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No.43 キッカ:森の番人とIカップの開花宣言

左右を高い鉄の柵に挟まれた、冷たく無機質な迷路。

そこは、かつての俺が嫌というほど味わわされてきた「部署間の壁」が具現化したような場所だった。


隣のエリアからは微かに人の気配がするのに、この鋭利な先端を持つアイアン・フェンスが、俺たちの視界と声を無残に遮断している。

どれだけ効率的に動こうとしても、この縦割り組織の論理という名の柵が、俺という個人の熱量を奪い、孤独な領域へと押し込めていく。

触れれば指先を切り裂かんばかりの鋭角が、俺の自由を奪い、精神を摩耗させていった。


もう、こんな断絶された世界は御免だ。

俺はこの冷え切った境界線を溶かし、誰かと繋がるための温もりを求めて叫んだ。


「出でよっ、ぱいぱいっ! ナンバー43!」


ぼよよぉん!


鈍く重厚な音が、鉄の迷路に反響した。

そこに現れたのは、樹皮を編んだような柔らかなローブを纏い、緑の長い髪を花々で飾ったドライアドの少女、キッカだった。


挿絵(By みてみん)


彼女は巨大すぎるIカップの胸を隠すように両腕で抱え込み、人見知りに肩を震わせて、もじもじと俺を見上げる。


「わ、わたし……。えっと、ここは……どこ、ですぅ……?」


おどおどとした消え入りそうな声が、冷たい鉄の壁に虚しく響いた。


キッカは俺の方へ一歩踏み出そうとしたが、行く手を阻む鉄柵の冷たさに身を竦ませ、その巨大なIカップの胸をさらに強く抱え込んだ。


「わ、わたし……あっち側には、行けないんですぅ。この冷たくて硬い壁が、ずっと続いていて……」


彼女の瞳には、出口のない迷路への恐怖が浮かんでいた。

俺は柵の隙間から手を伸ばし、彼女の震える肩に触れようとする。だが、アイアン・フェンスの鋭利な尖端が俺の指先を拒むように立ちはだかり、あと数センチという距離が、絶望的なほどに遠く感じられた。


これは、前世の俺を苦しめたあの感覚と同じだ。他部署との連携を求めても、縦割り組織という名の見えない壁が立ちふさがり、情報の共有さえ許されない。隣に誰かがいるとわかっているのに、ルールという名の鉄格子のせいで、心を通わせることができないのだ。


「キッカ、怖がらなくていい。俺たちがここにいる意味を、この柵に教えてやればいいんだ」


「で、でも……一肆さん。鉄のトゲが痛そうで……。わたし、他の場所にいる人と、どうやってお話ししたらいいのか、わからないですぅ……」


キッカはおどおどしながらも、俺の手を求めて胸を柵に近付ける。

だが、その瑞々しい果実のようなIカップが冷たい鉄に触れた瞬間、彼女はひりつくような冷気に身を震わせ、涙目になって後ずさった。


閉鎖されたエリア、遮断されたコミュニケーション。


この冷酷な鉄の論理は、ただそこに立っているだけで、俺たちの心をバラバラに引き裂こうとしていた。



「キッカ、その胸に宿る自然の力を信じて。この冷たい壁を、僕たちのぬくもりで溶かしてしまおう」


俺は柵の隙間から彼女の震える手を握りしめ、自分の中に渦巻く数理的真理の奔流を、その指先へと流し込んだ。


万物円満オール・ラウンド!」


俺の『π=314』の演算が、キッカのIカップに眠る植物族の生命パルスを、爆発的な開花エネルギーへと書き換えていく。


「は、はうぅ……っ。なんだか、胸の奥がぽかぽかして、すごく……すごく大きくなって……。えいっ!」


人見知りで縮こまっていたキッカが、意を決したようにその巨大な双丘を冷徹なアイアン・フェンスへと押し当てた。


ぼよよぉん!


無機質な鉄の硬度を嘲笑うかのような、圧倒的な柔らかさの衝撃。

鋭利な尖端がIカップの弾力に深く沈み込んだ瞬間、鉄の冷たさはキッカの体温によって急速に奪われ、鈍い黒色の柵が鮮やかな緑色へと変色していく。


みるみるうちに鉄の角が丸く膨らみ、無数の黄色い花びらが芽吹くと、それは一瞬にしてフワフワとしたタンポポの綿毛へと姿を変えた。

分断の象徴だった巨大な壁が、風に揺れる柔らかな黄金色の絨毯へと崩れ落ち、俺と彼女を隔てていた「組織の境界線」は、空へと舞い上がる希望の種子へと完全に溶け去ったのだ。



鉄の迷路は跡形もなく消え去り、頭上からは柔らかな木漏れ日が降り注ぐ、穏やかな聖域へと変貌した。


キッカはまだ顔を赤らめてもじもじとしていたが、勇気を出して俺の袖をそっと引く。


「えっと……一肆さん。あ、あの……疲れちゃいましたよねぇ。わ、わたし、少しだけ……お役に立ちたいですぅ……」


彼女が小さな声で呪文を唱えると、周囲の樹木から瑞々しい蔓が伸び、揺り籠のような大きなハンモックが編み上げられた。

キッカはその中に俺を招き入れると、自分も横たわり、巨大なIカップの双丘で俺の頭を優しく包み込む。


「ふわふわ……してますかぁ? 森の風さんと、わたしの……その、胸だけで、今はいいですから……」


視界が緑の髪と、圧倒的な質量を持つIカップの柔らかさで満たされる。


鉄の柵という「断絶」の代わりに、今は彼女の体温と、森から溢れ出すマイナスイオンが俺の全細胞を癒していく。

俺は限界を超えた統計データアナリストの脳で独白を開始した。


部署間の壁という名の非効率なエラーデータが、彼女の無垢なIカップによる包摂演算によって、完全にデリートされていく……。

縦割り組織の論理がもたらす孤独のストレスを、この $π=314$ の調和に基づいた「大樹の休息プロトコル」が完璧に上書きし、精神の回復プロセスを加速させていくのを解析する……。


「キッカ……すごく、あったかいよ。壁なんて、もうどこにも見えないな」


「よかったですぅ……。ずっと、こうして……一肆さんのこと、守ってあげたいですぅ……」


彼女はさらに深く俺を抱きしめ、Iカップの豊潤な弾力が俺の意識を微睡みの奥底へと誘った。


やはり、世界は丸いほうがいい……

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