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十二人

その夜。


生き残った十二人は村の公民館に集められた。


誰も口を開かない。


誰も隣に座る人間を信用していなかった。


静まり返った部屋に、古びた時計の針だけが音を刻む。


やがて村長のヴィクター・ハリントンが重たい口を開いた。


「……もう隠していても仕方がない。この村に裏切り者がいる」


普通なら驚くような言葉だった。


しかし誰一人として否定しなかった。


全員が心のどこかで、同じことを考えていたからだ。


沈黙を破ったのはミア・リードだった。


「……もう隠すのやめようよ。このままじゃ全員死ぬ。」


その言葉にオスカー・コリンズが勢いよく机を叩く。


「だったら誰なんだ! この十二人の中に人喰いの化け物がいるって言うのか!」


「私はそんなこと言ってない!」


「言ってるようなもんだろ!」


二人が睨み合う。


その時、猟師のアレックス・ウォーカーが低い声で言った。


「……疑うなら根拠を持て。」


一言で部屋は静まり返る。


するとソフィア・ベネットがゆっくり立ち上がった。


「根拠ならある。」


全員の視線が集まる。


ソフィアは一人の男を真っ直ぐ指差した。


「ライアン・クーパー。」


ライアンは目を見開く。


「……俺?」


「あなた、この村に来たのは一年前よね。」


「だから何だ。」


「あなたが来てから、この村はおかしくなった。」


空気が一変する。


ライアンは立ち上がり、机を叩いた。


「ふざけるな!! 偶然だろ!」


「偶然で百三十八人も死ぬの!?」


「知らねえよ!」


「じゃあ証明してみなさい!」


「証明なんかできるか! だったらお前が人間だって証明してみろ!」


怒鳴り声が飛び交う。


その時、今度はヘイズ・ミラーが口を開いた。


「僕は……レオン・フォスター、君も怪しいと思う。」


レオンは静かに顔を上げる。


「理由は?」


「ずっと言ってたよね。『人狼なんていない』『熊の仕業だ』って。あの死体を見て、普通はそう思わない。」


数人が黙って頷いた。


レオンは小さく息を吐く。


「俺は……人狼なんか信じたくなかっただけだ。」


再び沈黙が訪れる。


誰も決定的な証拠は持っていない。


それでも疑いだけは確実に膨らんでいく。


十二人の中に、人狼がいる。


その事実だけが、公民館の空気を静かに蝕んでいた。

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