蒼い瞳の王子アズラルと仮初めの婚約③王宮の秘密
③王宮の秘密
現王様の病状とも深く関わっている。
外に漏らせば、極刑もの。
全身に広がる赤い発疹……きっと女性を介してうつされたものだ。
王様の周りには、多くの女性が出入りしていた。
胸が開いた派手なドレス、贅を尽くしたアクセサリーや派手なお化粧。
隣を通るとむせるような香水。
女の私でも、少し具合が悪くなる。
でも、同じ状況で具合が悪くなっているのは、私だけではないことに気が付いた。
……アズラル殿下だ。
殿下は、王太子というお立場におごることもなく、周囲の人に慕われている。
朝早くから夜遅くまで公務をこなし、多くの人の意見を聞いていた。
善政を敷いた前王様の再来になることを期待されている。
でも、アズラル殿下は、舞踏会の日のように、急激に調子を崩されることがある。
酷いときは、あの日のように過呼吸を起こす。
私は、アズラル殿下を観察していて原因らしきものに思い当たる。
着飾った女性たちに、囲まれる日……。
特に、王様の周囲に侍る女性たちには強い嫌悪感を抱いているように感じた。
その日も、花嫁探しの時よりは規模は小さいけれど、舞踏会が開かれた日だった。
次期国王目当ての人たちが、アズラル殿下に群がる。
男性相手ならば、まだ良かったようだ。
でも、女性に囲まれると、だんだん調子が悪くなっているのが分かる。
アズラル殿下は、笑顔で爽やかに取り繕おうとはしている。
機微に富んだ会話も進んでいる。
でも、顔色は悪く、それが強がりなのは見て取れた。
いたたまれない気持ちになる。
私は、ムーナ様に尋ねた。
「殿下は……」
それだけで、ムーナ様は私が何を言おうとしたのか察したらしく、静かに頷いた。
何て、お可哀そうなのだろう。
立場上、着飾った女性を避けて通れない。
それが分かるから、なお痛々しかった。
私は、廊下で青くなっている殿下に声を掛けた。
「アズラル殿下……」
「パル嬢か」
アズラル殿下は、微かに笑って、前かがみだった姿勢を正そうとする。
「無理はなさらないで」
最終回まで10話
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