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No.49 ネージュ:氷塵の戦場と、極上シロップのHカップ

熱波が肌を焼き、視界が陽炎で激しく歪む。

ここは異世界の中心部に位置する、焦熱の溶岩洞窟だ。俺に課せられた任務は、古代の守護騎士を再起動させるための極めて精密な魔力回路修復。一ミリの狂いも許されない作業に、全身から脂汗が吹き出していた。


だが、極限の集中力がふとした瞬間に途切れた。指先から小さな火花が散り、回路がパチリと音を立ててショートする。


「あっ……」


修復は失敗だ。その直後、洞窟の猛烈な熱気が嘘のように引き、周囲に凍てつくような沈黙が広がった。それは物理的な温度変化ではない。ミスをした瞬間に、周囲の人間から一斉に拒絶されるような、あの職場の冷え切った空気そのものだった。


天井の溶岩が瞬時に黒く固まり、そこから鋭い氷の棘が俺を狙って突き出してきた。


アイシクル・スピア。

失敗の代償として降り注ぐ、絶対的な殺意。


この息苦しい沈黙を、もっと別の、心地よい冷たさで上書きしてくれ!


「出でよっ、ぱいぱいっ! ナンバー49!」


ぼよよぉん!


氷の結晶が弾けるような、硬質で重厚な弾力音が洞窟内に鳴り響いた。


霧散する冷気の中から現れたのは、和風の作務衣に身を包み、頭にねじり鉢巻を締めた氷の妖精、ネージュだった。

その青白い肌に透き通るような水色の羽、そして何より、小柄な体には不釣り合いな圧倒的重量感を湛えたHカップの双丘が、プロの職人としての風格を漂わせながら悠然と揺れていた。


「一肆、呼んだね。……ふむ、悪くない素材だ」


ネージュは頭上から降り注ぐ巨大な氷柱を、逃げるどころか食い入るように見つめ、淡々と呟いた。その瞳には恐怖の色など微塵もなく、ただ職人が最高の原石を見つけた時のような、底冷えする情熱だけが宿っている。


「ネージュ、逃げろ! あれは俺の失敗が生み出した、ただの凶器なんだぞ!」


「凶器? 違うね。これは熱気と沈黙が混ざり合った、極上の天然氷だよ」


彼女はねじり鉢巻を締め直し、作務衣の袖をまくると、Hカップという規格外の重量を誇る双丘を、どっしりと構えた。透き通る水色の羽が微かに震え、周囲の熱気を打ち消すような冷たい魔力が彼女の体から溢れ出す。


「一肆、氷はね……鋭ければ鋭いほど、削り出した時の口溶けが良くなるんだよ。失敗の代償だろうと何だろうと、私の前ではただの『仕込み』に過ぎないね」


ネージュは逃げ場のない溶岩の壁を背に、迫りくるアイシクル・スピアの群れを正面から見据えた。


青白い肌を伝う汗が、洞窟の熱気で蒸発する。彼女がHカップの豊かな谷間を「受け皿」のように広げ、氷柱を迎え撃つ体勢に入った瞬間、最前列の氷柱がその鋭利な先端を彼女の胸元へと突き立てた。


「一肆、突っ立ってないで。最高の削りには、最高の『円周率』が必要だよ」


ネージュの背中に手を当て、俺はトラウマという名の心の氷を溶かすように念じた。


万物円満オール・ラウンド!」


俺の『π=314』の波動が、ネージュのHカップという名の巨大な氷結プラットフォームへ流れ込む。彼女の「丸める力」が100倍に増幅され、その双丘は神秘的な水色の光を放ちながら、さらに重厚に、さらに円満に膨れ上がった。


「準備はいい……?」


──練乳かき氷バスト!!


落下するアイシクル・スピアの雨を、彼女はHカップの深い谷間で正面から迎え入れた。

ガツンッ! という衝撃音が響くはずの瞬間、聞こえてきたのは「ぽふん、しゅわわっ」という、耳に心地よい氷の削れる音だった。


鋭利な氷柱の先端が彼女の胸の弾力に触れた瞬間、殺意という名の「角」が瞬時に削り落とされ、一肆の演算によって完璧な球体状の氷の粒へと再構築されていく。

Hカップの圧倒的な質量と柔らかさが、凶器を最高のスイーツへと書き換えていくのだ。


「ふむ、いい削りだね。一肆の魔力、少し甘すぎるよ」


ネージュが双丘をぐりんと力強く回すたびに、彼女の胸元から溢れ出した魔力が練乳のような甘い香りを放ち、削り出された氷を真っ白に染めていく。

洞窟を埋め尽くさんとしていた鋭い氷の棘は、今やネージュの胸元からこぼれ落ちる、ふわふわで丸く盛られた「極上のかき氷」へと姿を変え、灼熱の床をひんやりと、そして甘く彩っていった。


挿絵(By みてみん)


「はい、あーんして。……溶けちゃうよ」


ネージュは無表情のまま、Hカップの谷間で丸く形作られた極上のかき氷をスプーンですくい、私の口元へと運んだ。舌の上で淡雪のように消える氷は、練乳の甘さと共に、失敗の焦燥で熱を持っていた私の脳を優しく冷却していく。


「……美味い。トゲトゲしていた殺意が、嘘みたいに消えたよ」


「当たり前だね。私の胸は、どんな尖った感情も丸く収めるためにあるんだから」


彼女は満足げに頷くと、パチンと指先を鳴らした。すると、洞窟の熱気が完全に遮断され、周囲には分厚い冬用の羽毛布団が敷き詰められた。


「『氷結クーラーボックス』……一肆、中に入って。君の心はまだ、職場の冷え切った視線を思い出して震えている」


「あ……」


言われるがままに布団に潜り込むと、ネージュもその中に滑り込んできた。彼女の青白く透き通るような肌は、驚くほど冷たく、そして柔らかい。

彼女は自身の巨大なHカップの双丘を、私の熱くなった背中へとぴたりと密着させた。


「ひんやりして、気持ちいい……」


「これが正しい冷たさだよ。人を拒絶する冷気じゃなくて、熱を吸い取って安らぎを与えるための冷たさ。……何も考えずに、このまま冬眠しなさい」


彼女の冷たく、重厚な胸の重みが、私のトラウマを物理的に押し潰していく。


私は、限界を超えた統計データアナリストの脳で独白を開始した。


鋭利な失敗の記憶という「スパイク・データ」が、彼女の氷結バリアによって円満な「定数」へと置換されていく……。

『π=314』 の演算が導き出すのは、灼熱のストレスを氷点下の愛情で相殺する、究極の熱力学的平衡状態……。


「一肆、動かないで。私の胸が温まっちゃうじゃないか……。もっと、冷たい私に沈んで……」


ネージュの氷のように冷たく、けれど慈愛に満ちた腕が私を包み込む。


外界の拒絶も、内側の焦燥も、彼女のHカップが作る零度の聖域には届かない。

私は甘い練乳の香りに包まれながら、静かな深い眠りへと落ちていった。


やはり、世界は丸いほうがいい……

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