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第十五話 「やつらを超えたら」
一輝は一人ブルペンのマウンドに立ち
思い出していた。
決勝戦で南が投じた一球一球を
新幡が投じていた一球一球を
そうか、この球を俺は待っていたんだ。
新幡が交代した瞬間、
一輝は勝利から遠ざかる甲子園の声を聞いていた。
もし、あの時、新幡がチームに二人いたら
その声は聞こえなかっただろう。
一輝はブルペンから見える
ホームベースに向かって、
ピッチャーさながらに振りかぶり
ダイナミックなホームで一球を投じた。
その一球は、静かにホームベースの上を
光速で通過した。
もし、俺が、彼ら・・・いや、やつらを超えたら・・・
あめが降りしきる中、
ブルペン上にて、静かに闘志の火がついた。




