なのでしょう?」



信じられなかった。

本能が理性を否定する。

例えその先に続く結果が、絶望だとしても本能に抗うことは出来ない。



「初代聖女様なのでしょう?」



カラカラと口が渇く。

ひりつく喉から声を絞り出した。

死にそうな顔をするデイビッドとは裏腹に、シオンは愉快だと口の端を歪める。それが答えだった。



「あ、ぁぁ...やはり」


「なんの話をしている?」


「ルイ、俺たちは取り返しの付かないことをした。もう戻れない」


「デイビッド?」


「思い描いた再会は二度と叶わない。己が手で壊した。壊してしまった」


「よく分からない。説明してくれ」


「エマさんだ」


「人間がどうした」


「初代聖女様なんだよ」


「は?」


「エマさんが初代聖女なんだ」












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