待ち伏せ
イーサンは腕を組み、周囲を見渡した。
「……誰が行く。」
最初にヘイズが立ち上がる。
「僕が行く。」
続いてカイが静かに頷いた。
「俺も。」
アレックスも短く答える。
「行こう。」
残る一人。
自然と全員の視線がライアンへ集まった。
ライアンは黙ったまま、その視線を受け止める。
イーサンは露骨に顔をしかめた。
「……おい。」
「こいつを連れて行くのか?」
ノアは静かに頷く。
「だからこそだ。」
「もしライアンが人狼なら、夜に正体を現す。」
「もし違うなら、疑いも晴れる。」
ライアンは何も言わず、小さく頷いた。
しかし、イーサンは納得していない。
「おいおい!」
「こいつを行かせるくらいなら、俺が行く!!」
ノアは少し考え、静かに頷いた。
「……分かった。」
その一言に、ライアンは何も言わず目を伏せた。
ノアは気持ちを切り替え、再び口を開く。
「レオンさんの家での見張りだけど……。」
するとレオンが言葉を遮った。
「いらない。」
全員がレオンを見る。
「俺は誰も信用してない。」
「ここにいる誰一人としてな。」
その場が静まり返る。
ノアは少しだけ困ったように笑った。
「……そうか。」
「分かったよ。」
こうして作戦は決まった。
しかし最後に、ノアは全員を見渡しながら真剣な表情で言った。
「この作戦は、この部屋だけの秘密だ。」
「ヴィクターさんたち、残りの三人には絶対に話さないでくれ。」
全員が静かに頷いた。
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夜。
村の中央にある古い納屋。
二階には月明かりだけが差し込んでいた。
ヘイズ。
イーサン。
アレックス。
カイ。
四人は物音ひとつ立てず、村を見渡していた。
時計の針は午後十一時。
何も起こらない。
午前零時。
村は静まり返っていた。
午前一時。
虫の鳴き声すら聞こえない。
イーサンが小さく呟く。
「……来ねぇな。」
誰も答えない。
アレックスは窓の外を見つめたまま微動だにしない。
カイは地図を握り締めながら周囲を警戒している。
ヘイズも眠気を堪え、必死に目を開けていた。
その時だった。
遠くから――
「うあああああああああ!!」
男の悲鳴。
四人は同時に立ち上がる。
イーサンが叫んだ。
「南だ!!」
四人は納屋を飛び出し、全力で駆け出す。
息を切らしながら辿り着いたのは――
レオンの家だった。
玄関の扉は大きく開いている。
ヘイズが真っ先に飛び込む。
「レオン!!」
叫ぶ。
しかし返事はない。
居間へ駆け込むと、レオンは仰向けに倒れていた。
首元から大量の血が流れ、床を赤く染めている。
カイがしゃがみ込み、首筋へ手を当てる。
数秒後。
静かに首を横へ振った。
「……ダメだ。」
誰もが言葉を失う。
しかし、アレックスだけは部屋全体を見回していた。
「……おかしい。」
イーサンが振り返る。
「何がだ?」
アレックスはゆっくり答える。
「傷が違う。」
全員がレオンの遺体を見る。
ソフィアも。
オスカーも。
喉を噛み裂かれて殺されていた。
だが、レオンは違う。
胸に一本の深い刺し傷。
そして部屋は、ほとんど荒らされていない。
ヘイズが眉をひそめた。
「……人狼じゃないってことか……?」




