4、教会
デブリンに渡ると、ルークたちは早速聞き込みを行った。だがいくら声をかけども「すまない」「忙しい」の一言で、去っていってしまう。
「どうして、皆さん足を止めて下さらないのでしょう?」
聞き込みを始めて1時間経つ。
こうも話が聞けないと、避けられているのではないかと疑ってしまいそうだ。サラはおそらくそう思っているのだろう。悩ましげに眉を下げていた。
「手伝うよ!」
「あ、ああ!すまないね」
木材を運んでいた男に声をかける。
先ほどからそう声をかけてはいたが、逃げられなかったのは彼が始めてだった。
背丈ほどもある木材の端に肩を掛けて、男を前にルークは足を進めた。
「あんたら旅の人かい?それなら、運が悪かったね。誰も話なんか聞いちゃくれないだろう」
「なにかあった?」
「聖遺物が破壊されたんだ。それで結界が保てなくなって、バリケードをね」
困っちまうよ、と苦笑いする男。
魔物は神出鬼没だが、結界が機能していないと知れば好奇だと攻めてくに違いない。
立ち話に付き合えないほど、大忙しなのも頷けた。
「王城から助けは」
「あの人たちは手伝ってなんかくれないよ!ここに来てはいるけど、木材の一つも運びやしない!」
男の声に木材を運んでいた数人が頷く。
誰も隠す気が無いのか、口々に愚痴をこぼす。
近くにいた兵士が罰が悪そうに、裏路地へと姿を消して行った。それでも手を貸さないのは、なにか別の目的があるのだろう。
ルークは兵士を横目に、気遣いの言葉をかけた。
「怪我人はいる?簡単な回復魔法なら使えるけど」
「いや、怪我人はいないさ」
「魔物は全部、倒してくれたからね」
「へえ!聖女たち?」
「あっ、いや...」
「助けてくれたのは旅人さ。聖女は...」
「なあ?」
「被害者ってのかな」
魔物の討伐に関わっていないのに、被害者とは。
首を傾げるルークに、街人たちは困ったように話してくれた。
「俺たちも詳しくは知らないんだが、聖遺物が破壊された時に当直だった聖女が被害にあったらしい」
「完全に気が触れちまってな」
「可哀想に」
「ひとりだったから、なにされたか本人以外は誰も分からなくてな。教会はピリピリしてて、手伝えなんて言えねぇのよ」
「悪いことは言わないから、あそこには近付かない方がいいよ」
「犯人にされちまう」
あんがとな、と街人たちは作業に戻って行った。遠くで様子を伺っていたサラが小走りでやってくる。話は聞いていたらしい。
「どうなさいますか?」
「行ってみようか」
当直の聖女なら、詳しい事情を知っているかもしれない。
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